第4話 みえない地雷 感想・人の思いを背負うもの同士、共鳴するふたり
今回からスレッタの制服がホルダー仕様になったり、学園に送り出してくれた仲間の思いを背負うスレッタの立場がチュアチュリー(チュチュ)に認められたりと、OP映像と符合する種まき回となったエピソードでしたね。
主にスペーシアンズ、アーシアンズの確執が描かれましたのでその辺りを中心に書いていきたいと思います。
◆ミオリネ、スレッタは入寮していない
――入学後に選べるのか?
今回のエピソードで、ミオリネ=理事長室に滞在、スレッタ=入寮していないことが明らかになりましたね。ミオリネは「親父(デリング)から奪ってやった)」と言っていましたが、そもそもベネリット・グループの直系である彼女が他の会社の名前を冠する寮に入るのは何かと問題がありそうなので、デリングも了承済みの件なのでしょう。1話でグエルが「ジェターク寮に来い」と言っていた意味も判明しましたね。今は中立でどの寮にも属していないミオリネですが、婚約者が決まればその量に所属するのもやぶさかではないということだと思われます。
こうなると逆に、スレッタの寮が決まっていなかったのが不思議です。3話でプロスペラとビデオ通話していた私室らしき部屋はどこだったのでしょうか。編入性ということで、寮が決まるまでの間職員宿舎的なスペースの一角に住まわせてもらっていたのかもしれませんね。とはいえ、少なくともスペーシアンの寮は会社名が冠されているので、基本的に親が所属する会社名を冠した寮に入るパターンが多そうです。となると入学時から自動的に入る寮は決められていそうですが、なぜスレッタは決まっていないのでしょうか。
スレッタの親の会社、シン・セー開発公社はベネリット・グループ傘下ですが寮をつくれるほどの有力企業ではない。ゆえにどこかのスペーシアンの寮に入るというわけにはいかないし、さりとて地球寮でもない……という微妙な立ち位置のせいで、振り分けがうまくいっていなかったのかもしれません。この辺は、次の疑問にもつながっていきます。
――地球寮の住民は全員アーシアンなのか?
スレッタが階段でニカたちと会ったときに、「アーシアンって、地球出身の人ってことですよね?」といったニュアンスの質問をした際、その場にいたリリッケかアリヤが「言葉のままの意味じゃなくて……」といったふうなことを言っていたことから、アーシアン=地球出身者という方程式が必ずしも成り立つわけではなさそうです。スレッタのように、スペーシアンではあるものの有力企業出身ではなく、各スペーシアン用の寮に入れないという人も地球寮に所属しているのかもしれません。
公式HPの「学籍番号」の項目を見ると、番号は推薦企業のヒエラルキーで決定するらしいので、この番号が大きい人は、たとえスペーシアンでも地球寮に属している可能性があるなと思った次第です。
◆スペーシアンズ>アーシアンズの力関係
――アーシアン=地球出身者というわけではない?
スペーシアン(宇宙出身者)がアーシアン(地球出身者)より地位が高いというのは、歴代ガンダムの中でも珍しい関係性ではないでしょうか。大抵のガンダムでは、宇宙にいるのは貧しい移民で、限られた特権階級の人々が地球に住んでいるという構図が多かった印象があります。それゆえ定期的に、宇宙の人々は地球を攻撃したり(ファーストほか宇宙世紀シリーズ諸々)、地球に移住しようとしたりしていました(ターンエー、Gのレコンギスタ他)し。
ここで少し気になるのは、前述した通りアーシアン=地球出身者とは限らない(かもしれない)ということです。弾圧される側にいるスペーシアンのことも、まとめてアーシアンと呼ばれている可能性があります。たとえばベネリット・グループに所属していない企業の子息や、スレッタのようにベネリット・グループ傘下でありながら弱小企業の子息なども。それが前述した「言葉のままの意味じゃなくて……」に通じているのではないでしょうか。映像で見た限り地球寮はかなり広そうでしたが、あれだけの人数の地球出身者がアーシアンズの御用学校であるアスティカシア高等専門学園にいるとは考えにくいです。チュチュのような純粋なアーシアンは地球寮でも珍しく、故に彼女は人一倍スペーシアンに対する敵愾心をむき出しにしているのではないでしょうか。
なお4話を見る限り、ベネリット・グループをはじめとする宇宙育ちの企業が地球に各種工場を持っており、そこの従業員や元の地主である地球出身者たちから反発を受けているようです。デモの鎮圧部隊には、ベネリット・グループの御三家のMSが仲良く並んでいましたので、御三家の特定の会社が鎮圧しているのではなく、鎮圧している会社なり組織なりに御三家が平等にMSを供給しているものと思われます。
――アーシアンズ(特にチュチュ)が学園に入るメリットとは?
さて、アスティカシア高等専門学園は学籍番号の振り分けルールからもわかる通り、ベネリット・グループ傘下の有力企業の子息たちを育てるための育成機関であり、いわばスペーシアンズの御用学校です。そんな学校にわざわざアーシアンズが入る意味は何なのでしょうか。パイロット科やメカニック科であればまだ、この世界の一流企業である御三家らの技術に直接触れられるというメリットがあるのでしょうが、経営戦略科は謎です。そもそも御三家の技術をアーシアンズが学んだところで、彼らにベネリット・グループの傘下企業に入りたいという意識はあるのでしょうか。少なくともチュチュにその意思は感じられないのですが……
ベネリット・グループが運営する学園において、地球出身者の地位が低く、かついじめの対象になることは火を見るより明らかなのに、火中の栗を拾いに行ってまで得られるメリットとは何なのか。なぜチュチュは地球の仲間たちの思いを背負って学校に行っているのか。その辺りの目的が気になります。
・ミオリネはなぜ地球に行きたがっているのか?
――ミオリネ母の正体やいかに
さて、スペーシアンズとアーシアンズの対立構造がこれでもかと描かれた4話でしたが、こうなってくるとミオリネが地球に行きたがっている理由が気になってきます。彼女は生粋のスペーシアンであり、学内カーストでも最上位に属するベネリット・グループの直系です。当然ながらアーシアンズとの対立も理解しており、地球出身者が搾取されている現状も把握しているはずです。それにもかかわらず地球に活きたがるのはなぜなのでしょう。
恐らく、今は亡き彼女の母の存在が関係しているのでしょうが、まだこの辺りは本編で詳しく触れられていません。1話でスレッタが食べたトマトが、ミオリネ母の手によって品種改良されたものという話が出ていたくらいですかね。ですので恐らく、ミオリネ母はアーシアンか、あるいはスペーシアンでありながら地球で事業を興そうとしていた人なのかもしれません。となるとミオリネの夢は、地球で事業(農業?)を興すことになるのでしょうか。スペーシアンの中でも、アーシアンから最も敵視されているであろうデリングの一人娘がそんなことをして上手くいくとは思えませんが、もし軌道に乗せることに成功したら、スペーシアンズとアーシアンズの融和の第一歩になるのかもしれません。ミオリネがどこまで考えているのかはわかりませんが、少なくとも彼女自身はアーシアンズに対する差別意識は持っていなさそうなので、今後の展開に期待ですね。
・引き上げられるダリルバルデ
――グエル専用ディランザの再活躍はあるのか?
余談じみていますが、前回活躍したダリルバルデが学園から引き上げられる描写がありました。しかし喧嘩っ早いグエルがその間決闘なしで学園生活を送れるとは到底思えませんので、その際はグエル専用ディランザが再び日の目を見ることになるのかもしれません。さすがにディランザの活躍の場が1話冒頭の決闘シーンと、VSエアリアルの細切れになったシーンだけでは寂しすぎるので、もう少し出番があればいいなというのが個人的な願望です。
とはいえ、3話の感想にも書いた通りダリルバルデの戦闘があれで終わりとも思えないので、こちらはこちらで今後の活躍に期待です。
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