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「一つの小さな出来事が起きると、同じようなことがまた起きる。それがどんどん大きくなっていく最終的には、誰にも止められないくらいの状態になって、転げ落ちる」

 いつか彼が言っていた言葉だ。確かに、この頃の人間関係というものはそれに近しいものがあったかもしれない。

 いつの日か、学校の授業で英語の授業を行ったときに、グループで一つの英米文学を紹介しろという課題が出された。

 そこで出会ったのが叶星であった。

 もっぱら、僕とタケルは理系であったがために文学の分野はとてつもなく疎い。だから、その時の課題も多分叶星に任せっきりだあったのかもしれない。元から、彼女は一人でもどうにかやっていけるほどの能力があったし、何より、頭の回転が速かった。特に英語においては。

 僕たちが紹介したのは、サリンジャーの、『ライ麦畑でつかまえて』の一部だった。なぜかそのことだけは鮮明に記憶している。

 彼女は

「この文学が私の中で一番好きな文学なの。」

と言った。そして

「いつも何かを感じるの。何か弾のようなものが私に当たる予感…。」

 彼女はいつも『何か』に怯えていた。

彼女は小説に対しての感受も教えてくれた。

「小説って何か読んで得することでもあるのか?参考書なら読むことはあるが小説の良さとは何なんだ?。」

 ワタルが言うと、

「小説というのは真正面から読むのでは駄目なの。頭をあえて使わずに読むことで自分の心の根底にすんなりと入っていくわ。」

「小説を読むことは自分の価値観とは別の見方、考え方の一つの例となる。それがもし仮に、貴方に何かがあったときにその読書という経験が、貴方を助けになってくれるはずよ。」

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