第20話
第2回調査報告。
事務所では、金田がボーッとしていた。
「おーい」
と、南が様子がおかしい金田を不思議がった。
「大丈夫か? 昨日、何かあったんじゃなきあ?」
「いえ……はい」
「どっちだよ」
みんなの視線を感情、やっと状況に気がついた金田。
「あっ、昨日の報告をします」
「うん。待ってたよ」
「ビル管理会社の田淵カンパニーで働いている佐伯と接触し、池綿の情報を少し得ることができました。まず、ブログに掲載されていた田淵飯店についてです。池綿と河合さんがいっしょに食事をしていた姿を、佐伯さんが目撃していました。席からの夜景が、これはもう絶景で、感動してしまいました。河合さんが田淵飯店のことを覚えていないのが、気に掛かります。また、池綿は、田淵ヒルズトーキョーのホテルに、頻繁に宿泊しているようです。佐伯さんによると、宿泊客にはVIPカードを渡していて、VIPにしか入ることのできないエリアがあるとのこと。マスコミは、VIPエリアには入れないので、芸能スクープ事は、このエリアに入ってしまえばバレないようになっているらしいです」
南とふくちゃんが反応する。
「ちょっと疑問」
「うん。整理されてくれ」
「はい」
南が、金田に質問する。
「宿泊客には、VIPカードが渡されるのか?」
「はい」
「マスコミでも、ホテルの宿泊客ならば、VIPカードが渡されるってことになるが?」
「マスコミは……、あれ?」
「おそらく、宿泊客にVIPカードではなく、宿泊客にルームカード、VIPに VIPカードじゃないか? VIPエリアがあるんだろ?」
金田は、自信がなかった。
「すみません」
南は、昨年から様子のおかしい金田を気にかけていた。
「まあ、いいよ。次回、頼むよ」
暗い表情の金田を横に、影野はなんだか自信満々だ。
「僕も頑張ります」
「よろしくな」
「あっ、これ」
影野が鞄からパンフレットを取り出す。
「ホテルのパンフレットです」
南がパンフレットを受け取り、ふくちゃんが横から覗くように見る。
「ちょっと、高い! スイートルーム1泊100万円!」
「売れっ子芸能人なら、泊まりそうだな。金田、佐伯といっしょに、ホテルの中に入れないか?」
「ホテルは、ちょっと……」
金田の様子のおかしさに、ふくちゃんも心配する。
「大丈夫? 体調悪いんじゃない?」
「大丈夫です。なんか、変な感じで」
「疲れてるんじゃない? 少し休んだらどう? ね、所長」
「ああ」
金田は、早退することにした。
「はあ」
と、金田は事務所の前でため息をつく。
「なんか、私、どうしちゃったんだろう」
そのとき、2、3軒ほど横のビルの通りの辺りから、視線を感じた。
「やっぱり、なんか私おかしい」
事務所では、今後の調査計画が進められている。
「宿泊名簿の確認をすればいいんでしょうか?」
と、南に尋ねるのは影野。
「いや、こういう高級ホテルは管理がしっかりしてるから、警察にさえも教えないよ。それに、宿泊名簿を見たいなんて人間、ホテル側からマークされるぞ」
「なるほど。調査の近道は御法度ですね」
「とりあえず、池綿をホテル内で見つけないとな」
「もし宿泊するならば、ふつうの部屋でも1泊5万円よ。しっかりね、影野くん」
そのころ、佐伯はある人物からある情報を得ていた。
「なるほどー」
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