第14話 彼女たちのネガイ 感想・ソフィが望んだものとは
物語は怒涛の展開で、全話に続いて乱戦模様の決闘が描かれましたね。ランブルリングはトラブルで中止になってしまいましたが、ラウダ&フェルシーvsザビーナ&レネは見てみたかった気がします。確か決闘オッズではグラスレーの二人のほうが倍率高めだった(フェルシーはトップ10にいなかった)気がしますが、ラウダがどれくらいカバーできるのか見ものでしたね。そしてグエルが無双するパターンも見てみたかったです。DVDの特典映像とかで、前年のランブルリングとか収録されないですかね。私は基本的にDVDは買わない派なのですが、そういうものが付属するのであれば購入を検討するかもしれません。
では、今回の感想に参りましょう。
◆物語はミッドポイント(ターニングポイント)へ
――同じくらいのボリューム(全26話)の14話と比べてみる
水星の魔女は全25話と言われていますので、14話は真ん中のお話でミッドポイント、もといターニングポイントだと考えることができます。それでいうと前回の13話もそうでしたが、今回のほうが重大なエピソード(クワイエット・ゼロの話やエリクトがどこに行ったのか問題など)が語られているので、ミッドポイント感が強くありました。では、他の作品におけるミッドポイントでは何が語られていたのかと思い、総話数が近い(全26話)Gのレコンギスタ(以下Gレコ)を調べてみました。
Gレコ14話のタイトルは「宇宙、モビルスーツ戦」です。地球暮らしのベルリ達の前に、トワサンガという月の勢力が攻めてきて、地球の勢力であるキャピタル・アーミィとアメリア軍という二組織が手を結びだまし討ちにする回でした。Gレコにおいては初めて、組織vs組織の宇宙戦が行われるエピソードであり、ジット団ら金星の勢力以外の全勢力が終結したという意味でも重要な回だったと思います。
もっとも、地球外勢力がレコンギスタ(地球への国土回復運動……ひいては地球帰還運動)を進める話であるGレコと水星の魔女は全く話が異なりますが、同じガンダムというシリーズの中でもミッドポイントは意識されているのだろうなと感じた次第です。
◆ランブルリング(決闘デモ)での混戦
――チュチュはやっぱりかっこいい
ランブルリング、見どころは山ほどありましたが個人的にはチュチュの感情の動きの変化がよかったですね。最初はフォルドの夜明けの襲撃を思い出して銃を撃つことができず、その後のルブリスウル・ソーンの襲撃に怒って殺意増し増しで狙撃しようとしたものの、フェルシーの救助を求める声に駆け付け守る、という流れ。水星の魔女の登場人物の中で一番人間味があるというか、人として共感しやすいキャラクターだなと感じました。
また、彼女はスペーシアン嫌いでありながらスペーシアンを守った。他方でスペーシアン嫌いのノレアはスペーシアンを容赦なく殺害した。この二人の差が対照的に描かれているのも印象的です。きっとチュチュはアーシアンの地位向上という夢を持ちながらテロリストに協力しているニカを守るために、重要なポジションにつくような気がしています。そんなチュチュの純粋さを知っているニカが彼女から距離を置こうとする可能性もありますが……ノレア搭乗のファラクトが暴れた格納庫をティルとチュチュの二人で見ているシーンがニカ説得フラグになっているような気がしているのですが、どうなるでしょうかね。
――ルブリスウル・ソーンはどこに潜んでいたのか?
ソフィとノレアがパイロット科であるという認識は地球寮の面々も持っていた(みんなが集まっている時に、エラン(5号)が読み上げていたはず)と思われますが、彼女らの乗機が地球寮の格納庫に収められている様子はありませんでした。
また、ランブルリング中に試験場の下から現れたことから、正式な場所に格納されていたようには思えません。
普通に考えれば、事情を知っているグラスレー寮に格納されていて、シャディクガールズたちに匿われていたのでしょうが、シャディクガールズは全員がパイロット科です。見た目からしてガンダムを想起させるルブリスウル・ソーンを格納しておくためにはメカニック科の学生も丸め込んでおく必要があると思うのですが、その辺はどうなっているのでしょうか。グラスレー寮のメカニック科のキャラクターが登場していないので何とも言えませんが、シャディクが完全に寮生を掌握していることの証左ともいえるかもしれません。
別の考えとしては、シャディクガールズたちに匿われていたことは事実で、ただしグラスレー寮の格納庫ではなく戦術試験区域の一角に隠されていたという可能性があります。シャディクは決闘委員会のメンバーなので、ランブルリングの決闘場所を指定する、ないし事前に知ることは可能なはずです。そこにあらかじめルブリスウル・ソーンを隠しておくことはできるでしょう。フォルドの夜明けのテロに巻き込まれた地球寮の面々にさえばれなければいいので、この方法が最も無難な気がします。
◆ソフィが最期に望んだもの
ソフィ(ルブリスウル)vsスレッタ(エアリアル)になった際、ソフィが「わたしが本当に望んでいたのは……」といったときにエリクトのシルエットがはっきり映し出されました。これにより、今までパーメットスコア・シックスの状態でスレッタと会話していた存在がエリクトであるとほぼ確定したわけですが、もしかするとソフィには前の戦闘(12話)の時点でエリクトの存在を認知していたのかもしれません。そのうえで、エリクトのほうが幼く見えることからスレッタを「(エリクトの)姉」として認識し、「お姉ちゃん」と呼んでいたのではないでしょうか。ソフィが家族を求めていたのは真実だと思うので、共に力を合わせて戦うエリクト・スレッタの姉妹に憧れて「自分もその中に混ざりたい」という思いからスレッタに「本当のお姉ちゃんになってよ」と言ったものと考えられます。
13話でソフィが「ときめき、感じないんだよね」と言っていたのは、おそらくエリクトとスレッタという関係性が無い中でスレッタと接していたためと思われます。スレッタがエアリアルに搭乗する=エリクトとの関係性が明示されるということですので、その関係性にソフィはときめき、あこがれたのではないかと感じました。
シーズン2の直前にガンダムチャンネル(Youtube)で放送された「ととのうスペシャル」にてソフィ役の井澤さんが出演されており、ソフィがスレッタのことを「お姉ちゃん」呼びしている意味は言えない様子でした。つまり、「お姉ちゃん呼び」には単にスレッタを尊敬している以外の、ネタバレになる要素を含んだ意味が込められているということになります。シーズン1の時点で「エアリアルの中にエリクトがいる」という情報は秘匿されていたため(ほぼ暗示されていましたが)、エリクト―スレッタの姉妹関係に憧れていた、その輪の中に自分も入りたかったという意味にとれば辻褄があうのです。
今後、クワイエット・ゼロの実現の過程でソフィが「データストームの向こう側」にいて再会する展開もあるかもしれませんが、少なくとも肉体的には死亡が確定してしまいました。出自が不明で、もっと掘り下げようと思えば深堀できそうだった彼女がこれだけ早く退場してしまうとは想定外でしたが、これは逆に上記経緯で再会するフラグでもあるような気がします。ソフィの死にショックを受けたスレッタが、クワイエット・ゼロを猛烈に押し進めようとする、など、スレッタの行動にも影響を及ぼしそうです。
それにしても、スレッタはソフィとの戦闘中に「人を殺してまで、自分の望みを叶える」ソフィの姿に自分の12話の行動を重ね合わせていましたが、これはプロスペラからの呪縛から解放されるフラグになるのでしょうか。それとも、プロスペラの呪いは解けずに精神崩壊の道をたどってしまうのでしょうか。主人公ですし、シーズン1OP「祝福」の歌詞のように呪いを断ち切る方向へと進んで欲しいというのがいち視聴者としての願いですが、どちらに転んでもおかしくないのがガンダムなので恐ろしいところです。
スレッタも、彼女なりの(プロスペラの影響下に無い)“ネガイ”を見つけて、独り立ちできたらよいですね。
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