第55話 動き出す1/7
咲羅と復縁してからというもの、彼女の独占欲は増した。
ちょっとコンビニに行くだけなのに「どこ行くの」って聞かれるし、学校でトイレに行くだけなのについてくる。
服だって、
「樹里はスカート履いちゃダメ」
「なんでよ」
咲羅はスカート履いてるのに!
文句を垂れる私に、
「ダメなものはダメ」
首をコテンと傾けてあざといポーズ。あのさ、それされたら私が断れないのわかってやってるでしょ。誰かこの人捕まえてください。
というか、もしや咲羅、脚フェチなのでは? 絶対そうだよ。私の脚大好きなんだよ。
思い返してみれば、練習中とか学校とか、よく私の脚見てたし。本人はバレないように見てるつもりでしょうが、バレバレですわ。なんで今まで気づかなかったんだ。
私ってば鈍感ですね、テヘっ。
なんてふざけてるけど、駿ちゃんに
「大丈夫? 嫌だったらちゃんと嫌って言うんだよ」
とアドバイスを受けました。
はい、先輩。勿論わかっております。わかったうえで、OK出してるんですよ。
だって嬉しいんだもん。
前みたいにこそこそ行動を見張られるより、ずっと。
新たな咲羅の性癖を発見できたし、愛されてるって感じるし。
そうそう、久しぶりに学校に顔を出した彼女はいろんな人から質問攻めにあっていた。
流石国民的アイドル。女王様。みんな私にはなにも聞いてこなかったのにね。ちょっと不満ですが、それだけ咲羅がファンから、クラスメイトから愛されてるってことだもんね。嬉しいです。
咲羅限界オタクの先生からも「なにがあったんだ!」って問い詰められてたときは、ちゃんと助けましたよ。
「樹里ぃ」
半泣きで助けを求める彼女を放っておけるわけないでしょうが。
まぁ彼女が学校に来なくなってから、目に見えて元気がなかった先生が元気になったのは良かったんだけども。
平穏を取り戻した私の学校生活とは対照的に、事務所内ではいろんな物事が一気に動きだした。
咲羅の問題が一応解決したからか、曽田さんは活動休止していたフィオの解散を決定した。
公式で発表されたその日に、1期生2期生のメンバーはほぼ、数名を残して退社した。
残ったのは2期生の今田
3期生の子たちは9人全員残った。研究生として。
再びデビューを目指す3期生たちは、「バックダンサー」の役目が与えられた。今まで研究生たちは動画を投稿したり、所属しているグループのバックで踊ったりするだけだった。
それが、幅が広がった。ボーイズ・ガールズグループ関係なく、いろんなグループのバックにつく。
またデビューさせてもらえる確証なんてない。でも、みんな諦めてない。
ただし、1999年組は違う。バックダンサーに専念するらしい。
正直年齢的に微妙だしね。23歳。再びアイドルになるのを諦めても仕方ない。
私は、私たちは諦めないけど。
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