第44話 Answer5

「あとね」

 笑い過ぎて涙目になったアカ姉さんはアカ姉さんは、

「届いたよ、樹里ちゃんの想い。全部」

 ハンカチで目元を拭いながら言った。

「ほえ?」

「なにその返事っ」

 あはははっ、とまた笑い始めてしまった。おーん、このままだとアカ姉さんが笑い死んでしまいそうだ。

 どうしたもんかと頭を悩ませていたら、苦笑しながら翔ちゃんが

「アイドルって最高なんだって、推しって最強なんだって。仲間がいるって最強なんだって。苦しみも悲しみも、いつかは力になるって、ちゃんと伝わりましたよ」

 口を開いた。

 およよ、昨日考えてたこと、全部伝わってたのか。いやいや待って、滅茶苦茶伝わってるじゃん。お二人はテレパシーかなんか超能力的な能力をお持ちなんですか?


「ね?」

「うん」

 翔ちゃんからの問いかけに、ヒイヒイ言いながらも頷いたアカ姉さんの頬は何故だかほんのりと赤く染まっていた。

「代弁ありがと」

「いえいえ」

 え、あの辛辣なアカ姉さんが翔ちゃんの頭を撫でた!? はっ、え、なにこれ。なんか2人の雰囲気が甘いんですが!? 駿ちゃんや松岡先生なみにゲロ甘なんですが!? うぶな翔ちゃんを、アカ姉さんが弄んでる感パネェ。

 およ、パネエって死語? そんなことどうでもいいのよ、今は。

 挙動不審になる私を気にせず、甘い雰囲気を醸し続けるお二方。いや、気にしてくれ。私の存在を思い出してくれ。お願いだから。

 そんな願いが通じたのか、アカ姉さんは撫でる手を止めてくれた。ありがとうございます。絶対あんたテレパシーもってるよな。そうだよな? そんでもって、2人の関係って……。


「あのさ」

「はい!?」

 すみません、思考が彼方へ飛んでいたせいで、素っ頓狂な声が出ちゃいました。

「私たちもさ」

 気にせず話し続けるアカ姉さん。マイペースすぎるっ。

「一緒に曽田さんにお願いしに行ってもいいかな」

「えっ、いいんですか」

「勿論」

 2人して激しく頷いてくれてます。えー、こんな心強いことはないよ。ありがたやあ。

「是非お願いします!」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」


 向かいあって頭を下げ合う私たち。絶対周りのお客さんから変な目で見られてるんだろうなあ、と思いつつ、机に額をこすりつけながら頭を下げる私でした。


 お店を出て彼女たちと別れた後、琴美さんと駿ちゃんに2人が了承してくれたことをメッセージで送ると、駿ちゃんからは【了解。それじゃあ曽田さんを脅す資料、整理しとく】との返事。ありがとう。頼んます。

 琴美さんからは【ありがとう! 流石樹里ちゃん! やるう】という文章と、踊り狂うウサギのスタンプが送られてきました。

 あれ、琴美さんってこんなキャラだっけ?

 軽く脳内がパニックになったのは、仕方ないと思う。はい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る