第4話 アルとの修行 ⚠︎誤字修正
アルとの修行が始まったが、アルが最初に教えてくれたのは“強化魔法”というものだった。
「強化魔法は無属性魔法の基礎でもあるからね。しっかりとついてきてくれ。」
この世界では魔法の威力と属性効果、例えば火属性なら対象へ魔法のダメージと燃焼効果といった影響が大きいものが良いとされていた。
しかし、無属性魔法には属性効果がなく、また威力のあるものと無いものがあり、従来の魔法システムから逸脱しているらしい。
「アル、この“強化魔法”ってどう使うの?」
「まずは、体に魔力を纏うようにイメージする所から始めてみようか。使い所は、対人戦だったり、慣れれば無属性の攻撃魔法の威力を上げるのに役立つよ。」
「なんか体に力が漲る感じがする。今ならそこにある岩でも砕けそうかも。」
自分でも驚くほど体が“強化”されるのが分かった。これが“強化魔法”か。ただ、見た目には分からないから地味だ。。
「今“強化魔法”のこと地味だと思ったね。
なら試してみるかい?この岩が割れるか。」
言った矢先にアルは軽く岩に拳をぶつけた。次の瞬間、真っ二つどころか粉々になった。
「アルは今拳を当てただけだよね...?!」
「その通りだよ。私は“強化魔法”を使って岩を軽く殴っただけだ。このような使い方もあれば、別の使い方もある。それに、これは無属性魔法の初歩的な魔法だ。」
無属性魔法。まさか属性適性無しと言われ、全く気がつかなかったが、無属性への適性があるということのようだった。
「他にはどんなのがあるの?」
僕は質問した。しかし、答えてはくれなかった。まずは基礎をしっかりと身につけるべきだそうだ。
そこからはひたすら“強化魔法”の習得に勤しんだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あれからどれくらいの時間が経ったのか分からない。そしてこの空間と外が同じかもわからない。
アルは思念体のようなものだから姿形は変わらないが、アル曰く僕の見た目は以前より変わったらしい。もちろん時間の感覚はないのだが。
「よく頑張ったね。それじゃあ、そろそろ第二段階へ行こうか。」
そう言うとアルは魔法の弾のようなものを創り出して放った。放たれた弾は、岩に当たると岩がはじけた。
「!!!」
これが第二段階!既存の属性魔法と遜色ない威力だ。加えて言えば魔法の発動や魔法そのもののスピードも段違いに速い。
「これが第二段階だ。これをクリアできれば無属性魔法の使い手として充分実践でも戦える。ただ、これで終わりではないけどね。」
やはりアルはそれ以上をまだ教えてはくれなかった。
「今度は魔力を纏うんじゃなくて、放出するイメージでやればいいの?」
「半分正解かな。放出する魔力に“形”を与えるんだ。そうすることで君は自由を手に入れることができるだろうね。」
「自由?」
「おっと何でもない。こっちの話さ。」
魔力を纏うのは、まだなんとか最初からやりやすい方だとは感じた。しかし、今度ばかりはそう易々とはいかないかもしれない。そう思うほどに魔力を形にするのは繊細さが求められるようだ。
「ずっと気になってたんだけど、この空間はどうなってるの?」
疑問に思わずにはいられなかった。かれこれ何ヶ月もいるような感覚だけがあるのだ。しかも、どこからともなく食べ物や飲み物は出てくるし。
「それは内緒かな。ただ、君の状況は私にとっても都合は良かったとだけ言えるかな。」
謎めいた言葉で煙に巻くスタイルがアルのやり方だ。核心についてはいつも教えてくれない。修行にしてもそうだ。まぁ、聞いても教えてくれなさそうだから諦めるしかないんだけど。
「うーーーん、どうしても第二段階ができる気がしない。」
僕は文句を垂れる。第一段階に比べて2倍ほど時間をかけているはずなのだが、全く進んでいる気がしない。
「それじゃあ、瞑想をしてみることをオススメするよ。纏っている魔力の一部でいい、好きな形をイメージしてみるといいよ。」
とりあえず言われた通りやってみる。
「瞑想か、まずは丸い形からだな。」
ここまではできる。問題はこの先だ。魔力の塊を作って放つ。放った瞬間に魔力が手元を離れる感覚がある。その後は毎回すぐ魔力の塊は破裂してしまう。
「工夫が必要だよね。そのままだと自分の手元を離れた瞬間に制御できてないでしょ。」
アルの言う通りだ。僕には工夫が必要なのだ。
「ん、これならどうだ?できたか、、、?
いけるか、、?」
魔力の流れ、大きさ、制御、ともに切らさず放出してみた。
「できた!!!」
「ついにきたね!」
始めてから何ヶ月、何年かかった?だが、そんなことはもはやどうでもいい。ついに成し遂げたんだ。
「これで、入門編はクリアかな。」
「え、これで入門編?!」
「まあまあ、そうは言っても基本が極意の無属性だから。」
修行はとりあえず終わったらしい。
「よし、修行も一段落ついたし、地上に戻るかい?」
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