第13話 思い出した

初芽と明斗の殴り合いが始まって10分経った。

圧倒的に初芽が強いが、明斗はボロボロになった体に見向きもせず、ただひたすらに戦っている。


「俺という男がここで負けるなんて、絶対あってはいけないことだ」


「負けた方が気が楽になるかもよ、」


「うるせぇ」



立花起きてくれ。

このままじゃ明斗が死ぬ可能性がある。

多分2人の戦いに俺が止めに入った所で、止めるなんてことは無いと思う。

明斗は嫌な奴だけど、死んだらダメだ。

生きて償うべきだと思う。

立花もそう思うだろ?


俺は立花の手を握りしめ、心で語った。

涙が止まらなかった。


「ダメか…」


俺は諦めかけていたその時、昨日買っておいたオレンジジュースを思い出した。


「えっ、秋くん!どこ行くの??」


そんな初芽の声に振り返ることも無く冷蔵庫へと走って行った。


「オレンジジュースを飲ませればきっと…」


オレンジジュースを手に取り、階段を駆け上がり、立花の場所へと向かって行った。


正直俺は今日運がいいかもしれない。

初芽達が来てくれたし、オレンジジュースだってここにある。

あとは立花さえ…


「立花!」


勢いよくドアを開け立花の元へと駆け寄る。


「立花、オレンジジュース持ってきたぞ」


俺は瓶に入ったオレンジジュースを開け、立花の口へと持っていった。

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