第7話 シャル・ウィ・ガンダム? 感想・ミオリネ無双と不穏な大人たち
6話の世知辛いラストからの軽快な本タイトルで、どんな内容なのだろうといぶかしんでおりましたが、前回の空気感は引き継いだまま文字通り「ガンダムしませんか?」という内容で驚きました。
大人たちが動く回でもあり、考察の余地が多いので早速行ってみましょう。
◆OPで新機体登場
OPからさっそく変更がありましたね。デリングの背後にGUND-ARMらしき2機のMSが映っていました。ネット情報によると、この2機はガンプラ発売が決定しているルブリスウルと、ルブリスソーンとのことです。
ネット情報が正しいとすると、ルブリスの名を冠する機体であるにもかかわらず、プロスペラではなくデリングの背後に映っている理由が気になりますね。後述する㈱ガンダムの出資をしているため、結局はデリングが開発に口出しをしてくるのか、それともGUND-ARMにデリングが復讐されることを暗示しているのか。またこれらのMSのパイロットは誰が務めるのか。疑問は尽きません。
◆21年前=ヴァナディース事変(=prologueの事件)でほぼ確定
プロスペラとミオリネの会話から、6話でベルメリアが言及していた「21年前の事件」がprologueの事件でほぼ確定しましたね。プロスペラがデリングのことを「GUND-ARMを廃棄した英雄」と述べていることから確実でしょう。ということは、やはりスレッタとエリクトの年齢に齟齬が生じます。スレッタ≠エリクトがほぼ確定しましたね。この辺りはもう少し情報が出たら、本感想置き場で再度考察したいと思います。
◆シャディク→ニカの「“このあいだは”ありがとう」の意味
シャディクの一言により、ニカの存在が一気に不穏になってきましたね。「このあいだ」がいつのことを指すのか不明ですが、一番あり得るのは直近のエラン戦におけるエアリアル&フライトユニットの開発データを提供したとかでしょうか。それでシャディクはエアリアルのみならず、ファラクトもガンダムという確信を強め、義父(サリウス)に進言したとか。
あるいは2話の審問会を受けて、シャディクはサリウスに「お前は娘のほうを探れ」と言われていたにもかかわらずあまりスレッタに接触する様子が見られなかったことから、2話以降にニカに命じてスレッタの言動を探らせていた可能性があります。個人的にはそもそも1話で、被差別階級であるアーシアンのニカが、自分をいじめかねないスペーシアンのスレッタに積極的に話しかけていたのに違和感を覚えていたので、もしかしたらこの時点でシャディクと何かしらの協定があったのかもしれませんが。
◆暗躍する大人たち
・グラスレー社(サリウス)
――サリウスとペイル社の協力内容とは
冒頭でサリウスは、ペイル社のMS(ファラクト)がGUND-ARMだと確かめたうえで、共闘を呼び掛けていました。この内容はおそらく、ペイル社の特別公演の枠を使っての魔女裁判(スレッタを表舞台に立たせ、エアリアルがGUND-ARMだと認めさせること)でしょう。なお、ヴィムも芝居に一枚噛んでいたうえに、ラウダにプロスペラの隔離を命じていたことからジェターク社もこのことを知っていたと思われます。思惑は三社それぞれに異なるでしょうが。
――サリウスはデリングの真意を知った上で、どうするつもりなのか
サリウスの目的は、魔女裁判をすることでデリングがどう動くかを見極め、彼がGUND-ARMを認めるか否か確かめることでした。ミオリネの動きは想定外だったはずですが、結果的にデリングが㈱ガンダムに投資したことで、デリングにGUND-ARM廃棄の考えはないことが露呈しました。この上で、グラスレー社はどう動くのでしょうか。
今のところ、グラスレー社のMSだけエアリアルと戦闘しておらず、戦闘データを持っていません。しかし、この会社はprologueで出てきたベギルベウを開発しており、対ガンダム兵器を所持している可能性が高いです。何らかの理由でアンチガンダムの意識が強く、今後も㈱ガンダムの邪魔をしてくるかもしれません。その際、シャディクがどう立ち回るのかが気になるところです。
・ペイル社(ニューゲンら4名)
――まだ強化人士を用意しようとしているわけ
ペイル社は魔女裁判の過程で、ガンダム廃棄を公に宣言しています。これが言葉通り実現するならばファラクトは廃棄、強化人士も不要となるはずです。しかし実際には6話でベルメリアに「早く次(の強化人士)を用意しなさい」と言っていたり、7話でオリジナルエランに「まだ次の強化人士が用意できておりませんので」と言っている辺り、まだ強化人士の開発は続けそうな雰囲気です。このことから、GUND-ARM事業の凍結は口先だけで、実際は密かに開発を続けるつもりだったのではないかと思われます。
しかしミオリネの提案により、ペイル社のGUND-ARM開発部門がM&Aで㈱ガンダムに買収されてしまうことになりました。今回の件で最も割を食ったのはペイル社なのかもしれません。その割にCEO4人組は爽やかな顔で「風向き、変わりそうね」などとのたもうておりましたが。逆に考えると、GUND-ARM開発を密かに続けていたということはGUND-ARMに可能性を見出していたということでもありますから、㈱ガンダムの事業には純粋に期待しているという線もありえますね。それが自社の利益に繋がらないという意味では、面白くないはずなので彼らも何らかの方法で㈱ガンダムに介入してくる可能性があります。
また㈱ガンダムがペイル社とシン・セーの開発部門を統合した場合、強化人士の開発もそちらに移管される可能性が高いです(強化人士4号の発言通り、“ガンダムに乗るためだけに作られた使い捨ての駒”という意味合いだけの存在だとするならば、ですが)。6話までのエラン=強化人士だったというのがミオリネらにばれる可能性がありますが、その辺はどう誤魔化すつもりなんでしょうね。
――ペイル社が魔女裁判に賛同したわけ
上述したように、本当にGUND-ARMの開発部門が凍結された場合、一番割を食うのはペイル社です。ミオリネのプレゼンでの試算が正しければ、莫大な量の損金が出ることになりますし、最新鋭機の開発凍結はMS開発企業として痛手なはずです。それなのにサリウスの提案に乗ったのは、なぜでしょうか。
①競合他社となりうるエアリアルを廃棄させ、自らは密かに開発を続けるつもりだった
②エアリアルと同じくジュターク社のMSを倒した機体ゆえ、デリングはファラクトを価値ある機体と判断し、廃棄させないと踏んでいた
③GUND-ARM開発を白状する代償として、サリウスから何かしらの提案(金銭の受け渡しなど)を受けていた
ぱっと思いつくのはこの3つくらいですが、3つとも、という可能性もあり得ます。いずれにせよペイル社はGUND-ARM開発肯定派なので、今後も暗躍しそうですね。
・ジェターク社(ヴィム)
――ラウダ(ヴィム)はプロスペラをどうしたかったのか?
末席からではありますが(サリウスやデリングと同じ席にいなかった辺り、ジェターク社の凋落ぶりが伺えます)、ヴィムはペイル社CEOたちにGUND-ARM開発の責任を問う発言をしていたことから、グラスレー社とペイル社の計画は知らされていた可能性が高いです。その上で、ラウダにプロスペラを会場の外へと誘導するよう指示していたのはなぜでしょうか。
考えられるのは、2話のようにプロスペラの口八丁で「エアリアルはGUND-ARMではない。決闘で勝てば破棄しないというルールに従ったはずだ」等と言いくるめてしまう可能性を恐れたサリウスが、ヴィムに指示したのでしょう。またヴィムが2話の審問会で、プロスペラをかばう発言をしていたことをサリウスは疑っていましたので、その疑いを晴らさせるためにもヴィムを自分たちとは別の場所に待機させ、プロスペラと共謀していないことを身をもって示させたのかもしれません。
サリウスの目的としては、魔女裁判をプロスペラに邪魔されなければよいので、デリングの反応を見るまでの間会場から引き離していればよかっただけのはずですが、㈱ガンダム設立後にまだ引き留めるのかとプロスペラに問われたラウダの反応は苦々しいものでした。
おそらくヴィム及びラウダは、グエルを倒した2機のGUND-ARMを協定違反だとして、まとめて廃棄させるづもりだったのでしょう。つまりペイル社がインキュベーション会場での発言通りファラクトを廃棄し、その流れでシン・セーのエアリアルも廃棄せざるを得ない状況に追い込むのが彼のシナリオだったはずです。グエルが学園のホルダーだったことから、GUND-ARMがなければジェターク社が最強だったわけで、今最もGUND-ARMを廃棄させたいのはジェターク社でしょう。前述した通り、恐らくペイル社は会場では廃棄を約束しても、内々ではGUND-ARM開発を続けたでしょうが、そこまで読み切れていない辺り良くも悪くも腹芸が苦手な印象を受けます。他二社に比べて実力のみで勝負しているにもかかわらず、今まで会社の業績も学園でのホルダーの地位も維持してこられたあたり、地力の高さは感じられますが今後グラスレー社にスポットが当たっていくであろうことを考えると、旗色は悪いように思います。
・プロスペラ
会場ではミオリネをたきつけ、魔女裁判中にはラウダに従い会場の外に出ていたプロスペラですが、上記の御三家(&ミオリネ)の動きをどこまで読み切っていたのでしょうか。1話でヴィムのデリング暗殺を察知していた&5話で秘書らしき男性(名前を失念しました……)に「ペイル社が動きます」と報告されていた辺り、優秀な情報網を持っているようですが、今回の件をどこまで察知していたのでしょう。おそらくペイル社が魔女裁判をする件は把握していたはずですが、他社のシナリオ通りであればエアリアルの廃棄は免れなかったはずです(スレッタにあの場を切り抜ける力はないことは織り込み済みと思われます)。
ミオリネ&デリングが動かない限り、エアリアル廃棄の危機は回避できなかったはずなので、あの二人がGUND-ARM保護の方向に行くところまで予想していたのではないでしょうか。ミオリネを焚きつけていたのもその計画の一環ではあると思いますが、シャディクが「(ミオリネは)誰かのために動くことなんてなかった」と評しているミオリネがそこまでしてくれると予想するのは難しかったはずです。となると、デリングがGUND-ARMを廃棄しないという確信があって、魔女裁判が行われるとわかっている会場にスレッタを送り出したことになります。やはり本作で一番恐ろしい親は、プロスペラかもしれません。
・デリング
2話ではあれだけエアリアルを廃棄しようとしていたデリングが、なぜここにきて㈱ガンダムへの投資という形でGUND-ARM開発を承認したのか。そこが今回の最大の謎です。彼はprologueで「全てのGUND-ARMを否定します」と述べた張本人であり、娘のミオリネには甘いからというだけでは済まされない、何らかの理由があるように思われます。でないとそれこそダブスタク○親父になってしまいますからね。
サリウスもデリングの変心を薄々感づいていて、それゆえ今回の魔女裁判を仕組んだものと思われます。デリングはprologueの時点ではサリウスの部下でしたから、彼の変心を最も訝しむのがサリウスというのは自然な流れでしょう。
なぜ、デリングはGUND-ARMを認める方向に舵を切ったのか。デリングの考えを知ったグラスレー社、GUND-ARM開発部門を㈱ガンダムに取られたペイル社、GUND-ARM2機の廃棄を止められなかったジェターク社はそれぞれどう動くのか。第一クール後半は、彼ら大人たちの暗闘が垣間見えそうです。そして彼らの動きをはねのけて、学生企業と相成った㈱ガンダムはどういった船出を迎えるのか。今後の展開にますます目が離せません。
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