第3話

ボクは走るのも速かったから、運動会でも、クラス対抗リレーの選手として走った。

ゆなちゃんは、キャーキャー言って、ボクの走りを応援してくれてる。


少年合唱団では、公民館とかで歌ってる。ゆなちゃんは毎回、最前の席に座って、手を振って応援してくれている。


そらちゃんはクラシックバレーをやっている。

公民館でバレーの公演に、そらちゃんの出る時は、ボクは、そらちゃんの踊ってる姿を観に行く。


ゆなちゃんはボクのことをめっちゃ好きでいてくれている。

でもボクは、ゆなちゃんは虎岡君と似合うと思う。

だからボクは、そらちゃんのほうを好きになるべきなんだろうなって思う。


ゆなちゃんの実家は呉服屋さん。そして、ゆなちゃんは1人娘だから、たぶん呉服屋さんを継ぐ旦那さんを探しているんだ。

虎岡君のことをボクは詳しくは知らない。けど、何かのお店とか会社とかの御曹子のようだ。

ゆなちゃんと虎岡君とは、めっちゃお似合いの2人に思える。ただ、どちらも、もしかしたら、それぞれの実家を継がなければならないのかもしれない。

そうだとすると、2人は、お似合いだったとしても、別々の結婚相手を探さなければならないんだろうな。


だから2人は、結婚するように見えても、実は、それぞれの相手を見つけることになるのかも。

ゆなちゃんも、そのことをわかってるから、ボクのことを好きになってくれてるのかもしれなかった。


ボクはちっちゃい頃から女の子みたい。ゆなちゃんにも、ボクは女の子のように見えてると思う。

でも、それだから、呉服屋さんを継ぐ相手としては、かなり適していると、ゆなちゃんもボクのことを、結婚相手として考えてくれているのかも。


クリスマスに、ゆなちゃんの実家、つまり呉服屋さんに遊びに行った。クラスの何人かの友達といっしょに行った。

晩ごはんをみんなで、キッチンで食べた。

ゆなちゃんのママのカレーだ。

ぼくは、あまりの美味しいカレーに、おかわりをしてしまい、他のみんなは、食べ終わって、ゆなちゃんの部屋で遊んでたのに、ボクだけ、カレーの2杯目を食べてた。

そんなボクのことをキッチンで、ゆなちゃんと、ゆなちゃんのママは、笑って見てくれていた。

「めっちゃ美味しいです~。お母さんのカレー!毎日でも食べたいです~」

って言いながら、3杯目もおかわりして食べた。

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