第5話 謎が生まれた

「なんで泣いてんだよ」


「このままじゃ秋くん死んじゃうもん…」


「俺は死なないから大丈夫だしなんなら敵が来ても返り討ちにしてやる」


「私が秋くんを救ったら、秋くんが私のこと好きになるっていう世界線があるって知ってる??知るわけないよね!」


立花は涙を拭き、笑った。


「そんな世界線知るわけないけどさ、俺が死なない世界戦なら想像出来る」


「秋くんって本当に無愛想だね!もっと感情を顔に出してよ!」


「それは無理だ、多分」


「無理ってなんで??」


「なんとなくだ」


立花は腹を抱えて笑った。

どうやら"なんとなく"という曖昧さを与える言葉なのに説得力のある顔をしていたらしくそれが面白かったということだ。

俺は表情を一切変えてないし、笑いを取ったつもりもない。

でも立花が笑ってくれて良かったと思った。

立花とは友達になれる気がするとも思った。


あれ?

立花と最初に話したのって確か電話ボックスで、俺の秘密を話した時だよな?

なんで話したこともない俺を助けたりしたんだ??

しかも同じクラスになったことすらない俺を何で気にかけてるんだ??


考えていてもダメだと思い、直接聞こうと思って顔を上げた。

しかし、目の前に立花の姿はなかった。

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