第13話 ぼっちご飯

side:エリカ





お昼ご飯を食べる為に学園の中庭にやって来ました、勿論1人です。


教室で1人寂しくお弁当を食べれるほど私のメンタルは強くありません


前世の春山絵里香の記憶では、ぼっちご飯の定番の場所と言うとトイレか公園のベンチという事だったので


学園の中庭を選びました。



学園にも食堂はありますが、はっきり言って値段が高いのです!


公爵令嬢も通う学園ですから当然と言えば当然なのですが、そんな所で毎日食事をしていては我が家は破産してしまいます。




なのでお弁当として


タマゴサンドとブルーベリージャムサンドを持って来ました。


タマゴサンドにはマヨネーズたっぷりです♪



しかしです


昨夜、ジョゼ料理長にお弁当にサンドイッチを作ってくれるようにお願いしていた時、私は重大な事実を思い出しました


それは、この国の調味料にマヨネーズは存在しないという事です!


あるのは、塩、胡椒、山椒、唐辛子、鬱金、等々で


塩以外は植物から作るいわゆるスパイスと呼ばれる物ばかり、味噌や醤油が存在しないのは仕方無いとしても


マヨネーズまで無かったなんて(悲)


幸いにも作り方を知っていましたから良かったものの、マヨネーズの無いタマゴサンドなんて


マグロの入って無い鉄火巻きと同じです!


逆にカレーっぽいスープはあるのでスパイスの配合を調節すれば、カレーライスが食べられそうなのは嬉しい誤算と言えます♪



あまりゆっくりしていては休憩時間が終わってしまいますね、ではいただきまーす


「わあっ?!」


「えっ?」



サンドイッチを食べようとしたら、急に背後で声がしたので振り返ると


そこにはヒョロッと背の高い男性が居ました


かなり青白い顔色をしているのでまさに『もやしっ子』という言葉が似合いそうです。


初等部で見た記憶がありませんから、フレデリカお姉様と同じ高等部に通う学生さんでしょうか?




「驚かせてごめん!まさかここに誰か居るとは思わなくて」


「いえ、お気になさらず。」



この男性もぼっちご飯なのかな?


だとしたら私がこの男性のいつもの場所を取ってしまったかもしれませんね


昨日までの私は教室の隅でご飯を食べていましたから。



「えっ?」



ん?


何故かまた男性が驚いているのですが



「どうかなさいましたか?」


「いや、あの、たまたま見えてしまったから言うのだけど、あなたのお弁当のパンが紫色をしているのはどうしてなんだろうと思って


えっと、まさかカビが生えている訳では無いよね?」




確かにブルーベリージャムサンドの断面は紫色をしていますね


『ジャム』を知らないならカビと見間違えるのも仕方無いと言えます。



「これはパンに潰したブルーベリーを挟んでいるので、このような色になっているだけですよ」


「ブルーベリーをパンに?」


「少し変な組み合わせと思われるかもしれませんけど、甘くて美味しいんですよ♪良ければ1つどうぞ」


「しかしそれは君のお昼ご飯だから私が食べる訳には」


「沢山あるので構わないのですが、、、そうだ!あなたのその手に持ってるパンと交換するというのはどうですか?」



目の前の男性もお昼ご飯を食べに来たのだろう、学園の食堂で売られている手の平より少し長いバゲットのようなパンを手に持っている


あのパン1度食べて見たかったのよね(笑)


街のパン屋さんでも同じようなパンは売っているけれど、学園のパンは値段が5倍は違うんだもの


タマゴサンドとブルーベリージャムサンドを半分ずつ渡しても、断然私の方が得をする♪



「こんなパンで良ければ」


「ではどうぞ」


「ありがとう、、、近くで見ると確かにブルーベリーだね、いただきます、あーんっ、もぐもぐもぐもぐ、、、あんまっ?!えっ、甘い?いやでもとても美味しいんだけど、甘いパン?」



ふふふっ


パンをこのように食べる習慣が無いので驚くのは当然なのですが


最初に甘いと教えたのにすっかり忘れていたようですね(笑)


これは案外ジャムだけでも商売が出来そうな予感がします♪






つづく。

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