第3話 スキャンダル

騎士団員のスキャンダルは王都中に広まった。偶然の要素も大きかっただろうが、実の兄と妹がベッドで寝ていてその間に妻が暴漢に襲われたとなれば人は飛びつくだろう。

なにもなければ妻は買い物をすませて家に帰り、服を着たままベッドに転がっているふたりに機嫌を損ね、もしかして妹をどなりつけて追い出したやも知れない。


冷めてきたとはいえ、まだ新婚。ふたりになれば甘い生活が戻っただろう。


だが、妻は暴漢に襲われ足をくじいた。歩けないので団長が送っていった。暴漢を警戒して護衛が多かった。


隣の夫人はいい人だけどお節介で大騒ぎしてしまった。


隣町の盗賊団のことが頭に合った団員が警戒を強めた。たしかに最近、ちょっとひまだった騎士団にやる気がみなぎったかも知れない・・・・


ちょっとだけが重なって打ち消すことができないうわさになってしまった。


兄と妹は愛し合っているのをごまかす為にエリサと結婚した。夫は最初からエリサに忠実でなかった。その証拠に妹はずっと新婚家庭に居座り続けた。近所の人が見かねて注意しても反対にどなり付けられた。二人は両親の公認の仲だった。なんと愛人が2人訪ねてきて同居していた。

想像できる最大のことが事実のように広まった。



団長のフレデリックは自分の姉にエルサのことを相談した。団長は姉と話しながらこの姉に出て行けって言う所を想像して見た。

確かに・・・団長はエドワードを非難できないなと、ため息がでた。


やがてエルサは田舎の孤児院の手伝いとして雇われた。


エドワードは騎士団をやめて辺境に常駐している傭兵団にはいった。給料をエルサに送ろうとしたが住所を教えてもらえず、団長あてに送ってくるようになった。


エドワードの両親は商売をたたみ同じ辺境にちいさな土地を買ってひっそりと暮らした。


マギーが長く実家を空けていたのは王都て遊びたかっただけでなかった。

妻子ある貴族と仲良くなったのはいいが、奥さんが孤児院におやつを届けた時いきなり話しかけて、別れるよう言ったのだ。次第に激昂して怒鳴り散らす姿に、奥様はともかく子供たちが怯えて騒ぎになった。それでいづらくなってエドワードの所に来ていたのだ。


孤児院のときは許してくれた奥様も今回のことを聞いて、マギーを遠くにやって欲しいと口にしたらしく、猛反省した貴族が手をまわし離島の修道院へ送られた。




2年過ぎた。


マギーは修道院の裏で殴り殺された。院長はエドワードに知らせなかった。島の隅の荒地にマギーを埋めて終わりにした。犯人は見つからなかった。



エドワードは安食堂で働くメリーと親しくなりぽつりぽつりと起こったことを話した。


「災難だったね。まぁこれからはいい事があるよ」


「そうだといいな」


そしてなぜか気分が楽になって店にいる客全員に一杯おごった。


王都でみるより大きな月に笑顔で拳を振り上げると、メリーと手をつないで歩き出した。


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