第8話 でも捨てるのももったいないし
スミが布団に入ったのを確認し、僕は物置小屋を後にした。残った缶コーヒーを持って小川の堤を歩く。
それにしても心配な咳だった。
小学生の頃、僕も喘息を持っていたから分かる。あの
やがて町の灯りが見えてきた。
もう十二時を回っただろうな。家に入る時も物音を立てないよう気を付けなければ。
残りのコーヒーを飲もうとして、ぴたりと手を止める。
これって、スミが口を付けた……。
飲み口から糸を引く唾液、照れくさそうなスミの顔。それにスミの裸まで思い出し、お腹の下の辺りがじわじわ熱を持ち出した。
でも捨てるのももったいないし……。
僕は戸惑いながらも缶に口を付ける。
さっきよりも仄かに甘くなっている気がした。間接キスってやつか。こんな事、誰にも言えない。
コーヒーを口に含んだ瞬間、僕は自分の感覚を疑った。
コーヒーは冷蔵庫に入っていたように冷たくなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます