第6話 3人の人気者ともう1人

魔法が解けたことに気が付かなかった俺。

どれだけ立花のこと考えていたんだろ。

これももしかして立花の魔法だったりしてな。



「また明日!」

授業終わりに初芽がまた俺に声をかけてきた。


「あっ、あぁまた明日な」


とりあえず言葉は交したぞ。

これなら問題ないだろう。


「無視しなくて何よりだよ!」


そう言うと、バシッと背中を叩いた立花は笑顔で俺の隣に並んだ。


「叩く必要あったか?」


「邪気を払ってたんですぅ!」


「嘘つけ」


「正解!」


「やっぱりなー」


その様子を見ていた初芽は何処か寂しそうな表情をしていた。



「あら、初芽ちゃん来てくれたの?ありがとう。」


志乃初芽は雪峰明斗と付き合っている。

そして今日も彼女は彼のお見舞いに来ていた。


「まだ目を覚まさないなんて…私を1人にしないで…寂しいよ」


「ほら明斗、早く起きて。初芽ちゃんを悲しませないで。」



「初芽ちゃん今日も明斗くんのところ行くってさ〜、そういえば2人ってどうして付き合ったんだろ??あんまり仲良いって感じには見えなかったけどね〜」


志乃初芽と雪峰明斗が付き合った理由は誰も知らない。

もちろん初芽の古くからの友人である宮内みやうち紗菜さなも知らない。


「さあね〜最近初芽の考えてること分からなくてさ〜困っちゃうよ〜」


一ノいちのせ美優みゆう、宮内紗菜、志乃初芽の3人は成績優秀で人気が高く、学校で知らない人はいないという存在だ。

その3人の次に立花らしいんだけど、俺には考えられないな。


「あの2人見て何考えてるの??」


「別に」


「まさか変なこと考えてた??」


「そんなことは無い、早く行くぞ」


「はーい!」


「それにしてもさっき急いでコンビニに入って行ったけど何買ったんだ?」


「オレンジジュースだよ!これがないとやってけないからね!」


「やってけないか…」


「そう!だから私がもし動けなくなったらこれを飲ませるといいよ!」


「回復薬的な?」


「そそ!そういうこと!」


オレンジジュースが回復薬ということはピンと来ないが、頭の片隅に入れて置いて損は無いなと思った秋はスマホにメモを残した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る