第二幕 (3)

 なにやら、童子の二人が腕を組み踊ってるような。

 面をかぶった小鬼・・

 なるほど二人はつんつんの髪の天辺に小さい角が一つ。虎柄パンツをはいてる。ひとりは赤肌でひょっとこお面。もうひとりは青肌でおかめお面。二人は組んでない手にそれぞれ開いた扇子を握ってた。

 茜がはっと気がつく。

 そのカードには数字はなく、文字が入ってた。

「えっ、Joker。いや、Judgeってある」

 と、そこで絵柄の小鬼の扇子が閉じる。

「あっ」

 パチンと鳴った。

 とたん、なにもかもぐにゃりと曲がる。もう茜は立ってられない。その場にしゃがみ込んだ。

 どれほど時が過ぎたのか。

 おずおずと頭を上げると息を呑む。ここはどこか、なにもない薄暗い部屋でぽつりといる。窓も戸もない。ましてあのランドリーはどこへやら。

 パニックになって叫ぼうとしたら、目の前にスポットライトが照らされた。

 それは、カードの置いてあった白いテーブル。

 そしてどこからか笛や太鼓がぴいひゃら、どんどん、それに合わせてテーブルの上では赤ん坊くらいの背丈の小鬼が二人で踊っていた。

「Judge、Judge」

 きんきんと響く声で、扇子を振り振り踊ってる。

 茜は唖然となった。

「それ、Judgeせよ、Judgeせよ」

 赤の小鬼と青の小鬼が声をそろえる。近寄ってきた。ひっと思わず仰け反る。そこへ赤の小鬼が扇子を向ける。

「おまえJudge引いた。だから、Judgeせよ」

「えっ、ええっ」

 茜は目を白黒するしかない。

「ど、どいういうこと」

 それには答えずに小鬼どもはJudge、Judgeとやんやと踊る。やたら楽しそうにどこからか紙吹雪まで舞ってくる。

 こんどは青の小鬼が扇子を向けた。

「ヒントをやる。いいか、Judgeを誤るな。誤ると・・」

 小鬼二人が声をそろえた。

「死ぬうっ」

 パチン、パチン、扇子を鳴らす。

 わけも解らない。心も乱れる。息苦しく涙もあふれてきた。

「あっ、あの、いったい、なんなの」

 うまく言葉にならない。それでも茜は立った。

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