戦火の少女 ⑥
サントロス帝国は、
サントロス帝国の四足量産型――《クアドール》を率いるのは、真紅の四足型
レイジフォックス部隊が定位置につき、アドラ帝国の
『ラフィリア大佐、全機定位置につきました』
と、真紅の
ラフィリアは、凛とした声で答える。
「射撃はまだだ。逃げ遅れた民間人がまだ大勢いる」
「貴様ららしい姑息な手だな。私は早くシャワーを浴びて寝たいんだが、なんの用だ?」
それには、リーダー格の
『これはこれは、戦場の女神様じゃないか。会えて光栄だよ。我々の目的は、先程告げた通りだ。この街に、《始まりの
「よくもまあ、ここまでしておいてそんなことが言えるな。それに、ファーストワンだと? 私たちが所持しているとでも言いたいのか?」
ラフィリアは、数々の戦場を生き抜いてきた。こんな状況は、日常茶飯事。そのためか、シートに背中を預け、退屈そうに灰色の髪先をいじっていた。
『我々アドラ帝国が手に入れようとしていたファーストワンが、作戦中に何者かに奪われた。その盗人が、
脅すような言い方に、ラフィリアは呆れてため息をついた。
「知らないな。お偉いさん方が隠していれば別だが、そんなことをするメリットが無い」
『しらを切る気か……いいだろう』
アドラ帝国の
「……とまあ、話の通じない奴らだ。各機、戦闘態勢に入れ。それと――誰も死ぬな。命令だ」
ラフィリアの言葉に、レイジフォックス部隊の士気はどんどん高まっていく。ラフィリアの機体も、背中に備えていた75mmマシンガンを構えた。
住民たちはまだ避難しきれていない。ラフィリアはその最後尾を視界で捉えていた。このまま戦闘になれば、巻き込んでしまう……。
そう考えた直後、アドラ帝国が一斉に75mmマシンガンを放ってきた。
ラフィリアの真紅の機体が前へ飛び出す。と、ラフィリアの機体の腕が盾へと変形した。そのまま銃弾を弾きながら、もう一度前へブーストする。
ラフィリアは、避難民の最後尾を庇うために前へ出たのだった。それに習って、他の
前へ飛び出した
『これ以上持ちません、ラフィリア大佐!』
通信が入ると、ラフィリアは顔色一つ変えずにもう一度スラストレバーを握り直す。
「ああ、そうだな。これ以上耐える必要はない」
住民たちが、後方にいた
アドラ帝国の
――銃弾の雨が、止んだ。
「撃て!!」
ラフィリアの合図と同時に、後方にいた
撃破できたのは、六機だ。リーダー各の機体は無傷。残り十機――。その十機が、一斉に別々の方向へと散らばった。建物を陰にして、どんどん散っていく。
――明らかに罠だ。だが放っておけば、街の奥まで侵入されてしまう。それだけは避けなければ。
「できる限り二機で行動し、残りを追え! 後は――」
『ラフィリア大佐! 上です!!』
ラフィリアの指示をかき消したのは、味方の叫び声だった。上空から、なにかが落ちてきていた。迷彩柄の
ラフィリアが、その場を素早く退く。すると、元いた場所に、迷彩柄の
その
全身分厚い装甲に覆われており、上半身はさらに分厚い。ラフィリアは、あの機体に見覚えがあった。
搭乗者は確か――。
「……グレイグ・ブラッドレイ」
アドラ帝国の参謀、グレイグ・ブラッドレイ。そして搭乗機体は、
機体名はバンディット。ファーストワンと同じ、純粋な
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