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 転機が訪れたのは、高校に入ってからであった。

 5月の肌寒くも、暖かい風が心地よくふく快晴のある日、その日もどこかに行くあてもなく自転車に乗ってどこかに行こうと神尾の戦線の程近くをうろうろしていたら、ある級友にあった。僕はその顔を知っていたので話しかけた。

「ねぇ、もしかしてワタルくん?」

 彼は最初はとても驚いたような顔をしていたが、すぐに合点が言ったかのように、

 「お前、もしかして俺と同じクラスのコウキか?」

 「そうだよ?」

「なんでお前がこんな戦線に近いとこにいるんだ?」

 どうやら彼は自分の思ったままのことを話すらしい。

「なんでって、君こそなんでこんなとこにいるんだい?」

「俺はまぁそうだな」

 彼はおもむろに語り出す。

「どこかにあてもなくフラフラするのが好きなんだ。何かに出会えるかもしれない。ひょっとしたら何か掴めるかもしれない。まあ、いつもそんなことを願いながらこんなことしてる。」

 彼は続ける。

「だけど、お前もこんなとこまであてもなくくるのにはなんらかの理由がありそうだな。」

 彼は鋭かった。

「実は僕もどこかにあてもなく外に出るのが好きなんだ。」

「本当か?」

 彼は本当に嬉しそうな顔をしていた。

 僕も多分そうだったのだろう。

 それから、僕たち2人は自分たちの夢や、今までどこにどうやって行ったのかを互いに語り合った。そして、あっという間に日は沈んでいった。どうやら僕たちは本当に探し求めていた人に巡り会えたみたいだった。この感情は言葉では言い表せれない。別れるのがとても惜しかったが、また学校で会えると思うと今度は学校がとても恋しくなった。

 今思えば、この出会いが良くも悪くも僕の人生を狂わせたのしれなかった。

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