第2話

 「池田ー!」


 後ろから声をかけてきたのは加藤だ。隣のクラスのやつで、常にうるさい。


 「なんだよ」


 「今日も今日とてだるそやなぁ」


 対して中身のない会話が続く。


 「今日もバイトなん?」


 「おうよ」


 対して授業を聞く気にもならず、爆睡していた。誰に注意されることもないまま1日が終わり、バイトに向かう。


 「お疲れ様!」


 彼女は笹本朱里ささもとあかり。バイトの先輩だ。


 「お疲れ様です。今日も元気ですね」


 「もっちろん!仕事が楽しすぎるからね♪」


 こんな仕事のどこが楽しいのだろうか。言いかけて僕は言葉を飲み呑む。



 「遅くなりました」


 静かに入ってきたのは、金森真白かなもりましろだ。彼女は僕の同期で、同い年。どこまでもクールで距離が遠い。


 今日も何もなくバイトが終わる––はずだった。

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