第2章 ヤビコ迷宮の大騒乱

11:メドゥサ・ルーサ

◆◆13◆◆


 石化した集落の人々を助けるために、シャーリー達は行動し始めた。おじさんがシャーリー達のために集落を走り回り、即席の錬成工房をダルシオの部屋に作ってくれる。


 ダルシオはちょっと困った顔をしていたが事態が事態ということもあり、仕方なく部屋を使うことを了承してくれた。


『さて、作戦会議をするわよ』


 錬成工房が出来上がり、少し休んでからドロシアがそう切り出した。その口調はこの集落で起きた悲劇の原因を突き止めているように見える。

 シャーリーはそれに気づき、敢えて質問をした。


「はい、みんなを石化した原因はわかったたの?」

『ええ、今回は〈メドゥサ・ルーサ〉がこの状況を引き起こしたわ』

「メドゥサ・ルーサ?」


『伝説のモンスター、メドゥサの力を引き継ぐモンスターよ。その瞳で睨まれた者は石化する。メドゥサ・ルーサもその力を持ってるから、みんな石化しちゃったのよ』


「とっても怖いモンスターなんだね……。そんなモンスター、倒せるの?」

『集落の状況を見た限り、複数個体が来たとは思えない。もしかしたら変異型かもね。でも基本的な対策は一緒よ。だからそんなに恐れなくていいわ』


 ドロシアの断言に、シャーリーの恐れが薄れる。

 そんな二人を見て、おじさんは「よぉし!」と元気よく言葉を放って立ち上がった。


「何にしても素材集めだな。迷宮の門がある場所、案内するぜ!」

「いってらっしゃ~い。僕は寝てるよ~」

「お前は相変わらずだな。少しは動いたほうがいいぞ?」

「眠くて眠くて堪らないんだよぉ~。とりあえず何かあったら起こしてね~」


 ダルシオは大きなアクビを溢し、そのままベッドの中へ潜り込んだ。おじさんはとても呆れているのか、肩を落とし疲れたようなため息を溢した。

 シャーリー達はそんなおじさんに声をかける。

 するとおじさんは気を取り直した様子で振り返った。


「ま、こいつはいつもこんな感じだ。門に案内するぜ」


 シャーリー達はおじさんの後ろをついていく。ダルシオの家を出て、集落の外れまで歩いていった。

 小さな滝が臨めるそこには、穏やかな光景が広がっている。

 石のレリーフが並べられており、その真ん中に石の台座があった。


「これが迷宮の門だ。真ん中に置かれてるクリスタルに触れれば迷宮の入口に直行だ」

「へぇー、これが迷宮の門なんだ」

「中にもモンスターがいるから気をつけてくれよ。それじゃあ、お嬢ちゃん。俺はダルシオの家で待ってるぜ」

「うん! ありがと、おじさん!」


 シャーリー達は台座の上に立ち、クリスタルに触れた。

 身体はクリスタルから放たれた光に飲み込まれ、消えていく。


 こうしてシャーリー達は〈ヤビコ山脈の迷宮〉に足を踏み入れたのだった。

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