第6話 お互いの気持ちを確かめあう

凛の父親は、凛を書斎に呼んだ。


「凛、杏さんがお前に会いたがっている」


振り返ってみれば、酷い事をしたのに何故、杏は凛に会いたがっているのか。


「もちろん、凛と杏さんの二人だけでは会わせないつもりだ。同じ事が起こるかも知れないし、逆に恐喝されるかも知れないからな」


凛は頷いた。



一方、杏は年齢のいった使用人につれられて、凛の父親の書斎へと連れていかれた。


「ここに凛ちゃんが…」


杏は生唾を飲み込む。


コンコン、ドアをノックして書斎の扉を開ける。

そこには、二人とも椅子に座っていた。


「凛、まずは謝罪しなさい」


凛はそっぽを向いた。


「悪かったね」


偉そうに謝罪する。


杏は静かに話し始めた。


「凛ちゃん、謝る必要はないの。先日はいきなりで驚いただけだから」


「え?」


「私の体が目的だったの?それともそこに愛があったの?」


「それは…」


「どちらにしても、私は嬉しかった」


杏の目は涙を浮かべていた。


「私は子供の頃からずっと、凛ちゃんが好きだった…」


涙がポロポロとこぼれた。杏は空を仰いだ。


「気が強くて、意思が強い凛ちゃんは、私の憧れで…。この家で過ごせると知って、それだけで嬉しかった」


杏は凛の手を取った。

凛は驚きを隠せない。


「私も…」


凛は言葉が出てこない。


凛は杏を抱きしめ、杏はそれを受け入れた。



凛の父親は、そっと部屋の外へ出た。

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雇い主と使用人と、ねじ曲がった愛 milly@酒 @millymilly

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