3

「未来ちゃん、ただいま」


「おい、親父。まぬけな声出すな」


うわー悟流さとるしかいねー

白髪にして大学行ってる息子である。


「ママどこだよ」


「知らね」


「おかえりー」


なんだ。いるじゃないか。


「ママどこいってたの?」


「ふっつーにトイレですけど?」


「そうなの?ごめんね。疲れたからママに癒されたいなって思って」


「きもいこと言うなよ。あ、さっき名前で呼んでた。だらしなーい声で」


「お疲れなのよ」


「悟流、お前も彼女いるならわかるだろ?癒されるんだよ、ママの顔見たら」


「あっそ。じゃ、バンド行くから」


悟流は反抗期か?かわいがってるのに、つれないなぁ。


「パパ、私のことだらしなーい声で呼んでたのほんと?」


「ほんと。未来ちゃん…って」


「んもー、悟流の前で呼んじゃやだ!」


「だって。あ、未来ちゃんこっちきて」


「はーい。なになに?」


ソファーに座って誘導する。


「はー、未来ちゃんにくっつくと幸せだー」


「パパったら。大学の汚ったない部屋にいたらストレス溜まったんじゃないのー?」


「そうかも…未来ちゃん、癒して?」


「やだぁ、パパったらー甘えんぼだなー」


「未来ちゃん、柔らかいな」


「もう、どこ触ってるのー?」


「忘れものした、母さん…」


悟流、なぜ邪魔しに!


「おい、親父。なにしてんだよ」


うわー、ちょっと抱きついてただけなのに、汚ねぇよみたいな顔はなんだ。


「ママに癒されてるとこだよ」


「やめろよ。じじいのくせに」


がーん。じじい…


「いいこいいこしてただけよ?」


「…あまやかしちゃだめだよ。夜中帰るかもだし、鍵持ってく」


「はーい。いいよー」


「母さんから離れろよ」


あーママっ子。悟流ときたら…。

俺はもう、おっさんだ。だけど、健康の秘訣はやはり未来ちゃんだと思う。若い子といるって幸せだ。

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