第1話 魔女と花嫁 感想・新しいガンダムの始まりだ!

 第1話、私はTVアニメとして放映されるガンダムシリーズはほぼ全て録画しており、『水星の魔女』も例外ではないのですが、話の内容が気になりすぎて結局リアルタイムで視聴してしまいました。その後Youtubeのガンダムチャンネル上で行われた声優陣のトークショーも併せて視聴しました。リアルタイムで見ると、こうしたイベントやtwitter実況などにも参加できるのがいいですね。以下、気になったことを整理していきます。


◆スレッタ、ミオリネはどこの寮所属なのか?

 ホームページを見る限り、アスティカシア高等専門学園では、生徒たちは4つの寮にわかれて暮らしているようです。スペーシアン(宇宙出身者)はジュターク寮、グラスレー寮、ペイル寮。アーシアン(地球出身者)は地球寮と大別されています。

 しかし、それ以外にも寮があるのかはわかりませんし、スペーシアンの3つの寮はどのような基準で振り分けられているのかも不明です。単純に考えると、学園に入学する際に推薦してくれた企業が御三家のどの会社と親しいかで決められていそうです。が、その場合御三家を統括する立場にあるベネリット・グループの直系・ミオリネがどの寮に入っているのかは気になります。


 温室にいるミオリネに、グエルが(自身が所属する)ジェターク寮に入るよう命令しているシーンがあります。ということは、ミオリネはこの時点でジェターク寮所属ではないということです。まさかベネリット・グループの本社から通いというわけでもないでしょうし、彼女が所属する寮はどのように決められているのかは気になります。

 仮にミオリネは決闘の勝者=婚約者が所属する寮に入るのだとすれば、今度はスレッタの所属寮が気になってきます。編入生の場合、所属する寮の先輩が学校案内をしてくれるのが筋な気もしますが、1話でスレッタに案内を申し出ているのは地球寮所属のニカです。スレッタは生粋のスペーシアンであるはずなので、ニカと同じ寮という可能性は低い。となると御三家の名を冠したどこかの寮に所属するのが筋ですが、これがはっきりしない。仮にジェターク寮だとすれば、そこの筆頭であるグエルを知らないというのも妙な話ですし、グラスレー寮、ペイル寮だとする決定的な証拠もない。

 どこの寮に所属するかによって、どんな派閥争いに巻き込まれるのかが変わってきそうなので気になるところです。


◆戦闘時になるとどもらない主人公

 「ゆりかごの星」に描かれていたように水星では老人たちとしか接していなかったスレッタは、年の近い学生同士相手だとコミュ障を発揮しどもりまくっています。しかし戦闘シーンになると一転、どもりは収まり「あんなのに負けません!」という強気な発言まで飛び出します。ギャップがあってかっこいいですし、それだけエアリアルの中にいると安心するのだという証左にもなります。

 とはいえ、冒頭で宇宙を漂うミオリネを救出するシーンではエアリアルの中にいながらもどもりまくっていたので、イレギュラーな事態には弱いのかもしれません。


◆なぜデリングは、ミオリネを決闘の勝者と結婚させるルールにしたのか?

 1話最大の謎はこれといっても過言ではありません。話の都合と言われればそれまでですが、いろいろと考察の余地があるのがガンダムシリーズの魅力でもあります。一応、それらしき理由が無いか少し探ってみましょう。

 まず、ミオリネは経営戦略科に所属していることからも、周囲からはベネリット・グループの次期総裁と見做されているはずです。となると、彼女の結婚相手はベネリット・グループをも手に入れると言っても過言ではありません。しかも彼女は容姿端麗。となれば星の数ほどの縁談が持ち込まれることは想像に難くありません。

 結婚相手をふるいにかける方法として手っ取り早いのは、ベネリット・グループ傘下の企業のうち、成績優秀な会社の跡取りと結婚させること。これは政略結婚としてよくあるパターンでしょう。この場合、対象は御三家の子息であるグエル・シャディク・エラン(※子息との記述はありませんが、筆頭とされているので前二人と対等な関係だと思われます)の3択になるわけですが、デリングは3人の人となりまではよく知らないはずです。

 そこで3人から1人に絞るわかりやすい方法が、学園にある決闘というルールだったのでしょう。デリングは軍人出身ですから、ミオリネの夫となる人物には強さを求めたのかもしれません。となると、彼らのMS操縦技術及び御三家のMS開発技術をいっぺんに推し量ることができる決闘は、手っ取り早く結婚相手を決めるのにちょうどよかったのかもしれません。


 しかしグエルの決闘の様子から察するに、決闘は誰でも申し込むことができるようです。となると、1話でグエルがスレッタに粉砕されたように、思いもよらない伏兵がホルダーを倒してしまう可能性は考えられなかったのでしょうか。スレッタでなくても、他の実力者が御三家の筆頭を上回るMS操縦技術を示してしまったら、ミオリネはその人と結婚する羽目になります。それは恐らく、デリングの望むところではないでしょう。

 それでもなお、「御三家のなかで」という但し書きをつけずに決闘の勝者を婚約者とするルールを定めたということは、それだけ御三家とそれ以外の会社のMSで性能に開きがあるのかもしれません。あの学園に入れるのはベネリット・グループの推薦を受けた者だけだとすると、基本的に生徒たちもベネリット・グループの関係者ばかりが集まっている……つまり競合他社に所属する生徒はいないことになります。であるならば、ベネリット・グループ内の会社同士の力関係が、そのまま生徒間の力関係に繋がるというのは頷ける話です。



◆ミオリネ搭乗時とスレッタ搭乗時で提示される武器の数が異なるエアリアル

 エアリアルに搭乗したミオリネが「武器は?」と言って武装を探しているシーンでは、選択肢は三つくらいしか出ていません。しかしスレッタ搭乗時は、恐らくフルで武装が提示され、ミオリネが探していた時には出なかったガンビットが選択できるようになっています。

 これはprologueで描かれていた「レイヤー○○からのコールバック」の度合いの差だと思われます。エアリアルと深く同調することのできるスレッタはエアリアルの武装をすべて使いこなせるのに対し、エアリアルからの信頼が薄いミオリネは同調のレベルが低く、初期装備しか使えないようになっているのでしょう。これは二人の操縦技術の差ではなく、GUND-ARMの仕様によるものと推察されます。



◆エアリアルとルブリス量産型の違いは?

 ――体へのダメージは本当にあるのか?

 MSパイロットとしてはど素人なはずのミオリネが搭乗し、ビームライフルを撃つ描写がありましたが、その時点でミオリネの身体に負荷がかかっているようには見えませんでした。ライフルを撃った後機体ごとふらついていましたが、それはミオリネの操縦技術の低さが原因であり、GUNDフォーマット云々は無関係でしょう。

 パイロットがスレッタに交代し、ガンビットを射出した後もスレッタがダメージを負い苦しんでいる様子は皆無でした。つまり「ただ乗るだけ」ならGUNDフォーマットによる身体へのダメージはほとんど無いものと思われます。これはprologueでガンビットを用いていたガンダム・ルブリスと同様です。

 しかしprologueでパイロットに甚大なる負荷をかけていたルブリス量産型と同じGUNDフォーマットを使った機体である以上、身体へのダメージが皆無であるとは考えられません。それは「GUNDレベル」を引き上げることによって引き起こされるのかもしれません。

 

 ――今後エアリアルでGUNDレベルを上げる展開は出てくるのか?

 今のところ、スレッタは学園最強パイロット「ホルダー」なので、GUNDレベルを上げてまで戦わなければならない強敵が、学園内に現れるとは考えにくいです。もっとも、シャディクとエランが決闘において不戦敗の姿勢を貫いていただけで、実はグエルより強いという可能性もありますが。

 つまりそれだけの強敵は、競合他社か、prologueで登場したカテドラル傘下の機体くらいに限られる気がします。とくに後者は実働部隊……実際の軍事組織なわけですから、スレッタも苦戦する可能性があります。しかもかれらはベギルベウに搭載していたアンチGUNDシステムの技術を保有しますし。しかし、もしアンチGUNDシステムを使われたら、GUNDレベルを上げるという方法で対処することはできません。

 今後スレッタは誰と戦っていくのか、またどこでGUNDシステムのリスクを負うことになるのか、今後の展開に注目です。

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