番外編2 サプライズ4/11
「着替え終わってから対面したいよね」
というスタッフさんの計らいで、私と咲羅は別の部屋でお着替え中。
ちらりと壁に掛けられた時計を確認すると、既にお昼を過ぎていた。
オーマイガー。もうそんなに経ったのか。あっという間ですね。いや、これは私たちがわちゃわちゃし過ぎたせい?
「メイクする前に軽く食べた方がいいですよ」
「あっ、ありがとうございます」
手渡されたのは、一口サイズにカットされたサンドウィッチ。えーん、スタッフさんが優しい。
「ゆっくり食べてくださいね。その間にイヤリングとかティアラとか準備してくるので」
「はーい」
ん? 待って。普通に返事したけど、ティアラ? え、ティアラ被るんですか。
別に嫌じゃありませんよ。シンプルにビックリしただけで。
もぐもぐしてたら、スタッフさんが戻って来た。
手には、キラキラと輝くおとぎ話に海外のドラマでしか見たことがないようなティアラ。
「うげっ」
すみません。あまりにもビックリし過ぎて汚い声が出ました。こっちを振り返らないで、スタッフさん。
初めて咲羅と一緒に出た2021年の翔ちゃん卒業ライブのときにティアラを被らせてもらった。あれも結構
うん、聞かなくてもわかる。絶対高いやつ。
用意してくれた松浦さんよ、気合入り過ぎですよ……嬉しいけどね。
「ベールはなしでいいんですよね?」
「うぐっ、あ、はい」
最後のひと欠片を喉に詰まらせかけながら答えた。
あっても良かったんですけど、綺麗な咲羅の表情を最初から最後まで見せびらかしたいんですよ。
あ、嘘です。私が永遠に見ていたいだけです。ごめんなさい。
「よしっ、樹里さん。完成です!」
「おぉ……」
鏡に映った自分が自分じゃないみたい。勿論いい意味で。
豪華なティアラを被って、こちらも明らかに高価な宝石があしらわれたイヤリングをして。
「凄いですね」
「うふふ、喜んでもらえて嬉しいです」
キラキラティアラに負けないぐらい、自分の顔が輝いて見えます。あ、テカってるわけじゃないからね。
目を細めて笑うスタッフさん、本当にありがとうございます。この人にヘアメイクをお願いして良かった。
「じゃあ、咲羅さんの方も終わってると思うので、行きましょうか」
「は、はい」
うわ、どうしよう。緊張してきた。
スタッフさんと部屋を出て彼女が着替えている部屋へと脚を進めるごとに、心拍数が上がっていく。
きっと私の何百倍も綺麗なんだろうな。元がいいんだもん。絶対この世で一番美しいに決まってる。
そんな人と私は結婚式を挙げるんだ。
なんて考えていたら、ドキドキが止まらないんですよ。
手汗がじっと滲んてきた手を無駄にグッパーしていたら、ガチャリとドアが開いて
「お待たせ」
廊下の照明、窓から差し込む日光よりも輝きを放つ咲羅が出てきた。
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