第19話 レベルを上げれば全て解決する


翌日。

土砂降りの雨だったから店をクローズにしてある。


こんな雨の日に誰も来ないだろうけど、まぁそれでも来たら対応くらいはしてやろう。


そんな事で店を開けていないので俺はニナに経験値を突っ込んでいた。


まぁものは試しだ。


グングン、ニナのレベルが上がる。

お胸もレベルアップしないかなー?とか思いながら見るけどイレーナの胸がレベルアップしてなかったのを思い出して期待するのはやめた。


ちなみにルゼルとイレーナには奥の部屋を担当してもらってる。

わっせわっせ、と一生懸命スライムを焚き火に放り投げている。


「わー。いっぱいレベルアップしてるー」


沢山の経験値獲得ログを見て喜んでいるニナ。

最高だな中身は子供で外見は大人なんてな。


そんなことを思いながら俺はニナのステータスに目をやる。


名前:ニナ

レベル:80


ここまで稼ぎ終わったのを見て俺はイレーナ達に辞めさせる。

正直ここからはかけた時間に対してのステータスの上がり具合が微妙だ。


たしかレベル80から90まで上げる経験値量と1から80までの経験値量がほぼ同じはず。


パーティを除外して今度は俺とイレーナに経験値が溜まるようにしておく。


こうしておくと生きてるだけで俺は経験値を稼げる。

動かずに手に入れる経験値ほど最高なものはない。


そうしてニナが色んなスキルや魔法を獲得していく中見ていると


【ニナがヒールを覚えました】

【ニナがハイヒールを覚えました】


と繰り返される中それがあった。


【ニナが大聖女の最期の祈りを覚えました】


と出ていた。

俺はイレーナと顔を見合わせた。


「今の技知ってる?」

「し、知らないよ。私も覚えてないし。見たことないよ」


そう口にする中ニナは笑顔で首を傾げる。

多分この中で1番理解してないのはニナだし本人に聞いても意味はないだろう。


「とりあえず詳細を見てみよう」


そうして俺はニナのスキル詳細を見ていく。


スキル:大聖女の最期の祈り

効果:自身の培ってきたもの全てを差し出して天へ祈りを捧げる。対象のあらゆる状態異常を回復して肉体の損傷も回復する。それはまさに最期の祈りに相応しい効果。

しかし代償として使用後レベルが1に戻ってしまう。



その説明を見て俺はイレーナと目を合わせた。


「ユニークスキルだねこれ。見たことないよこんなの」


やっぱりそうなのか。俺も聞いたことないしなぁ。

そう思いながらニナに伝える。


「このスキル使ってみてくれないか?」

「うん!」


ニナがスキルを使う。


【大聖女の最期の祈りが発動しました。範囲内の味方が祈りに包まれる】


そう表示されて彼女の左手はポァァァっと緑の光に包まれて。


数秒後、無くなっていたはずの手が帰ってきていた。


【大聖女の最期の祈りの効果により、ニナのレベルが1に戻ります】


名前:ニナ

レベル:1


という表示になっていた。


「わー。ニナの手が戻ってきてる!どうして?どうして?!」


そう言って喜ぶニナ。

俺の顔を見てきた。


「ありがとうご主人様。ご主人様が治してくれたんだよね?ニナうれしー」


そう言って飛びついてきた。

そのまま俺はニナが離れるのを待ってたんだけど、何故かニナは俺を寝室まで連れていこうとしていた。


あ、あの?どういうことですか?


その様子を見ていたイレーナも不思議に思ったようで


「え、えっと、どういうこと?」


俺はニナに寝室に運ばれて寝かされた。

そうしてズボンに手をかけてカチャカチャさせてくる。


「ご主人様!今度はニナが気持ちよくさせてあげるね!ご主人様もここ触ると気持ちいいんだよね?!」

「ま、待ちなさいって!朝っぱらから何やろうとしてるのよ?!」


付いてきたイレーナが顔を真っ赤にしながら止めてくれる。

た、助けてくれ、イレーナ。食べられちゃうよ。


「え?ニナはご主人様を気持ちよくさせたいだけなんだけど?」


首を傾げるニナ。


「そ、そういうのは夜にやるものなの!」


注意してくれるイレーナ。


「夜ならいいの?」

「うん。私も呼ぶこと。いい?」


あのー。何でそうなるんですか?


「わーい。夜やるー」


そう言って俺から離れていくニナ。


とにかく、助かったらしい。

俺もほんとに朝からそんな元気でないし。


さてと。ここからまたレベル30くらいになるまではニナに経験値でも注ごうか。

そうしながら俺はニナに家事を教えることにした。


「うん。ニナ、家事やる!」


そう言って家事をやってくれるようになったらしい。ニナ。

明日からは任せよう。



そうして今日の作業を終えて寝るかと思っていた時だった。


もう夜中なのにも関わらずギャーギャーと騒いでいる迷惑な奴がいた。

何かと思って窓から覗いてみると街の大通りを男が荷車を押していた。


その男が周りに助けを求めているようだった。


それからその荷車に載せられていたものは見覚えのあるものだった。


「へー。生きてんのかねあいつら」


その荷車に載せられていたものがチラッと目に入っただけだったけど。

そこに載せられていたのは全身真っ赤でパンパンに腫れ上がっていたビルチと勇者だった。


あの怪我はスライムの化け物にやられたんだろうな。

あの村で夜を明かしたのだろう。


あれに殴られて原型が残っているのは流石の勇者パーティと称賛してもいいかもしれない。


「まぁ、もう知らない奴らだしどうでもいいか。それよりもギンギンだしな。もう痛いくらいだ」


ニナちゃーん、今行きまちゅよー。


あいつらの体と同じくらい、俺のグングニルもパンパンに腫れ上がっていた。

早く鎮めなければ。


暴発してしまう。

そういえばルゼルもやるっていってたし、今日は擦り切れそう。


まぁいいか、ヒール使ってもらえばいいもんね。

神様見てますか。ゴミスキルでもこの世界の生活楽しんでます。



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