異世界魔法書士は逆ハーレムを回避する

あれから1週間経つが、1度も本の世界へ行くことができなかった。あれは所謂いわゆるスランプである。魔法を何度発動しても恐怖心からか本の世界に行くことを妨げせてしまう。余命も僅か1日に逆戻りだ。今宵もコヨイお姉ちゃんがやってきた。

『メヨイこのままじゃ死んでしまうわ。』

『わかってる…けれど怖いの。あの時、怪盗が言っていた言葉。キスをしてこようとした。あたしは最強なのに。強いのに。何もできなかった。』

きっと今まであたしが陥れてきた依頼人たちもこんな不安な気持ちだったのだろう。自分がやられて初めて気がついた。それでもコヨイお姉ちゃんは優しく前から柔らかく抱きしめてくれた。

『メヨイはわたくしの大切な妹よ。次こそ守るから。』

当初は行動することに反対だったコヨイお姉ちゃんもしおらしくなっているあたしのことを受け入れてくれている。そうだ。あたしはこんなところで死ぬ訳にはいかない。女の子として、双子の妹として生きていかなきゃいけないんだ。

『コヨイお姉ちゃんありがと!あたし元気でたよ。』

『良かったわ。』

『行こう!あたしと本の世界へ!』

光の中へ飛び込んだ。次の世界は3人の王子様たちから逆ハーレムを築くものだ。

『よお!遅かったな!』

『待ちくたびれましたよ。』

『好き。』

上から、活発的な王子、大人しい王子、無口な王子だ。だが、思ってもみない方向に行った。そこに居たのは3人の王子を倒した変態、じゃなくて怪盗ピスタお兄さんだ。

『ゲームの続きをしましょう。』

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