第3話 真実 ⚠︎改稿
「この世界には、人間と魔族、2つの種族がいるのは知っているね。まぁ、仲が良くないのは誰もが知る所だけどね。」
アルの言う通り、この世界は人間と魔族が敵対している。ダンジョンは魔族が創り出したものである。
「ノースランド大陸にある伝承は紛いものだ。今いる王族たちは、本当の英雄などではないのだ。奴らは魔族と取引したんだ。私という邪魔者を消すために!!」
当時の王国で、アルは宮廷魔法師を務めていたが、王国に魔物、ひいては魔族と渡り合える者は数えるほどしかいなかったらしい。
「私も宮廷魔法師として、魔族と戦っていたが、味方が少ないながらもなんとか互角を維持していた。しかし、それも限界を感じるようになった。」
「王国は何していたの?」
僕の中で浮かんでいた疑問を投げかけた。
「そこだ。王族である彼らは血統が良く魔力量も相当あるはずだった。しかし、長らく続いた拮抗による偽りの平和が彼ら一族を堕落させたのだろう。」
–そしてついに事件が起きた–
あとから知ったが王族は魔族から、私を葬り去ることを条件に和平条約を結んだ上で、王族には相応の見返りを約束したのだ。もちろん魔族は本当に約束を守る気などはなかっただろう。
「戦いの最中、後方から多数の攻撃が飛んできた。私を目がけてだった。あまりの数に私も避けきれず、直撃を免れなかった。」
だが、私も残りの力を振り絞って魔族へ最大の攻撃を放った。
故郷にいる家族や仲間のことを思うと、自分がどのような仕打ちを受けても守るために立ち向かうしかなかったのだ。
「アル、、、、それじゃあ、僕らの知っている伝承は、、アルが“大罪の魔法師”なんて嘘じゃないか!」
僕は愕然とした。僕が無能と蔑まれるのも無属性というだけではなかったのだ。【白い髪に紫の瞳】“大罪の魔法師”と同じ特徴、無属性である象徴でもあったからだと理解した。
王国に近づけば近づくほど、僕を無能と蔑む声はたしかに多くなっていってたのは、そういうことだったのかと。
「なんて酷いことを!」
僕は怒りをあらわにした。
「私の命と引き換えに放った一撃は魔王や魔族全体に大きく損害を与えることができた。それが死の間際の記憶だよ。今の君たちの様子からするに、私は家族や王国を守ることはできたようだね。」
少しだけアルが安堵したように見えた。
「たしかに今は魔族の侵攻はほぼないし、ダンジョンブレイクもほとんど起こらないかな。」
魔族は普通に侵攻してくる以外にもダンジョンブレイクを駆使してくるという。
「!!」
アルが驚いた表情を見せた。
「それは、かなり深刻な事態かもしれない。私は魔王や魔族を葬り去れたわけじゃない。あくまでも相当深手を負わせたに留まる。」
アル曰く、100年という時を経て人類の油断を誘い、出し抜くつもりなんだと。力の回復も完治していて、いつ侵攻があってもおかしくないかもしれないと...先のデミ・ミノタウルスの件も前触れのようなものらしい...
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
どうやらアルは神様のお告げ通り、思念体として、同じ無属性適性がある者へ力を伝承するという使命があるそうだ。
「僕にそんな才能はありませんよ......」
未だに生活魔法しか使えないのだ。魔力量だけならともかく、魔法の才能などあるはずもないのだ。
「私も最初は同じだったよ。しかし、無属性というのは適性がないということではないんだ。逆に言うと、無属性魔法を使えるのは私たちしか居ないんだ。」
属性魔法は適性があれば楽に使え、仮に適性がなくても後天的に身につけられる可能性がある。しかし、無属性魔法を扱うことができるのは真に適性がある者だけだとアルは言った。
「ほんとに、、、?なら、僕はどうすればいいの?」
「私もこの空間で活動するのは、初めてなんだがね。君に私の魔法を伝授しよう。ただ、この空間内は特殊な作りになってるらしい。しばらくここで修行になるよ。」
僕は快く頷いた。ここだとお腹はそんなに減らないし、魔力と体力の回復が早く、睡眠を取るとさらに加速する。
「まずは簡単な魔法からいこうか。」
そう言うとアルは無属性魔法の使い方を教えてくれた。
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