第23話 世界最速のレベリング
倒れるユシャー。
【ユシャーのガッツが発動しました。体力1で持ちこたえます】
名前:ユシャー
体力:1/120
それを見た勇者が笑う。
正直ガッツあるかな?って思ってたから大丈夫だ。
「はははは!!死ねや!ゴミスキル!聖剣斬りぃぃぃ!!!!!!」
【アイルのガッツが発動しました。体力1で持ちこたえます】
名前:アイル
体力:1/151
必中の一撃必殺を食らったか。
「ははは!!!!俺の勝ちだ!!!!最後に笑うのは俺なんだよ!!!!!」
突っ込んでこようとするユシャー。
俺が絶望をくれてやるって言ったの忘れたのかな。
先程から俺の視界の端で流れていたウィンドウをユシャーに共有してやる。
【イレーナがスキル、エンカウント99倍を使いました。スライム99体が現れた】
【アイルがスライムを99匹撃破しました。経験値を99獲得しました】
「は!今更経験値99獲得したところでどうするつもりだ!」
ユシャーが吠えるがまだまだ続きがある。
【ルゼルの強制激怒レベル10によりスライムの激怒段階10、経験値ボーナスが発生、獲得経験値10倍になります。経験値990】
【ニナの大聖女の交渉が発動しました。この戦闘で得られる経験値が10倍になります。獲得経験値9900】
【アイルの経験値シェアが発動しました。イレーナが経験値を9900獲得しました】
【アイルの経験値シェアが発動しました。ルゼルが経験値を9900獲得しました】
【アイルの経験値シェアが発動しました。ニナが経験値を9900獲得しました】
【アイルの経験値集中が発動しました。アイルが経験値を39,600獲得しました】
・
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・
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次のレベルまで:295,200/300,000
【アイルの経験値集中が発動しました。アイルが経験値を39,600獲得しました】
【アイルのレベルが上がりました。レベル84→85】
名前:アイル
レベル:85
次のレベルまで:0/310,000
体力:152
攻撃力:85
防御力:82
素早さ:87
魔力:82
【レベルアップにより体力回復効果発動。アイルの体力1→152】
今も尚増え続ける俺の経験値。
止まることを知らない。
青天井に増え続ける経験値。
「なっ……何だこれは……経験値獲得が止まらねぇ……だいたい、何だよこれお前目の前にいるのに何で、何処でスライムを討伐してんだよ!」
驚くユシャーに詰め寄り剣を振り上げる。
「これは世界に要らないと捨られてきたゴミスキルの集まりさ」
「最初は俺が優勢だったのに……」
演じてやったんだよ接戦を。
そんなことも分からないのか?
【アイルのレベルが上がりました。レベル85→86】
【アイルのレベルが上がりました。レベル86→87】
「こいつ、戦闘中にレベルアップしてるのか……」
尻もちを付くユシャーにもう一度言ってやる。
「言ったろう?特大の絶望をくれてやるってさ。それからお前に貰った言葉を返してやる、震えて眠れよ。ゴミスキルに負けたお前の居場所、明日からあるかな?」
ザン!!!!!
ユシャーにトドメを入れる。
体力:0/120
ドサ。
今度こそ倒れるユシャー。
辺りが静まり返った。
「しょ、勝者!アイル!」
ルーシーが判決を出してくれた。
俺はユシャーを1度だけ見下ろしてイレーナ達の待つ家に戻ることにした、のだが。
ビルチが俺の前に立ち塞がった。
「な、何してくれてんのよ!勇者を負かすなんて馬鹿じゃないの!」
俺はビルチの横を素通りする。
勇者法の事もあるのだろう。
しかし俺なんかに負けた今勇者法がこれからも機能するとは正直思えない。
「何してんの!って言ってんのよ!」
無視して掴んでくる手を弾く。
「俺に触れるなよ。クズが移る。もう興味もないし視界に入るなよ。気持ち悪いから俺に触れるな」
「きゃっ!」
ドサッと尻もちを着くビルチを無視して歩いていく。
家に戻ると、丁度夕方くらいになっていた。
俺のために必死にスライムを焚き火に投げ込んでいたイレーナ達を止めた。
「ありがとう、みんなのお陰で勝てたよ」
「良かった」
そう言って微笑むイレーナ。
「ニナ頑張ってスライム投げたよ!ご主人様!」
褒めて褒めて、と寄ってくるニナの頭を撫でる。
「わ、私は居候なのでこれくらい問題ありません」
そう報告してくるルゼル。
とにかくみんな頑張ってくれたな。
よし、丁度みんな汗も出てたっぽいし。
「みんなで温泉入らないか?」
俺がそう提案するとみんな喜んで脱衣所に向かっていった。
俺は相変わらずその辺に服を脱ぎ捨てて入る。
もう時間は夕方。
店も閉めてある。
そんな状況でお風呂に入る。
しばらく待っていると3人が脱衣所から出てきた。
イレーナとルゼルはタオルで隠していたがニナだけ生まれた姿で出てきた。
お前が1番隠さないといけないんだよ!
そんな叫びも出かかったけど飲み込んだ。
見なかったことにしよう。
チャプ。
入ってくる3人。
ニナは温泉が楽しいのか遊んでるしルゼルはニナの大きさを見たのか1人で悲しんでいた。
そんな俺の横に寄ってくるイレーナ。
「私さぁ、王都でずっといじめられてたんだ。ゴミスキルゴミスキルって。それでほんとに辛かった時に追放されたの」
いじめからは逃げられたけど今度は生きれるかどうか分からなかったと続けるイレーナ。
「そんな時にアイルが声をかけてくれた。ほんとに嬉しかった」
そう言ってくるイレーナ。
「私あの頃からずっとアイルの事が好きなんだ」
そう言って俺の顔を真っ赤な顔で見てくる。
そんな真正面から言われて照れくさくなって左手で髪の毛をクルクル捻じる。
「ねぇ、アイル。私アイルと結婚したい。ずっとそう思ってたの」
そう言ってくるイレーナに返す。
「実は今日出ていく前にさ、この戦いが終わったら結婚するんだ、って言おうと思ってたんだよ」
思ってただけ。
言うとめっちゃ死亡フラグになりそうだし。
「だ、誰と?私以外の子?」
シュンとなるイレーナ。
いや、違う。と答えて右手に持っていた物をイレーナに渡す。
正直渡すタイミングが掴めなくてこんなところまで持ってきてしまっていた。
「えっ?……こ、これって、ゆ、指輪?」
「うん。別に高くないけど、こういうのって送ることに意味があると思うんだよね」
俺は正直こんなものに金使うのって無駄だと思ってるよ。
かけた金が愛のデカさ?大切さを表す?
馬鹿馬鹿しい。
そんなもんは高いもの買わせたい連中が言ってるだけだろ。
表立っては言わないけどさそんなこと。
「イレーナにだけだよ。あげた意味わかるよね?」
何があっても俺の中での1番はイレーナだと思う。
「浮気することあるかもしれないけどさ、俺はそれでも最後はイレーナのこと1番だと思ってるよ」
そう言うと指輪を握りしめて涙を流し始めるイレーナ。
「ごめん。嬉しくて涙が出てきちゃった。アイルからこんなもの貰えると思ってなくて」
イレーナを黙って抱き寄せる。
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