第14話
中学生最後の文化祭のために、美術部として、放課後、美術部のみんな、それぞれの作品の製作にとりかかっていた。
麻琴ちゃんは、1年生の後輩女子といっしょに共作で、可愛い女の子のキャラクターの絵を描いている。
一美ちゃんも、楽器をテーマにして、音楽を感じる絵を描いている。フルートとか色んな楽器を絵の中に表現している。
ボクは、なんとなく、空飛ぶバスをロンドンやパリや色んな街の上空に描きたくなって、可愛いバスを空に飛ばして、街の上空を飛び回っているイメージの絵を描きはじめた。
文化祭当日に美術教室で、美術部のみんなの描いた絵を展示したら、色んな人いっぱい観に来てくれて大盛況だった。
もう夕方になって、人も少なくなって、そろそろみんなで片付けをしようと思いはじめた。
そしたら、ドアをガラガラっと開けて
「良かった~!間に合ったわ~!ギリギリセーフ?」
って、ハアハア言いながら美術教室に入って来た人いた。
「うわっ!バスガイドさん!わざわざ観に来てくれたんですか?」
「松山に仕事で用事あったから、ついでに急いで来てみたのよ~!みんなの絵をどうしても見てみたくてね~」
バスガイドさんは、めっちゃ嬉しそうに、美術部のみんなの絵を観てくれていた。
「あらっ?この空飛ぶバスの絵...」
ボクの描いた絵をじっと見つめてくれていた。
ボクはバスガイドさんの横に行って、仲良く並んで、しばらくボクの描いた空を飛び回っているバスの絵を、バスガイドさんといっしょに観てた。
「あら~?このバスの中に、わたし、いるんちゃうの~?」
「あっ、わかりましたか~?」
「うわ~、めっちゃ嬉しいわ~。きれいなカッコ良き絵で、わたし、めっちゃ好きやわ~」
バスガイドさん、めっちゃ喜んでくれている。
しばらく、ず~っと観てくれている。
今日は皆既月食。
しかも天王星食でもあるらしい。
両方を同時に観測出来るのは珍しくて、数百年に1度のこと。
中学の帰り道、バスガイドさんと歩いていたら、学校を出た頃は、きれいな満月だったのに、今は、半分くらいになっていた。
道に座って、2人で月を見ていた。
「うわ~、月だんだんちっちゃくなっていく~」
「きゃあああ、なくなっちゃうょ~」
そのうち皆既月食になった。めっちゃ幻想的な赤茶色の月。
バスガイドの葵ちゃんと、ずっといっしょに座って見てた。いつまでも。
ずっと
いっしょに
女の子みたいなボクたち~まだまだちっちゃな恋 ヤッキムン @yakkimn
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