第9話 あと一歩、キミに踏み出せたなら 感想・チュチュ先輩の腕は確かだった

 前の回の感想でちらっと柔道の団体戦の話をしましたが、私は格闘技のようにタイマン×複数で行う団体戦が好きなので、今回の地球寮vsグラスレー寮の団体戦はかなり好みな展開でした。しかし、リーダー機のミカエリスはあまりタイマン性能を発揮しておらず、ダリルバルデほど人気が出なさそうですね……むしろ相手していたチュチュ専用デミトレーナーの方が欲しくなりました。土曜日にダリルバルデを買ったばかりなので自重しておきますが(そもそも売っているところを見たことがない……水星の魔女のガンプラは人気ですね)。

 前座はさておき、本編の感想に参りましょう。


◆ハイスペックすぎる地球寮の面々

前話での㈱ガンダム設立に向けた準備シーンなどを見て、「地球寮は人材が豊富だな」と思っていましたが、今回その考えがさらに強まりました。そもそも団体戦になる可能性は考えていたものの、まさか非パイロット科の地球寮の面子がザウォートに乗って戦うとは思っていなかったので驚きです。結局エラン(強化人士5号)&ファラクトはまだ出てこないようですし。


 ――ティルとリリッケの場慣れ感

 今回、パイロット科ではない4人(マルタン、ティル、オジェロ、リリッケ)がザウォートに乗って参戦していました。マルタンとオジェロは順当に即撃破されていましたが、ティルはグラスレー寮の上位パイロット(おそらくエナオ)に腕前を誉められ、リリッケに至ってはオッズ10位のレネとつばぜり合いまで繰り広げていました。

 やる気の違いと言われればそれまでですが、皆様1話を思い出してみてください。経営戦略科(=リリッケと同じ)のミオリネは、グエルと戦う気満々だったのにもかかわらず、エアリアルのビームライフルを一発撃つだけでバランスを崩し倒れていました。それに比べてこの二人、何故こんなにも動けるんだ?! というくらい戦えています。ミオリネのほうが普通だと思うので、ティルとリリッケはどれだけ潜在能力が高いのでしょうか……しかもティルはその後メカニック科の腕を存分に振るって中破したザウォートを集め、チュチュ専用デミトレーナーがいい位置で狙撃できるようサポートまでしています。歴代ガンダム界のメカニックはチート級に優秀な人材がそろっていますが、ティルもそのうちの一人に数えられることは間違いないですね。


 ――チュチュのメンタルの強さ、技術の高さ

 序盤からなぜかリーダー機のミカエリスとタイマンする羽目になったチュチュ。そもそもデミトレーナーはデフォルトでブレードアンテナが付いていないため実習専用機で、決闘には使えないものと思っていましたがアンテナを付けてバリバリ投入されてましたね。

 そしてかなりの機体性能差があるはずなのにガンガン向かっていけるのはメンタル強い。さすがチュチュ先輩。右手をもがれてもなお左手(おそらく利き手ではない)で持った銃でぶん殴ろうとしていたところに彼女のパイロット科としての気概を感じました。そしてやっぱり釘バット……失礼、近接戦闘用の武器も何がしか持たせてあげたい気持ちになりました。機体性能差がある以上、接近戦は不利と判断された上での武器チョイスなのでしょうが。

 そしてなんといっても最後の狙撃! ティルたち共闘した地球寮の仲間のサポートがあったとはいえ、外したらアウトな、一発必中が求められる場面で正確に頭部を狙い撃ちできるとは、かなりの腕前ですね。4話の実習のときに「2分でクリアしてやっから!」といっていただけのことはあります。まだ1年生ですがMS操縦技量はけっこう高いのでしょう。

 気になるのは、喧嘩っ早い彼女が今まで決闘をしたことがあるのかということ。さすがにグラスレー寮の最新鋭機6機(というより主にミカエリス)相手だと分が悪いかもしれませんが、あの腕前なら並みの操縦技術の相手(例えば5話でエランが戦っていたモビルクラフト? など)ならけっこういい線いくかもしれません。チュチュの性格上、いじめてきたスペーシアン相手に1話のグエルよろしく「虫の声で謝れ!」的な要求を突き付けて決闘していてもおかしくない気がするのですが、どうなんでしょう。もし今後チュチュのスピンオフが出ることがあったら、その辺り見てみたいですね。


◆スレッタはエアリアルの中で誰と会話していたのか

 スレッタは今までもガンビットに対して「いくよ、みんな!」と声をかけていたりしましたが、それはスレッタからの一方的な声かけのように見えていました。しかし今回は、スレッタにしか聞こえていない何者かが発する声と会話していました。ミオリネもそんなスレッタの様子に違和感を覚えていたようですが、彼女はいったい誰と話していたのでしょうか。

 順当に考えると、6話のエラン戦で、ファラクトのガンビットを止めたときにエランの目に映った少女たちのシルエットが妥当なラインになりそうです。そうなるとやはり、エアリアルの中には誰かがいるということがほぼ確定しますね。今回、エアリアルのシェルユニットは青く光っていました。それも踏まえて考えると、やはり中にいるのはエリクトと考えたほうがよさそうです。

 なぜなら、prologueにてルブリスのガンビットを起動させた際、エリクトの顔に青いパーメット反応の光が浮き上がっていたからです。パーメット反応の光はこのシーン以外、全て赤色で描かれいてたのでこの共通点には意味があるように思われます。


 また、別作品になりますがパイロットをMS内に取り込んでいた機体として、フェネクス(ユニコーンガンダム3号機、ガンダムナラティブより)が挙げられます。私はエリクトがエアリアルに取り込まれている理屈は、リタ(フェネクスのパイロット)がフェネクスに取り込まれているのに近い理屈だと思っていますが、こちらの機体もフレームが青く光るという共通点があります。この青い光はナラティブの世界では「サイコフレーム」と呼ばれる技術で、水星の魔女と世界観を共有しているわけではありませんが若い女性パイロットを取り込むガンダムというところから、類似の機体として連想しがちです。

 これはメタ考察ですが、水星の魔女の1クール目と2クール目の間に、このナラティブが放送されるらしいので、フェネクスとエアリアルの共通点を見出す視聴者の方が今後増えるかもしれません。


◆シャディクとグエルは今後どうなってしまうのか

 ――シャディクはサリウスに見捨てられるリスクはないのか

 地球寮との決闘に敗れたことで、シャディクは㈱ガンダムの経営の邪魔をしないと約束しました。今回のエピソードではそれと共にミオリネへの恋心も断ち切られてしまったかのような描写で終わっていましたが、私としては彼らの恋模様よりも、グラスレー社(サリウス)がこの結末をどう捉えるかの方が気になりました。いくら今までシャディクがサリウスの信用を勝ち取ってきたとはいえ、「ガンダムアレルギー」のサリウスに命じられた「GUND-ARMを破棄せよ」という今回の命令には従えなかったわけです。そもそもシャディクはGUND-ARMの破棄は考えておらず、利用するつもりだったようですがそれすらもできなくなりました。サリウスは、今後もシャディクを後継者として受け入れ続けてくれるのでしょうか。

 グエル―ヴィムの親子関係を見ていると、実子ゆえのサポートをしてもらえている部分がある(ダリルバルデを用意してもらったり、今回子会社のポストを用意すると告げられたり)のですが、シャディクは養子です。自分の意にそぐわないならばと、切り捨てられてしまうリスクはないのでしょうか。さすがにエラン(強化人士4号)のように処分(物理)されることはないでしょうが、彼の立場が危うくなることは考えられます。今後の義父子関係に注目です。


 ――グエルはこのまま退学してしまうのか

 グエルは6話の時点で「学費を払ってもらうだけありがたいと思え」とヴィムに言われていたことから、まさか退学になるとは思っていなかったことでしょう(私も想定外でした)。退学取り消しをかけて決闘が発生したら熱いですが、本人が決闘することは禁じられている上、寮を追い出されている以上5話のように他者のMSを使って戦うこともできません。㈱ガンダムの社員として雇うべく、ミオリネが動いて退学阻止してくれないでしょうか……(希望的観測)。

 もしこのままグエルが退学してしまった場合、第二クールで彼は敵役になる気がするんですよね……。GUND-ARMの登場で一番辛酸を舐めさせられているのがジェターク社なので、プロスペラ・スレッタ母娘を倒すための道具にさせられそうな気がしてならないです。いずれにせよ、グエルの将来の目標はカテドラルのエースパイロットだったはずなので、父の決定は本意ではないはず。彼が次回どう動くのかは注目です。

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