第3話

龍太と虎五郎はサルベンチに座りながら棒アイスを食べていた。


虎五郎「あ~ハズレだ!」

龍太「ん?あー俺もハズレ」


二人は食べ終わった棒アイスのごみを、サルベンチの隣に置かれたごみ箱に捨てる。


虎五郎「うちら、中岡商店にどんだけお金払ってるんだろうなー」

龍太「たしかに。アイスにジュース、駄菓子も結構買ってるもんな」

虎五郎「なのに滅多に当たりなんて出ないんだぜ」

龍太「あ、虎知ってた?、中岡商店に売ってるコロコロあるじゃん?掃除する時に使うやつ」

虎五郎「コロコロがどうかした?」

龍太「そのコロコロを使いきった後に残る芯に当たりが付いてるんだって!しかも、1000円分の駄菓子券!」

虎五郎「え!?1000円!?コロコロって当たり付いてるの?」

龍太「いや、それが中岡商店だけらしい。でも俺がそれ知ってから当たりが出たやつ聞いたことないんだけどね」

虎五郎「マジか。じゃあまだその情報はそんなに広まってないってことか。、、よーし、見てろよ中岡のおばあちゃん」


龍太からの情報を聞いてから、虎五郎は連日に渡り中岡商店にあるコロコロを購入した。そして、虎五郎は10本分のコロコロを自分の部屋に並べた。家にあるコロコロを中岡商店で買ったコロコロに付け替える。この日から、虎五郎のコロコロ生活が始まった。


・・・


それから1週間後。学校帰りに中岡商店でジュースを買って、飲みながら龍太と虎五郎は喋っていた。


龍太「そうだ虎、コロコロの当たり付きやってみた?」

虎五郎「あー、コロコロやりすぎて腕がめちゃくちゃ疲れたよー。当たりでないし。でもさ、俺がコロコロであっちこっち掃除してたのを母ちゃんが以外に知っててさ。今日の朝、掃除して部屋中綺麗になったから、中岡商店でお菓子1000円分買ってあげるって!ミラクル起きた!」

龍太「うえ!?本当に!?」


龍太は信じられなかった。こんな展開予想もしていなかった。なぜなら、中岡商店に当たり付きのコロコロなどないのだから。これは龍太の作り話。少し虎五郎をからかうつもりが、本当に1000円分のお菓子を手に入れてしまった。龍太は、虎五郎の成功体験を真似して、自分も母親からお小遣いをもらおうと考えた。


その日は、サルベンチにも座らず虎五郎と別れた龍太。足早に玄関ドアの鍵を開けて中に入る。


カシャカシャ、カシャカシャ、カシャカシャ。


すると、家に入った龍太の目の前で、フローリングを綺麗に掃除する電動床掃除機が動いていた。そうだった、と龍太は思い出した。


龍太「ウチには優秀な掃除屋がいたんだった」

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