第17話 大切なもの 感想・大切なものを守るため、それぞれが別の方向を向く

 グエルの感情吐露と決闘が熱い回でしたね! もう一度ダリルバルデが出てきて、しかも「父さんと俺を繋ぐもの」というアイテムとして登場したのが胸熱でした。ダリルバルデのガンプラを、生まれて初めて発売日に並んで買ってよかったです。もっとも、兵装は3話で登場した時と変わっていましたが。ファラクトもシーズン1(4号搭乗)とシーズン2(5号搭乗)で仕様が変わっていたので、別売りパーツ等で発売されるのですかね。

 ともかく視聴後はグエルが熱かったという印象しか残らなかったのですが、スレッタ周りは大変なことになっていましたね。スレッタを思うがゆえのミオリネとグエルの行動でしたが、恐らくそれらはプロスペラの掌の上……今後のプロスペラの、スレッタに対する接し方がどうなるかを考えるも怖いです。

 色々ありましたが、感想に参りましょう。


◆やはりミオリネとグエル(ジェターク社)が組む方向に

 ――結託の条件は結婚?!

 ミオリネが総裁選に出るために、御三家の何処かと結託する。最も可能性が高いのはジェターク社という筋書きまでは前回の予想通りでした。しかしもはやパーメットスコア6に到達したスレッタ&エアリアルにグエルが勝つのは難しいと思っていたので、このタイミングで再び「グエルが勝ってホルダーの座を取り戻す」ことをミオリネが条件に持ち出してくるとは思いませんでした。確かに結婚すれば持ち株が過半数になるという話でしたが、結婚せずに結託する道を探るものだとばかり考えていました。もっとも、お互いに「スレッタ/会社を守るため」という目的で近づいた政略結婚なので、それ以外の方法があれば別の道を選ぶのかもしれませんが。


 結局、決闘にはグエルが勝って元鞘(グエルホルダー、ミオリネ婚約者、グエルが1話で言っていた「お前も会社も全部手に入れてみせるぞ!」の状態)におさまったわけですが、二人の心情はあのころとはだいぶ違っているでしょうね。グエルは精神的に大きく成長しましたし、ミオリネも丸くなりました。いや、ミオリネは自分の思惑の外で物事が動くのを嫌うので、自分の意志で動いている現状は受け入れられるともいえるのかもしれません。それすらもプロスペラにそそのかされて動いた結果なので、ミオリネ本人が考えているほど「自分の意志」ではないのが怖いところですが。自分の意図しないところで、他人の考えに踊らされているほど恐ろしいことはないですからね。思えば㈱ガンダム設立もプロスペラに唆されてデリングに出資を依頼していますし、ミオリネはけっこうプロスペラに操られている節があるように思います。最終的にはスレッタだけではなく、ミオリネもプロスペラの呪縛から逃れない限りハッピーエンドにはならないと思うので、その辺は公式さんにうまく差配してもらいたいところです(byハッピーエンド至上主義者の意見)。


 逆に、グラスレー(シャディク)がペイル社にすり寄るかたちになりましたね。御三家のうち二社が結託することになれば、ミオリネたちをもしのぐ勢力になるでしょう。それにしても、総裁の娘(後ろ盾ジェターク社)vsサリウスの養子(後ろ盾ペイル社)はどっちが強いんでしょうね。ネームバリュー的には前者の方が強そうですし視聴者的にもこちらを応援したいのですが、実務に携わっている実績があるシャディクは強いでしょう。グラスレー+ペイルの持ち株数はミオリネ+グエルの持ち株数を上回りそうですし。

 それにしても、シャディクはエアリアルのデータをペイル社に譲渡する的なことをおばさまたち共同CEOに言っていましたが、入手するあてはあるのでしょうか。いくらグラスレーが決闘を重視していないとはいえ、㈱ガンダムに手出しはしないとした9話の決闘内容は有効なはずです。再びノレアを送り込めば捕まるのは目に見えていますし、エラン(5号)はエアリアルに乗れないことが判明しています。今回の決闘により、エアリアルはグエルの手に渡ったわけですがそこから持ち出す算段があるのでしょうか。不気味なところです。


◆ニカがエラン(5号)の「ガンダムに乗ると死ぬ」発言に反応していたわけ

 ――そういえばニカはガンダムの呪いを知らない

 シャディクに監視されている(と思しき)部屋に、エラン(5号)が転がり込んできました。大方、任務に失敗したため地球寮に出入りしていたらペイル社に処分されてしまう。それを防ぐためにルブリスソーンとグラスレー寮のつながりを脅し材料として匿ってもらっているといったところでしょう。攻撃的なノレアに対し、エラン(5号)は「君にも殺されたくないし、ガンダムでも死にたくない」的なことを言っていましたが、それにニカが反応していました。

 ニカはエアリアルの、㈱ガンダム設立後はファラクトの整備を担当していたはずですが、ガンダムの呪い(パーメットスコアを上げるとデータストームで生命の危険がある)については知らなかったのでしょうか。メカニック科ですし、過去のMSであるGUND-ARMのデメリットについて知っていてもおかしくないと思ったのですが、彼女の発言からすると初耳のようです。ここで反応したのは、物語的に意味があることだと思うので理由を考えてみたいです。

 まずは、ニカが呪いを知らずにエアリアル&ファラクトを整備しており、この語の会話でエラン(5号)から呪いについて知らされ呪いに関与してしまったという自責の念に駆られる。あるいはエアリアル&スレッタの組み合わせの時だけ呪いが発動しないことを知り、興味が惹かれたところでシャディクにエアリアル奪取の駒として使われる。現時点ではこの辺りが考えられるでしょうか。前者であればわざわざこの重要な回に差し挟むにはちょっと弱い気がしますし、後者であれば現在ミオリネ&グエルの手中にあるエアリアルをニカが奪取するのは難しいように思います。地球寮に置いたままであれば簡単に触れるでしょうが。

 あるいはニカ以外にこの部屋にいた二人がGUND-ARMの搭乗者であることに意味があるのかもしれません。ニカが捨て駒としてGUND-ARMに乗らされることを暗示しているとか……パイロット科以外でもMSに乗らされるパターンは9話でやっていますし、ありえなくはないですが彼女は右腕を負傷しているのでその可能性は低そうですね。いずれにせよ、この些細なやり取りには何か意味があるのではないかと感じている次第です。


◆エリクト「ごめんね」の意味

 エアリアルが停止する直前、エアリアルの中からエリクトの声が聞こえてきました。スレッタの生徒手帳に「お守り」と称してエアリアルのハッキングアプリを仕込んでいたミオリネ。恐らくそれをミオリネが遠隔で発動させた際に放った言葉だと思われます。

 ここから想定されることは二つあります。一つ目は、いくらプロスペラ仕込みの遠隔アプリであっても、エリクトの力を以てすれば止められた(=動き続けることができた)可能性があるということ。機能停止前に「ごめんね」という発言をする余裕がある点については、止められるけど止めなかった、というニュアンスが含まれているように感じられます。二つ目は、にもかかわらずエリクトは「機能停止」を選択したという点です。この点についてネットでは「スレッタを復讐に巻き込むことにエリクトが反対しているから、同じ考えを持つミオリネに共感した」という説を唱えている方が多い印象でしたし、その可能性が高いと思いますが、あえて別の可能性も考えてみたいです。

 例えば機能停止直前、エアリアルは極太ビーム砲をダリルバルデに撃ち込もうとしていました。これはプラントクエタでのテロの際に、「実践仕様じゃないのにこんなに火力があるなんて」と驚かれていた代物で、半壊状態かつオーバーライドで動きが封じられていたダリルバルデに放つにはオーバーキルな武器です。テロの際は避けたMSさえも足を溶かされ大破していましたから、動けないダリルバルデがあのビームをまともに食らっていたら、グエル共々四散してしまっていたかもしれません。それだけ、スレッタは「目的のためには手段を選ばない」性格に育ってしまっているともとれます。エリクトはその状況を憂い、スレッタにこれ以上人殺しをさせないために機能停止を受け入れた、とも考えられるのではないでしょうか。

 あるいは、「ゆりかごの星」で描かれるエアリアルの人格=エリクトだとすると、創造主である母(プロスペラ)の言うことには逆らえないと書かれています。つまり、エアリアルの命令を聞く優先順位は母>スレッタであるため、母が仕込んだ遠隔停止プログラムに抗う術は無く、スレッタに謝罪したという風にも考えられます。


 いずれにせよ、エアリアルの中にいるエリクトは基本的にはスレッタに協力的です。はっきり会話できるようになったのはパーメットスコア6の段階(スレッタが、「よかった、いたんだ」といった辺り)だと思われますが、その前からスレッタの指示には忠実に従ってきました。そのエリクトがスレッタの意図しないところで機能停止させたということに意味があるように思います。これがパーメットスコア7の状態を示唆しているのか、あるいは別の意味があるのかもしれません。


◆結局エアリアルは、パーメットスコア8に到達したのか?

 ――あと1回決闘が必要byプロスペラ の意味

 少なくとも今回の決闘で最後にするというのはプロスペラ側からの提案なので、ミオリネの願い通りスレッタがプロスペラから自由になるかと言われると、そう単純な話でもなさそうですね。おそらく、スレッタ&エリクトの組み合わせで搭乗することによってパーメットスコアを上げ続けていくのがプロスペラの目的でしょうから、あと1回乗れば8になれるという算段があったのでしょうか。その根拠はどこにあったのでしょうか。あるいは、あと1回乗ればパーメットスコア7になり、そこから8に行くにはスレッタ無しでも到達可能ということなのでしょうか。色々と疑問符が付く発言でした。


 ――ガンビットが銀色に輝き、少女たちの笑い声が全体に拡散された

 それにしても、どの段階がパーメットスコア○○なのか、視聴者には判断が付きにくいです。色々動きを変えるごとにパーメットスコアを叫んでいたナディムやエラン(4号)の言動から察するに、

スコア4=ガンビット展開

スコア5=不明(GUND-ARMとの共鳴、少女の影が出てくる?)

スコア6=エアリアルの色が青色に輝く

 だと思われます。エアリアルは1話の時点でガンビットを使えていた(ただしスレッタ搭乗時のみ)ので、この時点で既にパーメットスコア4だと推測されます。そして時系列的にはエラン(4号)戦のあたりでスコア5、シャディク戦のあたりでスコア6に達したものと思われます。プロスペラが決闘の何を見てスコアを判断しているのかは不明です。

 この基準で行くと、今回の決闘では今までになかった、「ガンビットが銀色に輝く」描写がありました。しかも相手がGUND-ARMではないのに、エラン(4号)戦と同じく少女たちの笑い声が聞こえました。これは明らかに今までと違う段階にエアリアルが到達している証拠で、スコア7ないし8に到達した段階と思われます。

 これがスコア7なのだとすれば、プロスペラの発言からすれば8にするにはスレッタの力は不要と捉えられます。あるいはスコア8ならば、もう目的のスコアに達しているためスレッタは不要ということになります。今回の決闘で到達したのはどちらなのでしょうね。


 いずれにせよ、プロスペラからもミオリネからも「用無し」とされてしまったスレッタ。あれだけ冷たくミオリネから突き放されたらむしろプロスペラへの依存度が高まり、逆効果な気がしてしまうのですがどうなるのですかね。その辺りはグエルがフォローするのか。今日だけでもグエルはずいぶんスレッタのフォローをしていましたが、今後彼はその役回りを担い続けるのか。

 発売が予告されているシュバルゼッテに誰が乗るのかも気になります。ここまでGUND-ARMは重要なキャラクターが乗ってきたので、これに乗る人物も重要な役回りを担いそうです。メカデザと名前からして明らかにジェターク社の血が入っていそうなのですが、グエルが乗り換えるとは考えにくいですし、グエルの補佐をすると明言しているラウダもこれ以上MSには乗らなさそうです。そもそもGUND-ARMとは違う開発コンセプトであるダリルバルデを擁しているジェターク社がわざわざGUND-ARMを作る理由がわかりません。あるとするならミオリネが、愛機を失ったスレッタのために作らせるくらいですかね。しかし不吉なネーミングも相まって、良い方向に転がる気がしません。

 大切なものを失ったスレッタが今後どうなっていくのか、今後の展開に目が離せませんね。

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