第4話 憂鬱

次の日学校へ向かうといつもの風景に戻っていた。

どうやら規制が行われたらしい。

俺は今日学校へ行くのが憂鬱だった。

昨日のことがあったから立花には会いたくなかったからという理由だけだがとても足が重かった。


「おはよう!」


虐めが無くなったのはいいけど、今まで自分に暴力を与えた、省いてきた人達が何も無かったかのように振舞ってくるのが嫌だ。

そういう意味も込めて俺は挨拶をしてきた志乃しの初芽はつめを無視した。

元の関係に戻るなんて俺には出来ない。

信じてた人達に裏切られたということが、どんなに苦しいものなのか初芽にはわからないだろう。


「女の子を無視するなんて…許せないね!」


この声は立花だ。

絶対に振り向かないようにしないと、反応しないようにしないと。

1番会いたくない人を避けるのに1番手っ取り早いのは、この場から逃げることだけどカッコ悪くて出来なかった。

別にカッコよくなりたいとは思ってないけど。

ただカッコ悪いと思われたくないだけだ。


キーーーーーーーーーーーーーーーーーーン


突然激しい耳鳴りが俺を襲った。


「私を避けないでほしい。初芽ちゃんを泣かせないでほしい。」


「やめろ!」


「わかった。」


耳鳴りが無くなると同時に時が停止した。


「立花…どうしてこんなことした」


「秋くんを守るためって言ったらどうする?」


「こんなんで守れるかよ」


「私を避けるということは魔法使いを手放すということ。そして初芽ちゃんを泣かせるということは秋くんが殺されるかもしれないということ。」


「どういうことだ?それに初芽は泣いてなんか…」


「ほら見て、泣いてるでしょ。初芽ちゃんはクラスの人気者で差別もなく平等に接してくれる人。だからこそ初芽ちゃんを傷つけたらその分大勢の敵になるんだよ。本人がそれを望んでなくてもね。まぁ、差別もなく、平等に接すると思われてた初芽ちゃんが、秋くんを無視してたという事実はちゃんとあるから、みんなの頭の片隅に"敵に回してはいけない存在"として刻まれているんだよ。」


「泣いてるの気が付かなかった悪いことしたかもな…けど敵に回したとしても俺は初芽と友達に戻る気は無いから、ただのクラスメイトとして生きるよ」


そう口にした後、立花の目から涙がこぼれ落ちていた。

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