第4話 医療制度改革案
「これ、オフレコな」
前置きして松本が全員の顔を見渡して話し始めた。
「細田総理が、医療制度改革案を厚労省職員に広く求めるらしい」
「仲野が日頃言っている案はどう思う?」
林が松本に尋ねた。
「近々、厚労省内で会議が開かれるらしい。そこで採用されれば・・・」
「じゃぁ、無理だな。仲野は係長だ。官僚じゃない仲野がその会議で発言するどころか、参加する資格がない」
八代か鼻で笑いながら発言した瞬間、三人は局長候補である八代の顔を同時に見た。
「俺はやらんぞ」
八代は出世を控えているから面倒事には巻き込まれたくないと言う顔をしているが、お構いなしで林が煽り出した。
「もし仲野の案が通って成功すれば局長どころじゃないぞ」
「NO.1の事務次官も視野に入るだろ」
調子のいい林の煽りに松本も合わせて笑っている。
「簡単に言うが、事務次官はそんなに簡単なものじゃ無い」
年功序列色が強い官僚達の間で40代で事務次官などあり得ない事を知っている八代はこれまで上司に媚びへつらい、自分の手柄を横取りされようが、我慢して笑顔で振る舞ってきた。
「いや、ありえるさ。俺の草案が通れば、この案に一番詳しいのは、俺の案を推薦する八代になる。そしてこの改革案は、日本の医療制度を救える唯一の方法だ」
仲野は八代が協力する前提で話を進めた。
「やれやれ」
八代が深いため息をついた。八代は仲野がやると決めたら手段を選ばなければ、どんな事にも耐えられる事を知っていた。
「敵わんな」
目を輝かせて制度案を説明する仲野に八代は協力せざるを得なくなった。
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