君がいたから

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第1話 君がいたから

彼女は僕とは違うけれど、僕と似た人生を生きてきた人だと感じたのだ。

この日から、僕の周りは少しだけ色あせて見えるようになった。

これが「初恋」だったのかは分からない。

ただ、彼女と一緒にいたいと思ってしまったことは確かだ。

この学校に入学して以来、同じクラスになったことがない。

隣の席になったこともない。

それなのに、どうしても彼女に恋焦がれてしまう自分がいた。

彼女を見るとつい目が追ってしまう自分に嫌悪感を抱いたこともある。

それでも彼女のことを忘れることができなかった。

結局、告白はできなかった。

彼女に好きな人がいるかもしれないからだ。

それで、僕が傷つくのは嫌だった。傷つけられたくなかった。

だから遠くから眺めることしかできなかった。

大学生活の途中、彼女が死んだことを知った。

自殺したらしい。

今でも思い出すことがある。

あの日、僕は屋上にいた。

あの場所を選んだ理由は分からない。

本当に何も考えず屋上に上がったのかもしれない。

あるいは誰かを呼び出していたかもしれない。

今となっては分からないけど。

そして今、僕は大学生最後の夏休みを迎えようとしている。

今日もまた長い一日が始まると思うと憂鬱になる。

それでも僕は、この日記を書いているときだけは全てを忘れることができる。

そう信じていたから。




やっぱりピンク様の自主企画「続編を書いてみませんか?」の参加作品です。

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君がいたから パソコン @meganepapadoragondesu

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