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家の前に着くなり、玄関が開けられた。どうやら家の中から監視されていたらしい。
白を基調としたかなり清楚な一般的な家庭のリビングである。一つ特徴を挙げるとしたら、壁に飾られている数多の勲章と、いくつかの馬鹿でかい賞状だろうか。これは彼の父が軍隊にいることを証明している。それもかなりの高い階級として。
徐に家の中に入ると、先客がいた。
「こんにちは、コウキくん。」
柔らかな声色で僕の名前を呼ぶのは、
そう。叶星だ。
大丈夫。ある程度は予想はついていた。想定の範囲内である。
彼女は先についていて、彼と話していたらしい。
「ねえ、コウキくんって次跡出身なんでしょ?海と一緒に育ってきたか感じじゃない?私海辺の育ちじゃないから、海に慣れてなくて。だから色々海のこと教えてね!」
「あ…ああ。わかったよ。」
前言撤回。全然想定の範囲内じゃない。
ちょっと待って。いろんなことが頭の中で錯綜する。余計な思考が邪魔をする。
ゑ?確かに僕は次跡、海辺の育ちであることに間違いはない。だけどそんな教えられる知識ってかなり少ないぞ?そもそも何でこんなことになってるんだ?もう何もかもが意味わからない。
とりあえず、ワタルをひっぱって、別の部屋へ移動。そして彼に問い詰める。
「おい!どういうことなんだよ!俺こんなの聞いてねえぞ、誰が来るかはある程度検討がついていが、俺の想像の範疇を明らかに凌駕する質問が彼女からかなぐり出されたんだが?なんて話したんだ?叶星に」
「俺たち二人は神尾の中のいろんなところに行っているんだって話したら、予想以上に食いついてきてよぉ、まあ別にいいんじゃねえか?一人増えようが結局互いには独りなもんだし。それとお前海の近くで育っただろ?だから海も詳しいんじゃねえかと思って彼女を海に誘ったんだ。」
全くこの男は!
怒りが沸々と湧いて来るのがわかる。でももう怒ってもしょうがないので、とにかくこの二人を海に案内するほかない。
『ワタルのクソ野郎ふざけんな』と何回も言って心の荒波を沈めて、3人で彼の家を出た。
海までは徒歩3分もかからないので、歩いて3人で海まで行った。
海からくるそれなりに涼しい風と心地の良い塩の香りと波の音がが何とか気持ち涼しくさせる。
そこにはもう何回も見た光景が広がっていた。ひとつの『海』という中に、波が何重にも連なって、砂浜に多い被さるように波が一つの『海』に飲み込まれて、また一部となる。それが何回も繰り返され、ループ再生のように僕の目に飛び込んでいく。
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