異世界魔法書士は世界を救う
あたしは本の世界に入った。キラキラとした街並み。綺麗な青空。時間帯はお昼のようだ。 身体はメヨイのままだ。本来なら、本の中に入った時点で登場人物になるのだけれど、どうやらメヨイの身体ではそういうことは無いらしい。使う人によって魔法の効果が変わるのも面白いところだ。だが、そうなってくるとやっぱり余命のあるこの身体とはおさらばできないということになる。少々計算違いだったな。
この本の内容は旅をしながら惑星から世界を救う冒険者のお話だ。あたしは早速冒険者に走って会いにいく。場所はわかる。アカデミーだ。
『おにーさんちょっといい?』
『えっと…お嬢さん迷子?』
『違うよ!あなた惑星を倒したいんでしょ?』
『う、うん。そうだけど俺の事知ってるの?』
『もちろんよ!おにーさんは冒険者ヒャク。世界を旅しているのよね。あたしも連れて行きなさい。』
『えぇ〜…』
『あたし最強だよ。あたしの名前はメヨイ。手伝ってあげるからあたしの願い聞いて。』
あたしは余命が残り3日ということとヒャクを助けに来たという話をした。
『う〜ん、わかった。そういうことなら良いだろう。惑星を全て討ち滅ぼした
あたしはパーティーメンバーに加えてもらった。今いるのは冒険者ヒャク、賢者レイナ、戦士ウチウ、そして魔法書士のあたしだ。万能な能力を持つヒャクに、回復魔法が使えるレイナ、接近戦が得意なウチウ、攻撃魔法が使えるあたし。かなりバランスの良いパーティーだ。これなら惑星も余裕で消滅させられる。
結果は予想通りだった。いとも簡単にほとんどの惑星を攻略した。残りひとつ。ラスボスの惑星だけだ。ヒャクがみんなに指示を出す。
『レイナは回復魔法で俺を回復!ウチウは近づいて惑星に傷をつけてくれ!メヨイも魔法で惑星を斬ってくれ!』
レイナは回復魔法を使い、ウチウは惑星を殴った。そしてあたしもストロベリーソードで惑星を攻撃した。
『ストロベリーソード!ヒャク今よ!』
『神秘の光りに輝け俺のカード!ブラックホールスペース!!』
惑星は粉々に砕け散った。そして3人が並び、別れの時が来た。
『これ、お礼の品だ。』
『ヒャクありがと!』
あたしはヒャクから至極の装飾品であるペンダントを受け取った。これを付けていると病気の進み具合が遅くなるらしい。つまり余命3日のあたしにはかなり貴重なものだ。
『メヨイ。お前との旅楽しかったぜ。また俺と旅しような。』
『うん!また会おうね!』
2人は握手を交わした。こうしてまた光に包まれてあたしは元の世界へ戻る。
『あのペンダント大切にしてくれるといいな。』
気がつくと深夜2時。病室の中に居た。本の中での時間の進み具合もかなり遅いようだ。そしてヒャクから贈られたペンダントを大切に肌身離さず首にかけることにした。
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