第25話 久しぶりのパーティー
翌朝、久しぶりに三人揃ってダンジョンへと向かった。チームワークを確かめるために四階層の前半でオーク相手にアップをすることにした。
「フゴ!!」
「ホルス行ける?」
「オークナイト戦でかなりステータスが上がってたみたいだから楽に行けると思うよ」
1ヶ月間休養していたホルスはステータスに影響しない動体視力だったり、持久力だったりがかなり落ちていたが、ステータスだけで言えば
* * * * *
ホルス・ソル 人間 Lv3
体力 63 → 78
筋力 52 → 60
魔力 69 → 74
防御 46 → 61
魔防 49 → 50
速度 51 → 62
スキル
・《守護する者》
詠唱 我人を守る道を突き進む
効果 数分の間、自分が守るべき人数×10全ステータスがupする
・
・
・
* * * * *
ホルスはオークナイト戦やその後の魔物の群れを相手にした時にかなり傷を負っていたため、体力と防御のステータスがかなり上がっていた。逆に魔法を使う魔物が居なかったため、魔防に関してはほぼ上がっていなかった。
「フゴッ!!」
オークは最初のうちはホルスを警戒しているような素振りを見せていたが、なかなか動きを見せないホルスたちに痺れを切らし、1番弱そうなハルカを狙い走り出した。
ホルスはハルカを庇うように前に立つと攻撃に備えた。オークは目の前に居るホルスごとハルカを攻撃しようとしたが、ホルスの短剣によって受け止められた。
「――フゴッ!?」
「やっぱり軽いよ!」
攻撃をいとも簡単に受け止められたオークは驚きを見せた後に一度斧を引いて横に薙ぎ払おうとした。
ホルスはオークが斧を引いた瞬間に一歩前に踏み込み、喉へと短剣を突き刺した。そのまま短剣でオークの喉笛を搔き切るとオークは攻撃する前に絶命した。
「ふぅ……だいぶ動きにキレが戻ったみたい」
「キレとかって言うよりも……なんか根性が強くなった?」
「うーん……あのオークナイトに比べたら全然怖くなかったからかな?でも二人もそうでしょ?」
「私もそこまで恐怖感を感じることは無くなりましたけど……流石に攻撃されそうなのに突き進むのは無理です」
特異魔物のオークナイトとの戦闘やそれに集められた魔物たちとの戦闘で致命傷ともなりうる傷を負ったホルスには、相手の攻撃にビビらない耐性が出来ていた。この耐性は良いように思えるがこれにはメリット、デメリット両方ある。
まずメリットだが、相手の攻撃にビビることが無くなるため接近戦を有利に行うことが出来る。
デメリットは相手の攻撃を気にせず果敢に攻め込んだ結果自分が怪我をして味方に迷惑を掛けてしまうことになることだ。
「まあ当たる攻撃はしっかり避けるから……出来るだけ攻撃は受けないようにするよ」
「……お願いね」
ホルスの含みある言葉にルナは気付いたが、ハルカが居る手前何も言うことが出来なかった。
なぜならハルカもホルスと同じように傷をあまり恐れ無くなったからだ。彼女は魔物の群れ相手に自傷による内臓の怪我、魔物の攻撃による外傷を負ってなお動き続けていた経験が彼女の魔物への恐怖を打ち消していた。
*****
続いて出てきた魔物はオークナイトだ。オークナイトはオークよりも巨漢で武器は斧ではなく大剣を装備している魔物だ。鎧によって覆われた奥に見える肉体は強靭なものだ。
「今度は三人でやるよ」
「私の発勁であの武器を破壊するからその後の追撃は二人に任せるよ」
そう言ってルナは走り出した。自分目掛けて走ってくるルナを敵と認識したオークナイトは大剣を構えて攻撃に備えた。その動きは特異魔物のオークナイトに比べれば微小な物だが知能ある者の動きに見えた。
「……フゴ」
「『瞬歩』」
ルナは瞬歩を使い一瞬でオークナイトとの距離を詰めた。ルナのスピードから考えられる攻撃されるまでの時間を瞬歩によって一気に縮められたオークナイトは大剣を使って防御しようとしたが、間に合わなかった。
微小な知能を持っていたせいでオークナイトは負けてしまうのだ。
「『発勁』!」
ルナはオークナイトの反応の遅さから本体に攻撃出来ると考えて、オークナイトの顔に触れ発勁を放った。
瞬歩からの発勁は大剣をも砕く威力を持つためオークナイトの頭蓋骨を簡単に破壊した。やられたオークナイトは魔石と大剣を残して消えていった。
「ごめん、一人でやっちゃった」
「この階層じゃあ得られるものはないってことかもね……ってオークナイトって大剣をドロップするんだ」
オークナイトがやられたのを遠目に見ていた二人は、小走りで近付いて来た。そしてホルスは魔石の隣に落ちている大剣を見ると少し驚いていた。
「この大剣を持ち歩いての探索は難しそうだから……一旦帰還する?」
「ホルスさん。何のために私がいると思ってるんですか。この程度の大剣なら鞄に入れても外に露出しないくらいに容量は大きいですよ」
ハルカは自分の鞄を二人に見せるように開いた。二人にとってその中身はどこまでも続く暗闇が見えるだけだ。彼女が持つスキルは盗難防止のためスキルの使用者のみ使用出来るため、ホルスとルナからは見ることすら出来なかった。
「そう言えば見えなかったんだ。まあ安心してください私が死んでも中身がぶちまけられるだけなので、ポーション以外は回収出来ますよ」
ハルカのブラックジョークに二人はドン引きしていた。
凍った空気を変えるためにも五階層についての話をホルスが始めた。
「――次の五階層ってどんな魔物が出てくるか分かる?」
「そ、そうね……五階層の魔物はゴブリンの上位種と呼ばれてるホブゴブリン……ゴブリンとの差異は知能を持つことと筋骨隆々なことだね」
「それだけ聞くと簡単そうだけど……五階層の魔物が簡単な訳ないよね?」
「その通り。ホブゴブリンはゴブリンと一緒で群れを作ってる。奥に行けば行くほど群れは大きくなり……やがて村を作り始める。村ともなればホブゴブリンキングが生まれることも……って資料に書いてあったけどダンジョンの魔物が進化するなんて話は聞いたことないから噂が一人歩きした結果だと思うけど……一応気を付けておくに越したことはないと思う」
「まあ百聞は一見にしかずとも言うし、行って確かめればいいよね」
「引き締めていくよ」
三人は五階層に繋がる階段を降りて行った。
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