第24話 最終回 感想1・スレッタの覚醒と再生
本編完結に伴い、2022年10月にはじまったこの感想置き場もいよいよ最終回を迎えました。
以前少し書いた通り、イベントの参加記録や小説の感想などを引き続き書いていこうとは思っていますが、一旦「完結」で閉じたいと思います。皆さま、いちガンダム好きの感想垂れ流し置き場にお付き合いいただきありがとうございました。
それではネタバレ防止のためにタイトルを一応伏せておいた最終回・「目一杯の祝福を君に」の感想に参りましょう。
◆総括
――GUND-ARMで奇跡を起こすスレッタと、経済の力でそれをサポートするミオリネの物語
「水星の魔女」がどういった物語であったかをひとことでまとめると、上記の一文が思い浮かびます。この世界におけるガンダムは、GUND(魔術)をARM(手足)として操るGUND-ARMと解釈され、それを造るもの、あるいは搭乗するものは「魔女」と呼ばれます。スレッタはGUND-ARMのパイロットとして、「水星の魔女」という存在になったわけです(作中で、スレッタがそう呼ばれることはありませんでしたが)。
スレッタがGUND-ARMであるエアリアルに搭乗し学園での決闘を重ねていくことで、エアリアルのパーメットスコアはどんどん上がっていき、中にいたエリクトの存在がだんだんと実体化していきます。パーメットスコア8に到達した段階でエリクトは自らの意志でエアリアルを操縦できるようになり、パイロットとしてのスレッタは不要となりました。
一度はエリクトに突き放されて落ち込んだスレッタでしたが、「手に入るものがなくても、できることをすればいい」という新たな哲学を手に入れたことで再び前に進む活力が湧きました。グエルとの生身の決闘を経てホルダーの地位と花婿の座を取り戻したスレッタは、ミオリネと共に母と姉のもとへと向かいます。最初はスレッタの意志をはねのける二人でしたが、お母さんもエリクトも失いたくないというスレッタの想いにエリクトが応え、更にパーメットスコアが引きあがります。
その結果スレッタが駆る21年前のGUND-ARM、キャリバーンの周りに周辺宙域にいた全てのGUND-ARMが集まり、巨大ビーム砲をオーバーライドさせたのちにパーメット(元素)に還元されるという奇跡を起こします。その過程で、「個々のパーメット間で情報を共有する性質がある」パーメットの性質が発揮され、周辺宙域にいた人々に死者の声を届けました。
スレッタは前に進み続けたことで、GUND-ARMこそ失いましたがプロスペラ・エリクト・そしてミオリネという「家族」を手に入れることができたのです。
他方でミオリネは、自らの頭脳と経済力、そして経営手腕(含む交渉力)によってスレッタを終始サポートします。初めは「デリングが勝手に決めた決闘による花婿決定戦に反発し、地球に逃げる」という自分本位の考えしかもっていなかったミオリネが、その枠の外からやってきたスレッタが花婿になることで彼女のために動きます。
最初は単純に、「スレッタを結婚相手にすることが父の思惑の想定外だから、父を見返すためにそうするのだ」というメンタリティだったミオリネですが、7話の会社立ち上げのあたりからその心境に変化が見られます。MS操縦能力こそ一流のスレッタですが、コミュニケーション能力や頭脳、経済力など劣っている部分は多々あります。そこを自らの力で補い、花嫁として助けようという意志が感じられるようになりました(4話で共に実技を受けた辺りから、その片鱗は出ていましたね)。ミオリネは自らがもつ頭脳と経済力、親の知名度といったものをフル活用して㈱ガンダムを立ち上げ、スレッタを守りつつGUND医療の復活という理念を掲げます。ここから、GUND-ARMを戦争の道具ではなく、人々の命を救うために使うのだ(パイロットであるスレッタもまた同じ)という思想が生まれます。
ホルダーであるスレッタは決闘を繰り返さなければなりませんが、ミオリネはスレッタの強さを信じています。だからこそ9話でシャディクに決闘を申し込みましたし、その後も11話で決闘に負けないでと頼むシーンがありました。
12話で何のためらいもなく人を殺したスレッタを見て、ミオリネはプロスペラとスレッタの母娘関係に疑問を抱き、一度は二人を引き離そうとします。その結果、スレッタを孤独に追いやったり、プロスペラの復讐(オックスアース社の破壊)に間接的に手を貸してしまったりして自分を責めます。しかし再起したスレッタの言葉でミオリネもまた立ち上がり、一度は引き離そうとした母娘を自分の「家族」として受け入れる覚悟を決めます。
そうして最終決戦の際、ミオリネは大罪を犯したプロスペラに「家族になるんでしょ」と手を差し伸べます。それは変わったスレッタを信じているからこそできる言動であり、彼女と共に生きる覚悟を決めたことが見て取れます。
最後も彼女は自身の知恵をフル活用してクワイエット・ゼロを停止させたのみならず、ベネリットグループの地球売却を宣言して宇宙議会連合の介入を止めさせます。その宣言だけでは止められなかったビーム砲の発射はスレッタが物理的に止めてくれたので、まさに夫婦の共同作業といえるでしょう。
こうしてスレッタとミオリネは互いを認め合い、尊重できる夫婦になりました。スレッタには「奇跡」を起こすためのMSもそれを動かすための力も残っていませんが、彼女の純粋な夢をかなえるため、ミオリネはこれからも自らの力を駆使してサポートするのでしょう。
――学園×起業×経済という、「今風」の背景
ガンダムという古来からある(誇張しすぎ?)シリーズものの末端に属する本作。最初にあらすじを見たときに感じたオリジナリティは「女性主人公」と「学園もの」の2点でした。
しかし、女性主人公に関しては近いうちにやるだろうなという予感はありました。ポケ戦もガンダムに乗る(=宇宙世紀的観点からすると主人公サイド)のは女性のクリスですし、アナザー作品だとビルドファイターズトライはホシノ・フミナが主人公的なムーブをしていますし。個人的にあの作品はセカイ、フミナ、ユウマの3人が主人公だと思っています。ガンダムに乗った女性キャラクターも数多くいますし、そのうちの誰かが主人公になると思えば違和感もありません。そのため個人的にはあまり意外性はなかったです。
そのため興味をひかれたのは学園ものという点です。戦争ではなく決闘というシステムでガンダムを戦わせる。今までリアルの戦争で投入されるガンダムばかり見てきた身にとっては新鮮に感じます。とはいえ決闘システムは、ベネリットグループの各企業の代理戦争ともとれるわけで、各社が優れたパイロット科の人間(=操縦者)およびMSを開発すべくしのぎを削っている世界だと言えます。それを学生にやらせている辺りが教育重視の「高校」ではなく即戦力を育てる「高専」たるゆえんなのだろうなと思いました。高専なのに6年制じゃないんだなというツッコミは横に置いておきます。
話が進むにつれてこれは新機軸だなと思ったのは、「起業」と「経済」です。まず、7話でミオリネが学生起業をしました。私は学生起業を身近に感じる大学を出ているので、彼らが起業したことにはそう違和感を覚えませんでした。しかし今までのガンダムを振り返ると、起業して会社をつくるという話の流れになることはありませんでした。間違いなく、水星の魔女のオリジナル(個性)といえそうです。
これもまた、アスティカシアが「高専」であり、ミオリネがベネリットグループの経営者の娘だからこそしっくりくる設定です。
また、起業に併せて経済的な描写が多いのも本作の特徴だと感じました。スペーシアンとアーシアンの間には経済的格差があります。それだけならば他のガンダムシリーズでも描かれてきたことですが(大抵の場合、スペーシアンとアーシアンの立場は逆)、ヒロインが資金繰りをして会社を経営するというのは新しいですね。自らMSに乗って戦うヒロインか、非戦を貫くヒロインならば過去に何人かいますが、経営者のヒロインは初ではないでしょうか。しかも前述した通り、その面で主人公をサポートするわけです。日本の現状を考えると、女性主人公(=女性パイロット)よりむしろ女性経営者(=女性ヒロイン)のほうが発想が新しいかもしれません。日本ではまだまだ女性経営者が少ないですからね。
以上、本作の総括と私が斬新だと思ったポイントでした。ここ以降では、24話の感想を書いていきたいと思います(この時点で4,000字くらいあるのですが、いったい何文字までいくのでしょうか……)
◆覚醒するスレッタ
――まさかの登場だったエラン(4号)・彼はどうやって力を貸したのか?
スレッタがエリクト(エアリアル)を連れてクワイエット・ゼロ内部に到達した際、クワイエット・ゼロにエアリアルを接続することを拒否し、おそらくキャリバーンのパーメットスコアを上げてエリクトを再起させようとします。
その際スレッタ達の前に現れたのは、まさかのエラン(4号)。彼のアイデンティティであるファーのついたピアスが見えたとき、思わず身を乗り出して見てしまいました。彼は強化人士の残滓がこの空間に残っているから? というような理由を告げていましたが、ソフィやノレアと違いGUND-ARMに乗った状態で死を迎えたわけではないので、データストームの中にいるのには違和感がありました。パーメットの「情報を共有する」性質により、彼の記憶が共有されて残っていたということなのでしょうが。ともあれ、クワイエット・ゼロ内部に彼がいたということで、前回クワイエット・ゼロの力を弱めて地球寮の皆を招き入れたのはエラン(4号)という可能性が浮上しましたね。
また、彼は「行こう、スレッタ・マーキュリー」とスレッタに手を差し伸べて、彼女にクワイエット・ゼロなしでのエリクト再生を促していましたが、あれにはどういった意味があったのでしょうね。
スレッタは、データストームの中で生きるエリクトのパーメットスコアを引き上げることができます。それと同様に、エラン(4号)のスコアを引き上げることで、エリクトの代わりに彼に協力してもらうことでキャリバーンのパーメットスコアを上げ、エアリアルの再起動を図ったということでしょうか。あるいは単に鼓舞する言葉をかけただけで、エラン自身には何かができるわけではないのでしょうか。個人的には前者だと思っているのですが、どうなのでしょうね。
――スレッタはなぜスコア8を突破できたのか?
さて、スレッタはエリクトを起こした後、彼女との対話を経て(欲張りだから、全部欲しい! というスレッタの返事にエリクトが頷き、協力してくれた)パーメットスコア8を突破し、周辺宙域にGUND-ARMの影響を及ぼします。
今までもスレッタはエリクト(エアリアル)と協力することでパーメットスコアを上げてきたので、この「エリクトと協力するとスコアが上がる」という能力はスレッタに特有なものなのでしょう。同じ遺伝子を持っているから、相乗効果でパーメットを活性化させることができる……00でいうGNドライブを二個連動させることでGN粒子の放出量を二乗にできるのと近い理論でしょうか。
とはいえキャリバーンに搭乗していた際のスレッタのパーメットスコアはおそらく5。この時点ではエリクトの協力がないので、データストームのフィードバックがスレッタの身体にもろに影響を与えています。そこからエリクト+他のリプリチャイルド(ガンビット)が協力することでデータストームの肩代わりをしてもらうことができ、パーメットスコアを一気に引き上げたと考えるのが妥当でしょうか。実際のところ、キャリバーンがエアリアルのガンビットを身にまとい、虹色に輝いた辺りからスレッタはデータストーム汚染に苦しんでいる様子が見られなくなりました。
――スコア8突破後、なぜパーメットが粒子に変換されていったのか
さて、スレッタとエリクトの力で周辺宙域にいたGUND-ARM(ファラクトとシュバルゼッテ)を呼び寄せ、4機で力を合わせてはるか遠くにある巨大ビーム砲までもをオーバーライドさせました。その結果、宇宙議会連合は戦意を喪失しミオリネの「ベネリットグループの資産はすべて地球に売り払った」という宣言のもと対立は終息しました。
その後、まるで役目を終えたかのように全てのGUND-ARM及びクワイエット・ゼロは粒子レベルにまで変換され、文字通り宇宙の塵となりました。これはなぜなのでしょう。
おそらく、「個々のパーメット間で情報を共有する」性質をもつパーメットが互いに己の存在が不要だという情報を共有し、自壊したのではないかと思われます。スレッタはクワイエット・ゼロを止めて、エリクトとプロスペラの破壊行為を止めようとしていました。ゆえにクワイエット・ゼロが消えるのはまだわかります。では、4機のGUND-ARMが無くなったのはなぜでしょうか。
これもおそらく、スレッタの意志をパーメットがくみ取り、何らかの情報を発したからだと思われます。それは、「エリクトもプロスペラもミオリネたちも、皆が一緒に暮らせる世界」を望んだ結果、その世界に呪いを生むGUND-ARMは不要だという結論に(GUND-ARMに組み込まれているパーメットが)達したということではないでしょうか。現在エアリアル以外のGUND-ARMはデータストーム汚染の問題を解決できておらず、安全装置がないキャリバーンだけでなく、それが付いているであろうシュバルゼッテも人体に負荷がかかることが示されていました。
ミオリネと地球寮の仲間たちが進めようとしているGUND医療では、逆に人の命を奪うGUND-ARMの存在は害にしかなりません。結果として、GUND-ARMはこれからの世界に不要と判断されたのではないかと考えております。
◆パーメットスコア8を超えた結果、現れた人々
――ソフィはともかく、GUND-ARM外で死んだ人はなぜ現れることができたのか?
パーメットスコア8を突破した際、prologueから本編に至るまでに現れた死者が数多く登場人物たちの周りに登場しました。この中で私が一番違和感がなかったのはソフィです。GUND-ARMのパーメットスコアを上げすぎたことが原因で死んだ彼女であれば、エリクト同様データストームの中に取り込まれ、データストーム内で生存している可能性があると思っていたからです。GUND-ARMの中で命を終えたナディムやウィンディ、ノレアも一応その理論で納得できないことはありません。
しかし、ナイラとカルド博士はGUND-ARMに搭乗することなく死んでいます。にもかかわらず彼女らが現れることができたのはなぜなのでしょう。
やはり、GUND-ARMに関係なくパーメットに死者が「取り込まれる」現象が存在し、それがパーメットスコアの上昇に伴い具象化したということなのでしょうか。であるならば、地球でMSの中で死んだシーシアがグエルの前に現れてもおかしくなさそうですが、それは実現していません。具現化する死者とそうではない死者の違いがよくわかりませんでした。
――ナディムらprologueに登場した人々とエルノラに戻ったプロスペラ
プロスペラの周りには、ナディムをはじめとしたprologueの仲間たちが集い、もうこれ以上の蛮行はやめて、エリクトやスレッタと共に生きるべきだと諭します。その際皆はプロスペラを「エルノラ」と呼び、皆がプロスペラとして罪過を背負って生きる必要はないのだと諭しました。
それでも己を赦せなかったプロスペラですが、スレッタとエリクトの言葉にようやく心を動かされ、彼女らと共に生きることを決めました。ここでようやく、復讐鬼プロスペラから「サマヤ家の母」エルノラに戻れたのでしょう。やはりprologueという別枠ではありながらも、あれは本編でしたね。エルノラ目線でこの物語を読み解くうえであの作品は欠かせないものでしたし、見逃した方はここのシーンの意味がよくわからないでしょうから、「prologue」などという別枠ではなく、本編と地続きであることがわかる「0話」などのネーミングにした方がよかったのではないかと思った次第です。
◆情報盛りだくさんのエピローグ
宇宙空間でGUND-ARMを失い生身で放り出されたスレッタが、ミオリネによって救出された次のシーンではいきなり3年後に飛んでいました。ここからが盛りだくさんのエピローグになるわけですが、色々気になる点がありましたので一つずつ見ていきましょう(順不同)。
――やっぱり㈱ガンダムのテスターになっていたペトラ
ペトラが瀕死の重傷を負った際に、最終的に㈱ガンダムのテスターになるんじゃないかと予想していたのですが、思った通りでしたね。グエル以下ジェターク寮の面々は㈱ガンダムに概ね好意的ですし(ラウダ除く)、歩けるようになるならとペトラも合意したのでしょう。この治験結果によってGUND医療の事業が広がるといいですね。
――シャディクガールズは許されたのか?
シャディクが公判に臨む一方で、同じく捕らえられていたはずのシャディクガールズたちはミオリネのボディーガードのような雰囲気で彼女に同行していました。これは「彼女たちの罪は軽くしてほしい」というシャディクの願いが聞き届けられたということなのでしょうが、ミオリネの部下になっているというのは予想外でした。
彼女らは戦闘力と頭脳を兼ね備えた優秀なメンバーなので、部下として使えるというのは理解できますが、他方で「㈱ガンダムの代表を守ることで罪を償う」という一種の贖罪であるようにも感じられます。シャディクガールズたちに選択の余地はなく、ただ罪を償うために慈善活動をしている感覚で、ミオリネを手伝っているのではないかという気がしてなりません。
現在のミオリネの肩書は㈱ガンダムのCEOですから、シャディクガールズも㈱ガンダムの一員になったということなのでしょうね。彼女らもアーシアンですから、謀らずとも㈱ガンダムはスペーシアンのカースト最上位のミオリネを筆頭に、社員は皆アーシアンという会社になりました。これがスペーシアンとアーシアンの融和の省庁になるのではないかと予感させられます。
――なぜかホッツさんの中にいるエリクト
肉体の依り代になっていたエアリアルが霧散したことで、エリクト他リプリチャイルドたちは今度こそ消え去ってしまったものと思われましたが、なんとホッツさんの中で生きていました。エリクト曰くスレッタが身体を移し替えたのだと言っていましたが、機械でも何でもない、ただのぬいぐるみのマスコットだと思われるホッツさんにデータストームの魂が宿るというのはかなり不思議な現象です。まさかホッツさんにパーメットが仕込まれているわけでもないでしょうし。製作陣もそれを分かっているから、あえてミオリネに突っ込ませていたのでしょうが。
アドステラ世界のオカルト物質であるパーメットとスレッタという特異な存在が欠け合わさった奇跡という風に納得するほかないのでしょう。
個人的には、エリクト以外のリプリチャイルドたちがどうなってしまったかです。エリクトの魂がホッツさんに固定されたとして、リプリチャイルドたちも同居しているのか、彼女らは宇宙の塵となってしまったのか。エピローグで彼女らが話すシーンがないのでどちらともとれませんが、もし後者だとしたらちょっとビターなエンディングだなと思ってしまいます。スレッタもリプリチャイルドの一人ですから、たまたま肉体を持っていたから助かっただけで、一歩間違えれば他のリプリチャイルドたちと同じ運命をたどった可能性もありますからね。
――ニカは退学→復学した認識でよいのか?
ニカは学外に出ていて、何らかの資格を取って戻ってきたという雰囲気でした。「二足のわらじ」と言われていることから働きながら学園にも通うということなのでしょう。シャディクの乱に一枚噛んでいたニカがどのように罪を告白し、償い、復学まで至ったのかの経緯はかなり気になりますね。どこかでフォローが入るとよいのですが。
――ベネリットグループの地球売却後、ミオリネの立場はどうなっているのか?
ミオリネの宣言通り、ベネリットグループの資産はすべて地球に売却された模様です。一瞬映ったテレビ映像では、旧ベネリットグループ経営陣としてデリングとサリウスの姿が映されていましたが、3年経った今も細かい資産分配やデリングらの行いに対する清算が終わっていないのでしょう。ケナンジの「責任は大人にとらせなさい」という発言を彼らは実践しているように見えます。
他方で、ミオリネの立場は結局どうなっているのでしょうか。私は、ミオリネがシャディクとの総裁選を制したのち、デリングが復活したのでデリングが再度総裁の座に就き、ミオリネには㈱ガンダムの代表という立場だけが残っている(だから最終話で、ケナンジはミオリネのことを「代表」と呼んでいるという認識なのですが、それだと彼女が宇宙議会連合に対して「ベネリットグループを解体する」と宣言したのの辻褄が合いません。あれは、ミオリネがベネリットグループの総裁でないと説得力を持たない発言ですから。あの時点ではデリングが完全復活しているわけではないので、ミオリネが総裁代理ということなのですかね。でも宇宙議会連合との通信では、デリングが総裁と呼ばれていましたし……この辺り、いまいちはっきりしませんね。小説版で交通整理してくれることを願います。
――エラン(オリジナル)はブリオン社に就職したのか?
ジェターク社の社長室では、エラン(オリジナル)とセセリアがグエルと交渉している様子が描かれました。エランとセセリアは同じ色味のスーツを着ていましたから、この二人は同じ会社だと見て間違いないでしょう。では、どの会社なのか。諸々の文脈から考えて、ブリオン社だと思われます。
根拠はいくつかあります。まず、ブリオン寮に所属していたセセリアが、他の会社に就職するメリットがない点。彼女は新型機であるデミバーディングを寮長や上級生の許可なく、ぽんとアーシアンに貸してしまえる辺りブリオン寮ではそれなりに地位が高かったものと思われます。アスティカシアの学生の地位は会社のカーストによって決まるので、セセリアはブリオン社の社長令嬢、そうではなくても幹部の娘である可能性が高いです。となると、学園卒業後はブリオン社に入社するのが自然な流れでしょう。
第二に、学園のシーンで1話ではデミトレーナーが歩いていた場所を、ジェターク社製とおぼしきMSが闊歩していました。アスティカシアに卸していたデミトレーナーの収益はバカにならないものがあったでしょうから、ブリオン社がジェターク社に「譲ってあげた」ものと思われます。つまり、この2社間でのやりとりが必要不可欠だったはずです。
上述した映像は私の記憶違いでなければ、エラン(オリジナル)がグエルに対して「アスティカシアの再建も助けてやっただろ?」と言っているバックで流れていました。これらの文脈から考えると、ブリオン社のエランがジェターク社のグエルに、学園の利権を一部譲渡することで経営を助けたという風に解釈できます。
以上の理由から、エラン(オリジナル)の再就職先はブリオン社だとおもわれます。実績がないなか、どうやって即、管理職以上のポジションに登り詰めたのかは不明ですが、ハイスペックな頭脳を駆使してどうにかしたのでしょう。
今回で終わりにしようと思ったのですが、思いの外長くなってしまったので「個人的に残る疑問」についてはエピソードを分けて書きたいと思います。
もうちょっとだけ続くので、お付き合いいただきますと幸いです。
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