第3話 ちょっとした真実

「何も言葉を返してくれない秋くんにはちょっと意地悪しちゃおうかな??」

立花桃花はそう言うと俺の手を引いて誰もいない電話ボックスへと走っていった。

「中に入るよ!」という声を合図に電話ボックスの中に押されて中に入った。

2人で入るには窮屈な場所だった。


「よし!じゃあ意地悪しちゃうぞ!」


「意地悪ってなんだ?」


「秋くんの秘密をここで暴露する〜!」


「秘密ってなんだ?」


「明斗くんを見捨てて逃げたこと!」


「えっ…」


「誤発射の時にさ、撃たれた明斗くんから逃げたでしょ?私は見てたよ!と言うより、私が誤発射させたの!」


突然の言葉に聞きたいことがあったが言葉が上手く出せなかった。


「おーい!秋くん??おーい!」


立花桃花は漣秋の顔の前で大きく右手を左右に振った。


「立花…それってどういうことだ?」


「やっと声出したね、魔法でもかけられたかと思った!」


「魔法でもかけられたって子供かよー」


「私が誤発射させたのも魔法だよ??魔法は存在するんだよ!案外身近に魔法使える人はいるの!」


「はぁ…じゃあ明斗は立花の魔法にやられたってことか?」


「そそ!私が明斗くんを痛い目に合わせたの…」


立花の目には涙が浮かんでいた。

その涙は頬を伝うことなく瞳に留まり続けていた。


「あっ…じゃあ仮に魔法が使えたとして、なんで殺そうとしたんだ?」


「女の涙に戸惑う男はモテないぞー、あと私は殺そうとしたんじゃなくてお仕置したんだよ」


「お仕置?最初から殺す気は無かったってことか」


「殺す気はないよ、まぁ私にも色々あってさ、負の感情が頂点に達したからあんなことしちゃったんだよダメなことだけど、」


立花はその一言を残しどこかへ行ってしまった。

引き止める隙を与えずに。

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