第052話 勝利
「ど、どうなったんだ?」
修二が付近をきょろきょろと見回して状況を確認する。
「六道君の攻撃で全部吹き飛んだってことかな?」
「状況的にそれしか考えられんねぇ。それにしてもよく思いついたな。ロッコ」
「まぁ……な……」
二人はお互い顔を突き合わせて話した後、俺の方を振り向いた。
いや、俺って今満身創痍の状態なんだよな。
それにまだ何のテロップも出てないから油断できない。もしかしたら経験値がもらえないって可能性もあるけど。
「あっ。ちょっと待っててポーション飲ませるから!!」
聡が俺の状態を思い出してこの隙に俺の頭を起こしてポーションを飲ませる。さっき飲んだ謎のポーションとは違い、完全とはいかないが、俺の体死にたいの状態から抜け出した。
「あぁ……きちぃ……」
「ごめんごめん、忘れたよ」
「わりぃ」
その後で回復魔法のおかげで俺は骨折していた部分もあらかた回復した。
「とりあえずこれでなんとか動けるようになったわ」
「にぃ!!」
俺が上体を起こしたら、しがみついていたエンジュが落ちそうになるので下から支えてやると、彼女はご主人様死ななくてよかったと、頭を擦り付けてまた俺にしがみつく。
「それで、どうなってんだ?」
「いや、全然分からん」
俺たちは何も起こらないのでそのまま警戒を続ける。しかし、今度復活されたらそれこそ勝ち目がない。
もう二度も死にそうになったから勘弁してほしかった。
『レベルが上がりました。レベルが上がりました。レベルが上がりました……』
俺達が願いが通じたのかようやく脳内にアナウンスが響き渡る。
「「「~~!?」」」
俺たちは互いの顔を見合わせて目をパクリさせて、沈黙した後、
「よっしゃぁあああああああ!!」
「やったぁああああああああ!!」
「かったぁああああああああ!!」
三人で雄叫びを上げた。そして巨人最後に消えた場所には虹色の宝箱が現れた。
「マジで勝ったんだよな!!」
「そうだな!!」
「勝てたんだよね!!」
「ああ!!」
俺たちは三人で本当にあの巨人を倒したということをお互いに肩を組み合って確かめると、
「「「死ぬかと思ったぁ~」」」
その場に倒れてぐったりと力を抜いた。
いや、もう本当にダメかと思った。絶対に助からないと思った。でも、皆が居れくれたおかげでなんとかあの化け物を倒すことができた。三人がいなかったら絶対に倒すことは出来なかったと思う。
『レベルが上がりました。レベルが上がりました。ネームドモンスター:フルフルの討伐を確認。フルフルの持つスキルが授与されます。『自己再生』『魔法耐性』を獲得しました。また、低レベルでのネームドモンスターの討伐を確認。スキル『限界突破』が付与されます』
ずっと頭の中でなっていたアナウンスだが、ようやく終わりをつげ、最後の方はなにやらさっきのやつを倒したおかげで新たなスキルを獲得することができたらしい。
特に限界突破に関してはレベルの上限を突破できるっぽいので今度こそ極限まであげてやる!!
『魔法耐性』はやはりあいつが途中で回復したような、切られても徐々に治っていくようなスキルみたいだ。『魔法耐性』はその名前の通り魔法に対して強くなるパッシブスキルだ。
かなり有用なスキルをゲットしてしまったんじゃないだろうか。
まぁ俺たちが死にかけて頑張ったご褒美ってことだよな。
「お前達は最後の方にレベルアップ以外のアナウンスは聞こえたか?」
念のため二人にも確認を取る。
「うん、僕は『自己再生』スキルを手に入れたよ」
「おれは『魔法耐性』スキルだ」
二人は俺が両方獲得したスキルを一つずつ継承した形だ。ただ、二人には『限界突破』スキルは付与されなかったみたいだ。
残念だな。それが二人に宿っていれば、レベルをマックスまで上げたら、少なくとも同じ職業やその辺のシャドウには負けないくらいにはなるだろうから。
「死にかけた甲斐はあったかな」
「だな」
二人とも新しいスキルを覚えたことが出来てご満悦だ。
それはそうだろう自己再生は勿論のこと〇〇スキルも滅茶苦茶使えるスキルだ。それはあのフルフルっていうシャドウが使っていたんだから間違いない。
「お前はどうなんだ」
「そうだよ、君は何を手に入れたんだ?」
二人に来てばかりいたら、矛先がこちらを向いた。
「俺は『自己再生』『魔法耐性』『限界突破』三つのスキルだ」
「げぇ!? 三つもスキル手に入れたのかよ。羨ましい」
俺が事実を話したら、修二が不満そうに呟く。
「あのボスはほとんど六道君が倒したんだからしょうがないでしょ」
「まぁなぁ。あれはロッコじゃなかったら死んでたわ」
しかし、聡がとりなして修二も納得した。
「とりあえず皆無事で本当によかったよね」
「そうだな」
「そういえば、今街の方は大丈夫か? 普通に強力なシャドウも出てきてたけど」
全員が無事なことを改めて喜び合うが、俺はそういえば町に溢れたシャドウたちをそっちのけで来たんだった。
いざ戦いが終わると街の状況が気になった。
「あぁ、僕達もちょっと分からないかな。エンジュに連れられて直行してきたから」
「そうだ。俺達はエンジュの力であまりシャドウたちと戦わずに来たしな」
「そうか……もしかしたら優奈と加奈も怪しいかもしれない」
俺は落ち着いた所で優奈と加奈のことを思い出した。
逃がしたはいいけど、強いシャドウに見つかっていたら対処しきれない可能性がある。
「ああ、六道君が助けた女の子達だね?」
「そう。無事だといいんだけど」
聡の質問に、遠くをみて彼女たちの無事を祈った。
「あっ」
「あっ」
しかし、そんな俺の視界に二人が姿が映っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます