第6話 鬱陶しい歌 感想・今作における歌は呪い
強化人間の最終的な処遇が比較的マイルドなシリーズばかり見ていた(ナラティブを除く)こともあり、今回の話はかなりショックが大きかったです……いや歴代シリーズと比較しても、「処分された事実を主人公ほかメインキャラが誰も知らない」パターンはあまりない気がします。ペイル社、人の心がなさすぎる……
他にも気になる点がありましたので、さっそく感想に参りましょう。
◆「21年前の復讐」の意味
――スレッタ≠エリクトなのか?
さて、前回の感想では「スレッタ=エリクト」派であると言った私ですが、今回のベルメリアの発言によりかなりそれが怪しくなってきましたね。今スレッタは17歳、21年前の復讐~と言っている「21年前」の出来事がprologueを指すのであれば、スレッタはまだ生まれていないどころか、エルノアのお腹の中にすらいないことになります。となると「エリクトはどうなったのか?」「スレッタの父親は誰なのか?」という疑問が新たに湧いてきます。
まず、スレッタが5話で「きょうだいはいない」と言っていることからエリクトの存在は知らないことになります。もう生きていないか、何らかの手段でエアリアルに組み込まれているかという可能性が高くなりますね。機体に人格が組み込まれているパターンは鉄血やナラティブでありましたが、VSエラン戦でエアリアルのガンビットが少女の形になったり、女の子の笑い声が聞こえた(かつ、その声はスレッタも認識しており、「いつもより、声、聞こえた気がする」と感想を零している)辺りナラティブにおけるリタ(ガンダムと一体化しており、操縦したりニュータイプの能力で自らの声を親しい人に届けたりすることができる)に立場は近いように思います。
すなわち意図的に第三者がMSに人格を組み込んだのではなく、エリクトがGUND-ARMへの適応性が高すぎて同一化してしまったというイメージでしょうか。これによりエリクトはGUNDを身にまとい、宇宙空間に適応できる力を手に入れたことになるわけで、prologueで博士が述べていたGUNDが作る理想の未来の形を体現しているといえます。
とはいえあくまで操縦するのはスレッタなので、エリクトは自らの意志でエアリアル(≒自分の身体)を動かすことはできないわけですが。そこはガンダム(名称はフェネクス)と一体化しているリタと違う点ですね。今後、スレッタの意図とは違う挙動をエアリアルがする場面が現れるかもしれませんが。
この状況においても「スレッタ=エリクト」と考えるのであれば、21年前の出来事≠prologueで、ベルメリアの発言がミスリードという可能性、あるいはスレッタが実は25歳で、年齢詐称して学校に通っている(なお、本人はそれを知らない)の何れかになるかと思います。どちらも確度は低いですが、個人的には前者の可能性はまだ残されている気はします。「スレッタ=エリクト」と仮定した場合prologueの出来事は13年前になるはずですが、それよりさらに8年前にあったであろう事案となると、ヴァナディース機関とオックス社の協業辺りが可能性として挙げられるでしょうか。
ベルメリアはヴァナディース機関の出身ですから、オックス社に買収されたことでMS開発に着手したことがすべての元凶、と捉えているのであれば可能性はゼロではないかと。しかし素直にとらえるのならば、「スレッタ=エリクト」の可能性は低くなりましたね。今後エリクトがどういう形で再登場するのか、気になります……
――プロスペラ→ベルメリアの「魔女狩り」は執行されるのか
ベルメリアの元を去った直後、プロスペラが「魔女があぶり出された」という旨のことを電話で言っていましたが、恐らく彼女はベルメリアのことをそのまま放置することはないでしょう。わざわざ彼女が作ったGUND-ARMが学園に登場するよう仕向けているわけですから、ベルメリアないしペイル社に対して何らかのアクションを起こす可能性は高いかと思います。それが2話で行われたような審問会なのか(ファラクトはエアリアルとは違い、GUNDフォーマットの生命倫理問題をクリアしていないため審問会に出されたら、十中八九ガンダム認定されると思われます)、プロスペラの個人的なネットワークを用いて何らかの鉄槌を下すのか。数話後にプロスペラが何らかの形で「魔女狩り」を執行して、「魔女はわたしたちだけいればいいのよ」的な発言をしそうで怖いです。
いち視聴者としては、ペイル社のGUND-ARM開発を糾弾するついでに強化人士たちも救済してくれることを願いますが、プロスペラがそこまで気を回してくれる人には思えないので、微妙なところですね。
◆エアリアルのガンビットから現れた少女のシルエットの意味
――人形はAIか、それとも……
エランとの決闘で、ファラクトのガンビッドに囲まれピンチの時に、逆にエアリアルのガンビットがファラクトを囲みました。その瞬間エランの目に映ったのは少女の形をしたガンビットと、彼女らのものと思われる笑い声。この描写によって、エアリアルの中には誰か少女がいるのではないか? と想像させられます。
この少女の正体として考えられるのは、①かつて強化人士を育成する施設でエラン(強化人士4号)と共に育った少女 ②エアリアルの中にいるAIが擬人化して現れた ③前述のプロセスを経てエアリアルに取り込まれたエリクト の3択あたりでしょうか。③は先ほど述べたので、①②について考えてみたいと思います。
まず①ですが、ガンダムにおいて、亡くなったニュータイプ(ないし強化人間)が登場人物の傍に表れて語りかけるシーンは定番といえます。今回の強化人士4号についても、それと同じパターンでかつて施設で共に育てられた少女の幻影を目にしたことで、過去を思い出したという可能性がありえます。強化人士4号は「エラン様」の代理のため強化人士は男性だけと思いがちですが、別の目的で女性の強化人士がいないとも限らないですから。
②については、もともとエアリアルのプロトタイプ機と思われるルブリスの時点で、「GUNDフォーマットと人体の間にAIを挟むことで、データストームの人体流入リスクを低減させる」というコンセプトがあったと思います。ゆえにエリクトが組み込まれていないのだとしても、データストームを肩代わりしてくれるAIが存在しているはずです。そのAIがスレッタと長い時間対話して過ごすうちに人格をもち、少女の姿を取っているという可能性がありえます。「スレッタ=エリクト」説を推したい私としては、これが一番有力だと思っているのですが……このパターンですとAIに人格が複数あって、それがガンビットそれぞれの個性に繋がっており、スレッタが「みんな」と呼び掛けているという風にも辻褄が合うので。
あるいは②③がミックスした形という可能性もあり得ます。すなわちエアリアルのAIにエリクトの人格が取り込まれたことで、ガンビットが擬人化したという線です。元々エアリアルにもAIは組み込まれているはずなので、スレッタ≠エリクトならば、この線が一番濃いかもしれません。
◆エランの今後について
6話を最後まで見る限り、強化人士4号はほぼ間違いなく廃棄処分(物理)になったと思われますが、その場合ペイル社はぼろを出さないために、学園にはすぐ強化人士5号を送り込んでくるでしょう。その上で生じるであろう周囲との記憶の齟齬をどう解決するつもりなのかは謎ですが。5話と6話の内容がまるまるリセットされたらさすがに悲しすぎます……
さらに恐ろしいのが、強化人士たちの使命はGUND-ARMを用いた学園での決闘勝利=ホルダーの奪取=ミオリネの獲得だと思われるため、スレッタが勝ち続ける限り、今後も強化人士たちの犠牲は増えていくことです。スレッタがこの真実を知ったら病みそうなので、お母上(プロスペラ)にはさっさとペイル社の闇を暴いてもらい、GUND-ARMと強化人士の開発をストップさせてもらいたいところです。
また、ちらっと登場した「エラン様」が何者なのか、今後物語に登場するのかも気になりますね。ペイル社はCEOが4人いるので、このうちの誰かの息子で密かに育てられているボンボンなのか、あるいはかつてのデリングのように、血筋はまったく関係のない、ペイル社の将来有望な幹部候補なのか。後者の場合、大人たちの会議に顔を出しているシャディクとは面識がありそうなので、エラン様≠強化人士4号であることに気づきそうですが、どうなんでしょう。現時点でシャディク周りのエピソードが少ないので、彼がどこまで知っているのかは気になります。
また強化人士4号が処分されていたとして、このまま処分の事実に誰も気づかないまま物語が進むのか、誰か気づくのかも気になるところです。誰も気づかないまましれっと5号が登場して、何事もなかったかのように話が進んだら悲しいのですが、スレッタが自らの決闘の結果、4号が処分されたという事実に気づいたらそれはそれでショックが大きそうなので、どこまでの情報が登場人物たちに開示されるのかは気になるところです。
◆来週について
来週の放送は特番ということで、この感想もお休みする予定ですが、何か新たな発見があった場合は更新するかもしれません。また、感想ではなく【考察】を更新する可能性もありますので、引き続きごゆるりとお楽しみいただけますと幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます