第4話 違法金属密輸グループを追え!②

 怪しい会話をしていた二人組を、静かにバレないよう追跡する竜理。


 「(どこへ行くのかしら?)」


 二人を追う竜理だが、二人の背中にジェットパックがないことに気付き、交通手段はおそらく電車か車かと判断したのである。


 「家買えるくらいなんて、すげーじゃん!」


 「お釣りが来たら、空中リムジン買いたいよな〜!」


 「(空中リムジンって、高級品やん!!すご〜いっ!!)」


 会話から聞こえてきた空中リムジンは、最高の部品が使われ、さらに長年乗ることが可能な高級車のため、1台だけでも家の値段の半分くらいの値段でないと、買えないという。


 「まあ、近いうちに計画が始まるわ。楽しみ〜!」


 「アングリーサンは、とにかく管理に注意しないと、溶けちゃうからな。」


 「(溶ける?)」


 「ん?何か後ろから視線を・・・」


 話を聞いていた竜理は、高性能スマホで検索しようとすると、男性の一人が振り向いたために、商店街に置かれていた看板の陰に、間一髪隠れたのであった。


 「誰もおらんやん。」


 「さっき誰か居たように、感じたんだけどなあ〜」


 「(せ、セーフ!!)」


 二人は誰もいないことが分かり、再び進んでいく一方で、隠れた竜理は、焦りの表情をしながら、見つからなかったことに安堵していた。


 「(良かった!見つからなかった!見つかったら、アウト!!)」


 その時、高性能スマホに着信があり、竜理が出ると、相手は佐々木であった。


 {上条、約束の時間やろ?どないしたんや?}


 「あ、佐々木くん!今ちょっと・・・(って、二人組見失ってもうた・・・)ごめん!今から行くね!!」


 竜理は通話中に、二人を見失ってしまったようで、仕方なくこの日の追跡を諦め、佐々木達の元へ、ジェットパックで向かったのである。



 ―堺市・とある公園前―


 竜理が、佐々木達の元へ向かっている頃、当の佐々木達は、公園前にあるベンチで、5人の連れと雑談をしていたのだ。


 「1995年に、兵庫県で大きな地震があった時、大阪で兵庫の方面の空を見ると、空の色が真っ赤に染まっていたらしいんだ。」


 「な、なんで!?」


 「これは、震災が起きて、住宅がたくさん燃えたらしく、それが原因だったんやろなと思う。」


 「この震災の話をこの時代までに、よく語り継がれてきたよね。」


 「当時を知る人達は、忘れてはいけないんだという思いが強く、だからこうして語り継がれて来られたんだと思うよ。この兵庫の震災と、2011年の東北、2016年の熊本、2018年の北海道など、本当に大きな地震が多かったんだ。」


 「平成時代も、そんなに地震があったんだね。」


 「まあ、2000年代も、3000年代も、4000年代も、5000年代も、たくさんの震災や噴火で、大きな被害が報告されている。」


 「そういや、佐々木!イエローストーンを知っているか?」


 「知っているさ、市川。あれはやばいよ。人類滅亡に繋がりかねない噴火をするらしいし、日本も阿蘇カルデラが破局噴火したら、1億人以上が、命を落としかねない。だからイエローストーンも、阿蘇破局噴火も、生きているうちに噴火しないことを願う。」


 雑談とは言っても、過去の災害についての話で、明るいテーマではなかったのである。それでも、忘れてはいけないからと、語り継がれてきた話をすることで、佐々木達は当時の人達の思いを未来へ継いでいこうと思っているようだ。その時、ジェットパックで竜理がやって来たのである。


 「みんな〜、ごめ〜ん!」


 「来たか!!上条!!」


 「うんっ!!」


 「じゃあ、ここで探検をしよう!」


 実は佐々木達が公園に集まっていたのは、この公園で冒険をするためだったからだ。そして冒険には、各自で行動するが、この後竜理は、とんでもないものを見てしまうのであった。



 ―数分後・公園内―


 公園内はジェットパック使用禁止のため、歩いて公園内を移動する竜理。すると草むらの奥から、会話が聞こえてきたのだ。


 「アングリーサンの一つが、溶けかけてる。何してんや?」


 「(アングリーサン!?まさか!?)」


 なんと、公園内で竜理は、先程のあやしい二人組とは別の、酔っぱらいのような口調の男性が、アングリーサンの名前を出したことから、竜理はまさかと思いつつ、会話を聞き続けていたのである。



 【第4話・完】

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