第3話 爆発音
「さま……アオイ様!」
瞳を開けると
ツノが生えたメイド、メイが立っていた。
「メイ……おはよう」
あたしは眠い瞼を擦りながら、言った。
昨日、代々王妃様が使ってきた部屋に通され
ふかふかの天蓋付きベッドで眠りについたのだ。
まるで、あたしが王妃になるのが決定事項みたい。
「アオイ様、本日のお召し物はどうしますか?」
メイがクローゼットを開けて振り返る。
「普通にワンピースでいいよ」
あたしはベッドから立ち上がった。
「そうですか。ではこの淡紅色のワンピースなど
いかがでしょう。」
「うん、それにする」
服に興味のないあたしは上の空で返事をした。
ワンピースに着替えると、ドーンッと何かが爆発したような音が聞こえた。
「きゃっ!なに?」
「アオイ様はここから動かないでください」
神妙な面持ちで音のした方に小走りで行くメイ。
一体、何が起きたっていうの?
じっとしてなんかいられない。
あたしはメイの後をついていった。
ロイスーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何者かによって天井が破壊された。
「久しぶりだな、魔王。」
そこに立っていたのは青空のような瞳に輝くような金髪の美少年。
勇者と称されるアデルだった。
ふつふつと怒りが湧き上がる。
コイツは……俺の父を殺した。
アデルの両親は先王である俺の父に殺されたと本人は言っていたが父は虫も殺せぬような優しい人だった。
誤解だと言ってもアデルは父を
殺してしまった。
俺たち魔族のことを怖がっていた民は彼を勇者だと
褒め称えた。
それに味を占めたアデルは
国王に「僕が魔王を殺したら姫の夫になりたい」
と頼み込んだと聞く。
父を殺した上に、権力をも手に入れ、人気も手に入れたいのか。
「そんな怖いカオしてどうした?」
笑いながら近づいてくるアデル。
「……」
「まだ怒ってるのか?
僕がお前の父親を殺したこと。だって仕方ないだろ?
お前の父親が俺の両親を殺した。」
アデルの青い瞳が怒りを滲ませる。
「だから、それは誤解だと言ったはずだ!俺の父は優しい人だった」
「口ではなんとでも言えるよね」
アデルは顔ぐらいの大きさの炎を出現させると
俺に投げつける。
っ!!
「やめて!」
そう聞こえたかと思うと、攻撃が跳ね返された。
なんだ、今のは。
間一髪でアデルは炎を避ける。
声のした方を見ると、茶髪に紺色の瞳のアオイとメイがいた。
まさかアオイが攻撃を跳ね返したというのか。
「アオイ様!動かないでくださいと言いましたのに」
メイが困ったような表情を見せる。
アオイは怒ったような表情でこっちに近づいてくる。
「よせ、来るなアオイ。」
俺の言葉を無視してアデルに近づくアオイ。
「ロイスに攻撃しないで!!」
「誰だ、コイツ」
アデルがうんざりした表情を浮かべる。
「あたしは、葵。ロイスの婚約者よ!」
婚約者?
俺とアデルは呆然とするしかなかった。
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