第17話 ハチミツ
side:エリカ
今日は10日に1度の学園が休みの日
せっかくだからフレデリカお姉様と一緒にクッキーでも作ろうかと思ったのですが
夜明けと共にメイドを連れて何処かへ出掛けてしまいました。
フレデリカお姉様にも色々と予定はあるのでしょうけど、家に居る時は私の腕を掴んで何処へ行くにも着いて来ていただけに
少し寂しい気持ちになります。
「エリカお嬢様、それはまた新しいお菓子なのですか?」
「そうなの、砂糖が買えるようになったら絶対作りたい物だから楽しみにしてて」
「はい♪」
私が描いている絵を見たメイドのアイナさんが、子供のように無邪気に喜んでいる姿はまさに天使♪
お菓子作りはスクールカースト最下位からの脱出を目的に始めた事だけど
アイナさんや他のメイドの皆が喜ぶ顔が見れるなら、それだけで良い気がしてきました。
私は今、自室で前世の記憶を頼りにお菓子の絵とレシピを書いています。
本来なら直ぐにでもお菓子を作りたいのですが、我が家の薪窯はそれほど大きくありませんから
私がお菓子作りに使うと食事が作れなくなってしまう為、薪窯が使えるのは決められた僅かな時間しかありません
それまでの暇潰しにお菓子の絵を描いています。
今描いているのはカスタードクリームたっぷりのシュークリーム
シュークリームの上部に甘さ控えめのホイップクリームを乗せて、シュー生地でホイップクリームを少しずつ掬いながら食べるのが好きなのです♪
カスタードクリームの材料は
小麦粉、卵、バター、牛乳、砂糖
以上の凄くシンプルな物だから、お菓子作りをしようと決めた時にすぐ思い付いたのに、砂糖が買えなくて泣く泣く断念しました(泣)
『コンコン、ガチャ』
「エ~リ~カ~、お姉ちゃんですよぉ~♪」
『ぎゅうぅぅ♪』
「わわっ?!」
「うふふっ、エリカの驚く可愛い顔が見れました♪はいコレ、お土産です。」
「お姉ちゃんお帰りなさい、お土産って、えっ?!これハチミツですよね?」
「ええ、砂糖の代わりになるかと思い取って来たのだけど使えるかしら?」
「勿論です!しかも砂糖よりも美味しいお菓子が作れるかもしれません♪でもハチミツの採取はかなり危険だったはずでは?」
本で読んだ知識でしかありませんが、この国の一般的な蜜蜂は体長が10センチくらいあり
スズメバチと同程度の毒を持っていたはずです。
それが数百匹単位で巣を作っているので、ハチミツの採取は難易度が高く砂糖よりも高級品として取り引きされていたと記憶しています
フレデリカお姉様に渡されたビンに入ったハチミツは500グラムくらいはありそうですから、これを売ると10倍ほどの砂糖が買えるでしょう
「ふっふっふっ、私の魔法にかかれば蜂の毒を無毒化するなど簡単な事です。ですが
、実際にハチミツの採取をしたのはチュニーですから、感謝は彼女にお願いします」
「え゛っ、、、という事はチュニーは蜂に刺されたという事ですか?!大丈夫なのですか!」
「数ヵ所刺されたんですけどぉ、フレデリカお嬢様に治して頂いたので問題ありませんよぉ♪」
「もう!無毒化出来るからといって無茶をし過ぎです。それにお姉ちゃんに無理矢理やらされたのでは無いですか?」
「いえ、エリカお嬢様のお菓子が凄く美味しいのに砂糖があればもっと美味しいのが作れるって聞いて
私が勝手に暇な時間を利用して蜂の巣を探して、フレデリカお嬢様に協力をお願いしたんです。」
「危ないから今後は止めて欲しいですけど、ハチミツは凄く嬉しいです♪ありがとうございますチュニー。」
「わっ、私は単純にお菓子が食べたかっただけですから(照)」
「ふふっ、苦労してハチミツを取って来て良かったと思えるお菓子を作る事を約束しますので、楽しみに待っていて下さい♪」
「はぁ~い♪」
つづく。
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