第7話 試練

「準備できました。」

 僕はそう伝えると、木剣を手に取った。


「ほう、魔法剣士か?それとも、その髪色、さてはただのお飾り剣か?」

 ザハークはそう言いながら、グローブをはめた。彼は属性魔法を纏ったりしながら戦う、魔法拳闘士らしい。


「両者構えて、それでは始めっっ!!!」

 受付嬢が指揮を取ってくれた。


 僕の髪色で魔法が使えないと思ってるのか、ザハークは属性魔法を使わずに殴りつけてきた。


「なかなかの素早さだ。でも流石に魔法使った方がいいんじゃないですか?」

 僕は剣でガードし、反撃しながら言った。


「ふむ、すぐに終わってしまうぞ。覚悟は決めとけよ!」

 そう言うと、バサークは火属性魔法をグローブに纏わせた。


「そういうことだったのか。木剣じゃ燃えちゃうなきっと。」

「ライアス、ここは“強化魔法”で大丈夫だよ。」

 アルは木剣ごと強化してしまえば大丈夫だと言った。


 僕は身体とともに木剣を強化した。


「む、魔力に動きがあったな。何かしたのか?」


「見てれば分かるよ。」

 僕は勢い良く攻撃した。しかし、ザハークにガードされてしまった。


「動きはまあまあ良くなったな。だが、それだけだ。この火属性魔法で木剣を燃やし切ってやる!」


 そう言うとザハークは火力を上げ、木剣を火が包んだ。

 しかし、僕の持つ木剣は燃えることなく耐え続けていた。


「なにっ!!どういうことだ?!木剣が燃えないだと!」

 ザハークは普通ではあり得ない事象に驚いてた。


 実は相手の火力がこちらを上回れば木剣ごと燃えてしまうのだが、僕の魔力量は膨大であり、さらにアルとの修行で無属性魔法の出力レベルも上がっている。


 結果的に僕の持つ木剣は燃えることなくザハークの攻撃を防ぎきった。


「こりゃ何かの間違いか、、、。俺が用意したのって、ただの木剣だよな、、、?」


「これが僕の秘密です。事情が事情なだけに、正規ルートで冒険者として上を目指すのは難しいですけど。」


 そう、冒険者は手柄が無いといけないが、そもそもF級から上がるには、膨大な依頼をこなしてあることも必要になる。


 F級の時点で冒険者として出世するのは厳しい、というのが一般的である。


「これは、とびきりのサプライズじゃないか、、、」

 ザハークが苦笑いしながら、頭を掻いている。


「ライアス、あとは必要な部位に“強化魔法”をかけて終わらせよう。」


 アルがアドバイスをくれたため、決着は早々についた。


「これで、冒険者登録のための試練は終わりですよね?」


 試練の終わりを確認し、何級からスタートするのか受付嬢から説明を受けた。


「それでは、ライアス様はD級からのご登録となります。このまま依頼を受けていきますか?」


「はい、この依頼でお願いします。」


「魔水晶タートルの討伐ですね。かしこまりました。それでは、ご武運を。」

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