第16話 闘技大会に向けて
闘技大会まで残り3日。
影の者達は動き出していた–––––
◇◆◇◆◇◆
「ふぅ、魔力操作の修行だけじゃなくて、強化魔法まで加えるなんて、結構魔力を使っちゃったよ。」
「そうだね、私もライアスの修行に明け暮れてもう一つの役目を忘れる所だったよ。」
僕達は修行をしつつ、ウェールにおかしな動きが無いか調べなくてはいけなかったのだ。
しかし、修行の合間に調査をしていたのが、ついうっかり修行に熱中しすぎてしまい途中から忘れていたのだ。
闘技大会まで残り3日になった今日思い出して、今急いで探っている所だ。
もちろん急なことなので、おいそれと見つかるわけではないが、、、
「お腹空いたからとりあえずそこの料理屋さんに行こうよアル。」
「私はあっちの店のが良いな。」
「え、僕はこっちの気分なんだけど、、。」
「ライアス、こういう時こそジャンケンにしよう。」
「うん、一発勝負でいこう。せーの、最初はグー、ジャンケンポン!!」
勝ったのはアルだった。そういう訳で、アルの指定した店へ来た。
アルは食べれないのに、なぜこうなったかって?
僕とアルは魔力で繋がっているので、なぜか味覚やいくつかの感覚が微妙に繋がっている。
特にこれといって使える能力ではないのだが、アル曰く味覚が最も繋がっているらしい。
そのため、食事は時々このような形で決まることがある。
側から見たらかなりの変人に映ってしまうので、もちろん路地裏や木陰などひっそりとした所でしかしないが。
「カレニアはご飯がすごい美味しそう!さっきまではさっと食べれる系が良いと思ってたけど、肉厚で肉汁が半端ないステーキもいいなぁ〜!」
僕は美味しそうな見た目と匂いに負けた。さきほどはさっぱりとした冷たい麺系が良かったのだが、アルが提案した肉料理は最高だった。
「私の目に狂いはなかったね。さ、早く食べてくれ!」
アルに促されて、やってきたジューシーなステーキにかぶりつく。
「うわぁ、すごい肉汁が溢れ出した!あ、でもあっちの人が食べてるピザもチーズが伸びてて美味しそう。」
そう言いながら、周りの料理を見渡していると、不意に視界に違和感が訪れた。
なんだ、あの人達。
そこには、レストランにあまり似つかわしくないフード姿の男達がいた。
男達の会話はライアスには聞こえないが、幽体のようなアルには聴こえた。
「ウェール様はやっぱりすごいな。あの威厳に満ちたお姿、男でも惚れ惚れしそうだぜ。それに、今回成果を上げれば一気に昇進だ!」
どうやら、ウェールの関係者らしい。
ということは、彼らを追えばウェールの狙いを知ることができるかもしれない。
そして、阻止することもできるかもしれない。
僕とアルはひっそりと彼らについて行った。
「いいか、ここで同志と落ち合うことになっている。お前らもくれぐれもバレないように動けよ。」
いや、もうバレてるんだけどね、、と僕達は思ったが、どうやら気付かれてはないみたいで安心した。
「お、来た来た!同志よ、共にウェール様の発展と栄光の為にやり遂げようぞ!」
フード男達のリーダーは、周りに配慮してひっそりと路地裏で言った。
「意気込むのはいいが、本当にいけるんだろうな?」
やってきたフード姿の別の男達のリーダーがフードを取りながら言った。
「!!!」
僕は驚いて、物音を立ててしまった––––
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