異世界魔法書士は月の下で

外へ出て決闘をすることになった。今夜、とても綺麗な月の下で。念の為に呼び鈴を使ってコーヒーお姉さんも呼んだ。

『良いよ。あたし最強だよ。』

『こちらは3人居ますわ。』

『呼び鈴で呼んでくれてありがとう!今度こそ私たちの力で勝とう!』

『3対1でも僕はキミを奪う』

『アイスコーヒー!』

不意打ちで勝てるかと思ったがそう簡単に勝てるほど甘くない。イチゴ柄のトランプを出して防がれてしまった。

『きゃっ!』

『うわっ!』

すぐにコヨイお姉ちゃんとコーヒーお姉さんは倒されてしまっている。この戦況をひっくり返す為にあたしは本を取り出した。

『あたしの本の魔法で封印するよ』

『やれるものならやってご覧なさい』

間合いを詰めて互いに交差する。汗が滲む。

『くっ!』

『やられました。』

ふらつくも勝ったのはあたしだった。

『魔法の本で閉じ込める!』

『また会いましょう!次に会う時は僕とメヨイさんが婚約するときです。さらば!』

彼は月の彼方へ消えていった。

その後、コヨイお姉ちゃんとコーヒーお姉さんを起こした。結局あの怪盗の目的は何だったのだろう。というか、凄くマズいのでは。何も収穫なくこの本の物語を終えてしまった。寿命残り僅かだと言うのに。それに気づいた頃にはあたしは草むらに倒れてしまった。あぁ月が綺麗だな。あたしは最後の力を振り絞りコヨイお姉ちゃんとコーヒーを連れて元の世界に戻ることはできた。

『メヨイしっかりして!』

『メヨイちゃん!』

意識が遠のいてゆく。コヨイお姉ちゃんあたしの分まで生きて…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る