シーズン1 prologue~第12話

prologue 感想・ガンダムの存在否定から始まる物語

 prologueは、特別試写会で事前に視聴していたのですが、TVでも放映されましたね。第1話から始めても良いのですが、今後に繋がる伏線らしきものが山盛りですので、ここから少し触れていきたいと思います。


◆ガンダム恒例、不明用語のオンパレード

 新作ガンダムを初めて視聴する時はいつもそうですが、謎用語が大量に出てくるので脳がフリーズします。特に水星の魔女では、会社の名前が多く登場しますね。

 HPで本編のキャラクター紹介を確認すると、大企業のベネリット・グループとその傘下の御三家(ジュターク社、グラスレー社、ペイル社)+α(水星のシン・セー開発公社、オックス社)があるくらいの認識があればよいのかと。もっとも、prologueの時点では御三家が御三家として存在しているのか、そもそも、ベネリット・グループがあるのかが不明ですが。ベネリット・グループの代表であるデリングは、この時点では監査組織・カテドラルの統括代表にすぎないようですし。

 カテドラルが御三家とどのような関係にあるのか、カテドラルのMSは誰が(どの会社が)つくっているのか等は、現時点では謎ですね。


 GUNDシステムについては、公式HPの用語集に詳しい解説がありますね。要は鉄血の阿頼耶識システムのように、人間の身体機能を拡張する機能の模様。元々は医療技術で、それが軍事転用された結果かえって人体にダメージを与えているという設定は新しいですね。GUNDシステムの基盤となる物質、パーメットはさしずめ00のGN粒子といったところでしょうか。「個々のパーメット間で情報を共有する性質がある」とのことですので、今後GUND-ARM同士の対話ができそうな雰囲気を感じますね。


◆ルブリスのGUNDは本当に身体ダメージが大きいのか?

 ――博士が幼いエリクト(スレッタ)の生体認証をさせたわけ

 prologueに登場するオックス社のMSは、量産型ルブリスと、主役機といえるガンダム・ルブリスの二種類。うち前者は、「GUNDレベル(=身体とMSの同調レベル?)」を上げることによって身体への負荷がかかるような描写がありました。それが理由でGUND-ARMの開発は中止に追い込まれるわけですから、ここまでは納得できる描写です。

 問題は、ロールアウト間近のガンダム・ルブリス。性能テスト時にGUNDレベルを上げる要求をエルノア(エリクトの母)がしていることから、量産型と同様にGUNDレベルを上げることは可能と推察されます。しかし、それは博士に止められており、かつその後幼いエリクトの生体認証で機体が動かせていることから、身体リスクが少ない状態で十分な性能が発揮できるMSとなっているのではないでしょうか。そもそもルブリスが危険なMSならば、博士はエリクトに生体認証をさせたりしないでしょうし。

 エルノアがルブリスのロールアウトを焦っていたのは、評議会にGUND-ARMを認めてもらうためでしたが、その条件が「身体リスクの低いGUNDフォーマット搭載機の開発」だったのかもしれません。故にルブリスは、幼子でさえも安全にアクセスができる機体として完成したのでしょう。


 また、そもそもなぜGUNDシステムを軍事転用しようとしたのか、博士がそれに協力的なのかという疑問があります。前者の疑問はヴァナディース機関がオックス社から資金提供を受けているからといえばそれまでですが、恐らく空間認識能力の拡張など、パイロットにメリットがあるのでしょう。宇宙環境に適応できるようになるということはそれだけ、宇宙で運用するMSも操縦しやすくなるものと思われます。

 さらに、博士はGUND-ARMを単なる兵器ではなく、宇宙に適応する人類が身にまとう衣装としてのモビル・スーツとして捉えている印象があります。ルブリスを赤ちゃんに例えたり、幼いエリクトをルブリスに生体認証させたりと、彼女の言動からはルブリスを危険視している様子は感じられません。GUNDの研究者である以上、そのリスクは十分承知しているはずですが、ルブリスに対してその警戒感が薄いのはやはりルブリスが何か「特別」な機体なのだろうと思わされます。

 他のGUNDフォーマットを搭載した機体と比べ、ルブリスは何に秀でているのか。それが明らかになれば、今後『水星の魔女』本編でも核心となるエピソードになるような気がします。エアリアルはルブリスの後継機……すなわち、同じ長所を備えている可能性が高いですから。


◆ベギルベウはどこの会社のMSなのか

 ――エリクト父の直接の敵

 ネットではナディム(エリクトの父)の仇はデリングという風潮があります。確かにGUND-ARMシリーズの機体をすべて破壊するよう命令したのはデリングですが、実働部隊はその傘下であるカテドラルの直属部隊たるドミニコス隊と、そのMS・パイロットです。

 prologueを見る限り、ナディムの死因となったMS・ベギルベウの出自は不明です。カテドラルの内部で開発、設計されたMSという可能性もありますが、カテドラルはあくまで監査機関なので、他の会社が開発したMSを自組織ver.にチューンアップして使っていると考えた方が自然です。

 同じ理由で、パイロットのケナンジ・アベリーも何者か不明です。ただのいちパイロットなのか、御三家の関係者なのかはわかりません。エリクト(スレッタ)の父の仇=デリングという文脈で物語が進むのであれば、ベギルベウのパイロットについては深く掘り下げられないかもしれません。しかし、ガンダムにおいて直接的な仇と対決する話は事欠きませんので、もしかしたらどこかのタイミングでひょっこり出てくるかもしれません。ルブリスに逃げられていますので、GUND-ARMには因縁を感じていそうですし。


 ――GUNDを無効化するスキルもち=GUNDに詳しい会社が開発元

 ベギルベウの性能で特筆すべきは、GUNDフォーマットを無効化する武器を備えていたことでしょう。これはつまり、カテドラルあるいはドミニコス隊に、GUNDシステムに詳しい人物が存在することを示唆しています。

 オックス社ないしヴァナディース機関に内通者がいた場合は話が早いですが、そうではない場合、ペイル社の関与が疑われます。なぜなら、現時点(2話放送終了時)で「ガンダム」と名のつくMSを所有しているのは、エランがパイロットであるガンダム・ファラクトのみだからです。エランはペイル社のCEOたちと直接の血のつながりがなさそうなので関係性は不明ですが、他の御三家とその子どもたちが搭乗するMSの関係性を鑑みると、ガンダム・ファラクトはペイル社が開発したMSと考えるのが妥当な線かと思います。

 ただし、ベギルベウの見た目だけでいうと、シャディクが乗るミカエリスの方がビジュアルが似てるんですよね。藤色と白を基調としたカラーリングに、細身の鋭利なシルエット。もしかしたら、グラスレー社とペイル社の共同開発という線もあるのかもしれません。これらの予想がかすってもいない可能性もありますが。いずれにせよ、今後本編で明かされる可能性がありますので、注目しております。



◆地上波で放送した意味

 冒頭で軽く触れましたが、prologueは各地で特別試写会として上映されていました。私はてっきり「試写会でしか見られない」ものだと思っていましたが、ふたを開ければ本編開始の一週間前に、TV放送がされました。

 このことから、恐らく水星の魔女開発陣は「prologueを頭に入れたうえで、本編を見て欲しい」という意識があるのではないかと予想します。むろんあくまでプロローグなので、見なくても話は分かるようにできているはずです。しかし、prologueを見ることでより世界観の理解が深まることは間違いありません。特に、2話で登場したレディ・プロスペラ関連の因縁はprologueを見ると大体察しがつきます。彼女の因縁は本編後半まで後を引きそうな問題なので、やはり本編をより楽しみたい方にとっては必聴のコンテンツとなっていると言えるでしょう。



◆参考リンク

・水星の魔女 公式HP(words、characters)

https://g-witch.net/

・animeanime.jp>「機動戦士ガンダム 水星の魔女」前日譚「PROLOGUE」初公開! あらすじ&キャスト、新MS情報も

https://animeanime.jp/article/2022/07/15/70827.html

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