異世界魔法書士は双子の姉を使う

このまま一生女の子の身体で終わるつもりは毛頭ない。さて、そうなってくると策を講じる必要がある。今、我は女の子メヨイで身体は病気持ちで余命1日の10代半ばの少女である。双子の姉のコヨイも使えそうだ。今まで仕事で修羅場を潜り抜けてきた魔法書士の頭脳でこのピンチを切り抜ける。怪しまれないように色々聞いておこう。

『あたしはいつもコヨイのことをなんて呼んでいたの?』

『コヨイちゃんとかコヨイお姉ちゃんって呼んでいたわ。』

『コヨイお姉ちゃん…あたし生き延びたい。何か方法は無いかな?』

『メヨイ。わたくしもどうしたら良いのかわからなくて…』

『じゃあ散歩に行こう!』

『え?でも…』

『お姉ちゃん…ダメ?』

『ダ、ダメじゃないですわ///』

どうやら双子の妹のお願いは破壊力抜群のようだ。こういう時は部屋に閉じこもっていては何も進展がない。外へ生き抜く手段を探しに行くのがベストだ。魔法時計を見ると既に午後の12時13分。時間が無い。役半日で死ぬなんてゴメンだ。あたし・・・はコヨイお姉ちゃんと外へ飛び出す。途中で看護師や医者と出会わないようにお姉ちゃんの魔法で隠れながら、どうにか森にまで辿り着いた。とても空気が気持ちいい。そういえばココ最近はお金を手に入れるのことばかり考えて悪事を働いて、空気なんてまともに吸う余裕もなかったな。いな、そんなことはどうだっていい。今はこの手でどうにかするんだ。今のあたしの手は小さいけど、行動しなければ何も始まらない。森では小鳥たちのさえずりも聞こえる。東の森で行商人と出会った。何やら困っているようだ。仕事の匂いがするな。あたしの勘は正しそうだ。話しかけることにした。

『何かお困りなのか?』

『この先にドラゴンが居て前に進めないんだ。早く薬草を届けなきゃ行けないのに。』

『そうか。あたしで良ければ手伝うよ。』

『メヨイ!?』

『本当に良いのかい!?というか、女の子2人でドラゴンに勝つのかい!?』

『任せて。あたし最強だよ。』

コヨイお姉ちゃんは驚いて灰のように白くなって立ち止まっている。こうしてドラゴン討伐という仕事をあたしたち双子は任された。

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